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サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい  ⑭Kindle unlimited

M&Aというと大手企業同士の買収劇であって、サラリーマンや一般人には関係ないと感じます。私もそうでした。カナダでは企業・事業を買うということはそんなに別世界の話ではありません。意欲、体力、能力のある人にとっては、企業・事業を買うということは絶好の企業オーナーになるチャンスです。そんな異国で果敢に挑戦する移民者たちを私は何人も見てきました。

この本では会社経営の経験のないサラリーマンでも中小企業を買うことが有利で将来性のあることだ、と教えています。以下、私の感想ベースで書いています。


企業・事業を買うカナダ移民

カナダで中小の企業の売買を支えているのは移民でしょう。移民した家族が企業おこす、企業を買う、事業をすることはカナダで生計をたてる、移民資格を取るための方法の一つです。事業をおこすことを前提とした移民資格もあるので、その資格で移民したい人はとにかく事業を始めます。事業をはじめるのを比較的容易にしてくれるのが、設備、ノウハウ、顧客がすでにある企業を買ってしまうことです。

また、移民者の場合、どうしても言葉の問題や経験でカナダ人より働く条件が不利になってしまいます。それまでの自国での経験や能力を活かせる職場を見つけることが難しく、仕事が見つかっても低賃金の労働者になってしまいがちです。だったら、いっそのこと自分がオーナーで仕事をする方が、収入も自尊心も可能性も広がるのです。

自国では看護婦だった人がカナダで飲食系のビジネスを買って、あっという間に新築の家を買った、安く買ったビジネスの業績をアップさせた後に売却して、より自分のしたかった別の業種のビジネスを買った、なんて話は珍しくありません。

労働者思考の日本人

日本人移民者は、カナダ人配偶者だったり、カナダで取得したカナダの資格を持つ場合(会計士・看護士、エンジニアなど)、起業ではなく、いい条件で安定して働ける職場を目指す人がほとんどです。日本人カップルは起業が増えますが、日本人移民全体では少数派です。

私の場合、会社経営は資金や能力的にも無理、好条件の狭き門の大企業・事業所で働くのも英語力など、条件不足やすぎて難しいので、中小企業・個人事業主で働くこと一択です。個人経営の会社で働くと、いかに自分が利益の一部しかもらっていないか、しかも時間を制約され、人生の貴重な時間を安く提供しているかが、見えてきます。大企業で働いていると収入や福利厚生がよいので、感じにくいと思いますよ。

日本ではいい企業に就職することが、収入や労働条件、仕事の内容、世間体などいかに素晴らしいかが、語られます。ところが企業オーナーになることのメリットや何から始めたらいいのか、は語られません。家族に経営者がいないと会社経営や経営者になるということはピンとこないのです。

本書では企業オーナーと従業員ではいかに資産形成のスピードが違うのか、数字をあげて説明しています。あらためてその違いにびっくりします。著者の言うように上手くいくケースばかりではないと思いますが、日本人の多くは、経営者と従業員のその違い、どうやってなるのか、どうしたらいいのか、まるでイメージができません。だから、手堅く優秀な労働者を目標にしてしまうのかもしれませんね。

中小企業社長にサラリーマン経験者者は有利

本書ではサラリーマン経験者、とりわけ大手企業の管理職経験者は中小企業を買って成功する可能性高いと言っています。その理由も書いてあります。さらに自己資金が少ない場合の驚きの解決策の例も書いています。詳しくは本書を読んでくださいね。


残念ながら、私のように60代目前の普通の主婦には特におススメしてはいない話です。(笑)

とは言え、黒字企業でありながら後継者がいないために廃業を検討している、赤字だが企業運営の改善の余地が多く、収益を上げる可能性が大きい、そんな企業の売出しが今後どんどん増えていくことは確かです。そんなお手頃な中小・零細企業を買ってみることは誰にでも取れるリスクとチャンスです。


人生のうちで社長になってみる選択

最近では学生起業家や週末起業家、主婦社長、副業など、学生、主婦やサラリーマンでも柔軟に個人でビジネスが持てます。本書でも言ってますが、ゼロから起業して会社を立ち上げるのはかなりハードルが高く、誰もが成し遂げられることではありません。

でも既存の中小の企業をそのまま引き継いで改善していける企業買収はそのハードルを少し下げてくれます。また、企業と言うほどではなくても、個人事業主やフリーランスで働く、会社に帰属しないで自由に働ける部分を持つことが可能な時代です。

健康寿命がのびていく中、人生のうちで文字通りの独りぼっちのワンマン社長でも社長になってみるという挑戦も経験もあった方がいい、と思わせる本です。



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