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20190621「持つべきものは」

新幹線に乗るとはいえ、久々に出勤めいた時間に出勤めいた行動をして前職の職場に向かう。
事務所の最寄駅からの道のりは、なんか仕事スイッチが入る。これが習慣というものか。

前の職場とは、退職してからも良好な関係を築けていると思っていて、人の入れ替わりがあっても、自分の居場所がない感じが無い。
マイメンKさんにも、いまやチーフのSさんにも、とても尊重してもらっている感じがするし、自分も彼らを尊重している。とても感謝もしている。

午前中に事前打ち合わせを済ませ、午後の大一番に備える。今日はプロジェクト初回のミーティングだ。もう一度自分たちの目線を揃える。

午後になり、大粒の雨が降る中、Sさんたちと共に先方との打ち合わせ開始。
重要人物が2名いるやつで、もろもろの都合上、2名同時にやれない案件だ。

1人目、重要人物Aとは、にこやかに穏やかにミーティングができた。とても協力的な姿勢を引き出せた。
2人目の重要人物Bにも、饒舌に語ってもらい、いろいろな輪郭が見えてきた。
2本の打ち合わせで、計4時間。さすがにくたびれたが、なんか上手く進めていけそうなきっかけを仕込めそうな気がしていた。

打ち合わせ自体ももちろんよかったが、結構感動したのが、このどうなっていくかもわからない上に、まだ成果物も見えない段階で、報酬を払おうとしてくれる気があるということだった。それは両者の口から出た。
何年もお付き合いがあるとはいえ、対等に向き合ってもらっている姿勢と尊重を感じた。
こうなると俄然スイッチ入る。現金なもんだ。
正直自分はたまに同席する外注なので、それらは自分に向けられたものではないが、Sさんたちがそのように思われて嬉しかった。

帰社してから、打ち合わせを振り返りつつ、思い至った点を詰めて、今後の展開に組み込んでいく手筈を整えた。いい感じになりそうだ。

夜はKさんとSさんと飲みに行く約束にしていた。しょうもないバカ話をして、大いに笑ったあと、ここ最近のイザコザを聞いてもらった。Kさんは少し怒ったような、Sさんはとても悲しそうな表情をしていた。
そしてそれぞれ言葉をかけてくれた。
優しくて泣きかけた。比喩じゃなく。

1軒目は意外と早く閉店時間が来てしまったので、もう2軒目に移動。
自己肯定感上げるタイムしていいですか?と言うと「どんどんやって」と答えてくれたので『制作物を見せて、これいくらだったでしょう?ゲーム』という、とんでもなく下品でどうしようもないゲームを始めた。
正解が絶対に2人が予想する金額を上回ることが無いから、制作物に対してお値段以上認定された上に、褒められる。という、最高のゲームだ。

ゲームは見事に進む。2人の予想金額をはるかに下回る回答に、どよめく2人。飛び交う賞賛の声。
それを何度も繰り返す。最高な気分だ(最低
2軒目は、自分が2人にご馳走することに決めた。

そのあとまたバカ話をして大いに笑い、Sさんが寝始めたのでお開きになった。もちろんご馳走した。

1軒目、2軒目で「こんなに安く叩いてるなんて許せない。ちゃんと払いたいから、予算が取れないのは断ってるくらいなのに」とKさんは言った。Sさんは「これは完璧に代理店のやり方。圧のかけ方。人質取ってるようなもんで、これはもう洗脳ですよ」と言った。
2人は「あなたに対してちゃんと対価を払いたい」と言ってくれた。自己肯定感向上ゲームの産物かもしれないけれど、そう思うのも失礼すぎるくらいの付き合いの2人だ。言葉通り受け取って、泣きそうになった。比喩じゃなく。

T社もちゃんと払ってくれているつもりだったのかもしれない。尊重してくれている感じがあったから、多くない報酬でもやってきた。
それが適正な報酬を求めた途端に、尊重の対象から外れた。いろいろな伏線を自分が仕込んできたのかもしれないけれど。

尊重されない上に報酬は少ないなんて、一緒にお仕事する理由が無さすぎる。
KさんとSさんは、ラリってた自分の目を覚まさせてくれた。
いや、今まで話を聞いてくれた人たち全員のおかげだ。本当に感謝しかない。言葉が陳腐すぎるが感謝しかない。

自分の周りには、優しい人たちばかりで本当に不思議だ。本当に嬉しい。彼らに対してなんらかの形で、なんとか応えていきたい。自分には何ができるんだろう。

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