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学び舎の記憶

 学校の統廃合により、使われなくなった小学校の美化活動があると聞き参加した。学び舎は山の辺にたたずんでいる。眼下には吉井川の川面が広がり、見上げると天神山の稜線が弧を描いて美しい。外に面した廊下では、ツバメの巣が以前より多くみられた気がした。
 子どもたちは、掃除場所の役割分担を事前にしっかりしていたのか、みんなてきぱきと動いている。廊下の掃き掃除、教室内の雑巾がけなど、普段から慣れている様子である。感心したのは、困ったときには大人に助けを求め、地域の方々と協力して活動をしていたところ。
 窓ガラスを丁寧にふいている子に、今回の美化活動の目的を聞いてみた。「今度地域の人をお招きして、イベントを計画しているの」と、はにかみながら教えてくれたのがとても印象に残った。
 小学一年生の時に通っていた子は今年六年生になり、この校舎で学んだ最後の児童であろう。きっと一年生の頃に学んだ記憶が、鮮明に残っているに違いない。
 鍵の締め忘れがないか確認のため、最後に各教室を見て回ることにした。黒板も、木製の床も、窓ガラスもピカピカに仕上げられていた。子どもたちがどんな素敵なイベントを計画しているのか、今から楽しみである。

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