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イノブタで見る、点穴の作用  382

梅雨入り前、久しぶりに「大地再生」の本を読み返していた。

西日本豪雨の時に畑が大きく崩れ、水の流れのことを真剣に見直さないといけないと思った時にこの「大地再生」(と呼ばれる手法)の存在を知った。

水害からひと月経った頃、お隣の愛媛でこの大地再生のお話が聞けるということでセミナーに伺ったのだけど、その時聞いたお話は今でも記憶に残っている。
というか、公共工事を見るたびにその話を思い出す。

梅雨時期だから余計に以前のことも含めて災害の話を多く耳にするタイミングだけど、その度に人間が「できること」と人間が「して欲しいこと」の差異から生まれるゆがみに酔いそうになる。


さておき、なんで本を読み返していたかというと。
家周りの湿気の抜き方に何かできることはないか?と思ったからだった。

我が家はひいばあちゃんの代でお豆腐屋さんをしていたこともあって、今は納屋として使っている建物の中に井戸がある。
わたしが生まれてからその井戸を使った記憶はない。
わたしはその井戸が…気になっている。

普段わたしたちが使っている井戸は別の井戸で、半外にある。
大雨の後だったりして水が濁るといわゆる「井戸替え」をする。
数時間したら濁った水は透明になるのだけど…そこでいつも考える
「あの気になっている井戸は、いつから井戸替えをしてないんだろう…」と。

建物にとっても水脈の上にあるんだからいいことではないだろうし、人間の便利さというエゴで作ったんだから「いらなくなったから埋めます」でもないだろうし…。

ただ、素人の「気になる」だから、真剣に「この井戸を使いたいんですっ!」とプロに相談するにはぼんやりし過ぎているし、手入れの方法もわからない、かといって放っておいても、ねぇ…わたしが気になるんです、はい。


以前、井戸の泥揚げ?だったか名前を忘れたのだけど、大地再生に取り組む方が井戸について書かれていた記事を記憶していて、そこから何かヒントはないか?と冒頭の本を見返すきっかけになった。

その本の中には、ドンピシャ井戸について書かれたくだりは残念ながらなかったけれど、井戸とは関係ない文章が記憶に残っていた。

それは、イノシシや鹿が畑を荒らす、田畑を掘り返して害を与えると人間は思っているけれど、その場所をよくよく見ると空気の流れが滞っている場所にいわゆる「点穴」を開けた状態になっていることも多くて、その見方で行けばひとくちに「害」と言えない部分もあるというものだった。


そう、その点穴。
今朝、我が家の裏の畑に久々にゴージャスな穴がいくつかあけられていた。

最初はそのぐっちゃぐちゃの景色に「うっわぁ…」となったのだけど、ハタとその文章を思い出し場所を観察してみたら…
確かに、畑を半分に分けて見た時に井戸のある側の方しか掘り返されていなかった。
逆側には歩いた足跡は残っていたけれど、何も掘り返していない。


よく「イノブタは土の中の虫を食べたいから掘り返す」というけれど、水脈、もしくは空気の通り道のことを合わせて考えたことはなかったし、もっというと、そういう場所だから虫が多いという可能性も考えたことがなかった。

なるほどなー…イノブタに掘り返してもらってやっとそういう見方もできるってことがわかったよ…と、よくわからない感謝まで湧いてくる。

でもさ、夜中にネットこじ開けて黙って入ってきて、ゴンゴンにおっきな穴あけてそのままにしたあげく、入口とは別の穴をあけて出ていくの、どうかと思うよ…ってことはちゃんと合わせて伝えたいと思う。

イノブタよ、そのあたりのことはお願いしたいぞ。





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