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メンバー紹介

鈴木歌恋(すずき・かれん)

「金平糖の精」(くるみ割り人形より)

経歴

慶應義塾大学総合政策学部在学。
渋谷QWSチャレンジ14期生。(LAPPY〜磨く感性、光る個性〜)
0歳7ヶ月よりバレエを始め、現在まで年齢と同じ年数間続けている。

高校1年時のオーストラリア留学を経て様々な国際問題に関心を抱き、帰国後校内で「国際問題研究会」サークルを立ち上げる。そこで「バレエ×社会問題」をテーマとした学生団体「wakeuppointeshoes」を開設し、バレエ団訪問や企業訪問を重ね、サンディエゴ大学主催のJacobs Teen innovation challengeにて2位を受賞。

大学では法学、社会学を学びながら議員秘書インターンを行う傍ら、渋谷QWSのチャレンジ生としてメタ認知開発のワークショプを開催。同時に、日本における芸術産業の発展をテーマに、小劇団やアーティスト、企業へのインタビュー活動を行なっている。

受賞歴

2020.7 全国高校教育模擬国連大会2020 審査委員特別賞
2021.5 Jacobs Teen innovation challenge 2nd place
2022.8 Tornado (オンライン型ハッカソン)優秀賞
2022.10 キャンパスベンチャーグランプリ2022 セミファイナリスト
2022.11  テレビ東京 START UP DEGAWA (2022/11/26放送) 出演
2022.12 東京女子大学ビジネスコンテスト2022 優秀賞
2022.12 KBCサミット2022 企業賞(日本システムケア株式会社)
2022.2 渋谷QWSチャレンジ14期生として採択

私とバレエ(1)〜バレエ大好きっ子の幼少期〜

0歳7ヶ月の時からバレエを続ける私にとって、バレエは「自分の人生」だと思っています。
バレエ団付属のバレエ学校に通っていた当時3歳だった私は、プロバレエダンサーの方々がリハーサルしている姿を間近で見ていました。同い年のお友達はレッスンが終わったら帰っていく中、私は2時間くらい、ずっとスタジオの端っこに座り、1人でリハーサルを見ていたそうです。そしてそれに気づいた森下洋子先生が、私を抱っこしてセンターからリハーサルを見させて下さったことは今振り返れば本当に素敵な経験でした。
最初は、母に連れられて始めたバレエでしたが、毎回残ってリハーサルを見学する私の姿を見て、両親ともに、本当にバレエが好きな子なんだと確信したそうです。

私とバレエ(2)~子役オーディション/コンクールと挫折〜

幼少期から週に3、4回のレッスンに行くのは当たり前の生活を送っていた私は、平日習い事をしてはいけない学校のルールに反してこっそりレッスンに行っていたほどでした。そんな中、小学4年生の時に先生にコンクールを勧められ私のコンクール生活がスタートします。
週に6,7回、毎日23時までレッスンを行い、年に10以上のコンクールに出場しながら、どんどんバレエにのめり込んでいきました。小学5年生の時には世界バレエフェスティバルや横浜ベイサイドバレエのドンキホーテの公演に子役として出演し、大好きなアリーナ・コジョカルと同じ舞台に立てたことでさらにバレエ愛は増していきました。時にはコンクールのために学校を休むこともあり、特に迷いなく、将来はバレエダンサーになるものだと考えていました。
しかし、中学2年生になりコンクールに出ていく中で、自分の限界に気づきます。コンクールに出れば毎回賞はもらえるが、このまま続けていてもトップのダンサーにはなれないだろうと分かりはじめました。ここから、私の中でのバレエとの葛藤が始まります。
 私はバレエダンサーにならないのであれば、バレエを続けている必要はないと考えるようになりました。特に当時はバレエ一筋で、学校を休んだり勉強をおざなりにしてよく先生に呼び出されていたため、これまでと同じ調子でバレエを続けることはできないと考えました。そして、自分の中では「バレエを辞める」という決断をしました。
 しかし、幼少期からバレエを愛してきたことを知っている両親は、「絶対に少しでも続けていれば、バレエに助けられることがある」と私を説得し、ある一つのバレエ教室に私を引っ張っていきました。このお教室との出会いが、私のバレエに対する視野を大きく広げてくれました。

私とバレエ(3) ~人生の軸としてのバレエとこれから〜

これまでの私は、コンクールに出ていたせいもあってか「バレエが好き」と言いながらも、技術が上達することや先生に褒められること、周りと比べて上手く踊れるようになりたいという気持ちがバレエをやる原動力になっていました。
しかし、ここで私が出会った先生方は、バレエの本質を私に長い時間をかけて教えてくださいました。テクニックや表面的な演技を一度全て取り払い、バレエの基本に向き合い続けること、その上で、ただ言われたことをやるのではなく、バレエを「踊る」ことを自分で考えるということ。言葉にするととてもシンプルなことかもしれませんが、それを自分の身体に教え込ませていくこと、自分の頭で考えて表現することは、まさに自分自身と対話することであり、そんなバレエの深さに惹かれていきました。
身体は頭で考えることを全てそのまま実践できるほど素直ではなく、何度も何度もどうすればいいのか自分で言語化しながら思考していきます。そして、そのうち、先生から注意されることは、バレエだけではなく自分の日常生活の暮らし方とリンクしていることに気づき始めました。「背中に力が入りすぎている」とよく注意される時には、普段の生活でタスクを抱え込みすぎて必要以上の労力を使っていることに気づきました。
だからこそ、私は今もバレエを続けているし、これからも続けていきたいと思っています。バレエは私に自己内省の時間をくれ、人間的に成長させてくれる場所だからです。

余談〜学問とバレエ〜

大学に入り、私はバレエは非常に学問と類似する点が多いと考えるようになりました。私が好きな哲学者は複数いますが、ここではアリストテレスを紹介したいと思います。(今後コラムとして色々掲載していきます)

アリストテレスは「幸福とは何か?」という問いに対し、幸福とは徳(arche)に向けての魂の活動(energeia)だと説きます。アリストテレスはプラトンのイデア論とは異なり、徳とは個々によって、その時々によって異なるものであり、絶対善のようなものは否定します。なぜなら、10歳の子供にとっての快楽と80歳のおばあさんにとっての快楽は異なるように、人々にとって「良きもの」はそれぞれに異なり、そうした「良きもの」をその時々の状態や相手に合わせて常に発揮できる人こそ、真の徳を持った人といえるからです。
これはバレエにおいても同じではないでしょうか。バレエを毎日のように踊っていると、日によって体調や天候で調子がいい時とそうでない時があります。しかし、ダンサーに求められるのは、毎度調子が違う中でも、その時の「最善」のパフォーマンスをすることです。そのためには、自身の中で上手い具合にその時々の程よい具合(=中庸 Mesotes)を見つけられる能力が要されるわけです。まさにアリストテレスのいう徳の議論はバレエに重なる部分が多く、「バレエは哲学」であると感じています。

望月碧(もちづき・あおい)

ジプシーの踊り(ドン・キホーテより)
新宿御苑にて

国際基督教大学2年生。たまたま通りかかったバレエ団付属スタジオで小学1年よりバレエをはじめ、移籍を経て現在も学業との兼ね合いを見つけながら続ける。小学生より子役多数出演、2022年のエデュケーショナルキャラクターダンスコンクールで最優秀名誉審査委員長賞、優秀賞。山が好きが転じて環境問題に興味を持ち、高校3年次より青年環境NGO Climate Youth Japanに所属。2022年10月より広報事業部統括、COP27に派遣。環境問題とバレエを繋げてシューズリサイクルの新しい形を提案したJacobs Teen Innovation Challengeでは2021年5月、2位を受賞。最近は山脈縦走も趣味。

Encounter

父の転勤から帰国して、公立の小学校に入学した小学1年生の春。生まれて半年の弟をベビーカーに乗せてお散歩していて、たまたま通りかかったのが私が10年通ったバレエ教室です。毎年夏の発表会に出演し、小学生の間はバレエ団の様々な公演に子役として出演させていただいたり、たくさんの素敵な経験を培いました。

Adolescence

「自分がダンサーとして生計を立てるにはどうしたら良いのか」「『本物』のバレエとは何か」を考えるようになったのは中学3年生の終わりです。身体は柔らかいけれど、スタイルも悪いし、秀でた技術もない。中高はダンス部に所属していて、バレエではない形の「踊り」に触れる機会もありました。「『バレエ』にこだわる必要はあるのか」そんな疑問が私の中で生まれました。
高校2年生の間、私は基礎の基礎を確立されたメソッドの下で叩き直すことで「本物」のバレエの在り方を学びました。1年生、2年生、、と順序に沿ってレッスンを追うと、美しい表現を生む身体の組み立て方を体系的に理解することができました。当時、物理基礎を勉強していたとき、バレエを物理に応用したら分かりやすいな、とアラベスクの力の向き、重力の方向を授業中に落書きしていたこともありました。
一般受験を経て、将来の選択肢の幅が広いICUに入学することを決意しましたが、バレエという偉大なる芸術とお別れをしたわけではありません。受験中もバレエを休みませんでしたし、受験明け3月のコンクールにも出場しました笑
大学生になってから、自分の中にある感情を昇華するひとつの方法として、「踊り」があることを理解し、身体を使って、目一杯の表現に取り組んでいます。(大学1年生の後半からは股関節を痛めてしまい、仕方なくお休みする日々が続いています)

バレエを続ける中で培った力

バレエを続ける中で身につけたのは、圧倒的に「両立」する力だと思います。中高時代は、学校、部活、バレエの3本立てで怒涛の日々を過ごしていましたし、試験中もバレエを休むことはありませんでした。受験期も同様です。
大学生になり、吸収しきれないほどのチャンスが降ってくる日々です。自分の中でビビッと来たものをキャッチし、取り組んでいますが、大学のGPAもhigh gradeにキープしつつ、NGOでの活動、一般社団法人のお手伝い、インターンシップ、全て全力で、辞めることなく続けています。(それが偉いとは思いません。やりたいからやっているのです)
努力を継続すること、自分から積極的に改善しようとするモチベーション、身体を削ってでも誰かの幸せを創ること、これらの想いは13年続けるバレエの中で培ったものだと思います。
私の大好きな先生は「できない」が嫌いです。「できないじゃなくて、できるように頑張るの。」そう先生はレッスン、リハーサルの間におっしゃいます。だから私は、不可能なことは無く、挑戦と失敗を繰り返すことで何事も可能になると信じています。

Wake Up Pointe Shoesで作りたい社会

日本でバレエダンサーとして生きていくことは、そう簡単ではありません。ダンサー以外に仕事を掛け持つことも珍しく無いですし、海外の国のように強力な国のバックアップがあるわけでも無いです。何かしらの困難を抱えてバレエダンサーは生きているのではないでしょうか。ただの学生に過ぎずダンサーを経験したことも無い私が想像できる範囲には限りがありますが、少しでも職業としてのバレエを日本で確立する環境を整えたいと考えています。
西洋文化の土台がしっかりしているわけではない。そんな日本で、バレエは文化としてどう位置付けられるのでしょうか。貴族から生まれた文化だから一定階級以上が嗜む趣味で良い、いやいや大衆文化として浸透させる必要がある、様々な意見があると思います。私は、そんな議論をもっと深め、国家レベルまでに持ち上げたいです。そして、日本で「バレエダンサー」がより生活しやすくなったらいいな。


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