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「死の多様性を旅する」 イラストレーター佐々木しょうしょうさんに聞く 『死生観光トランプ』を通して 表現したかったこと

こんにちは!ワカゾーの霍野(つるの)です。多くのご支援、本当にありがとうございます。

さて、『死生観光トランプ』は、世界各国の死生観や弔いの作法をイラストとキャッチコピーで紹介したトランプです。全国各地のお坊さんや仏教を愛する方、総勢14名の方々にイラストを描いていただきました。そこで、『死生観光トランプ』イラストレーターの方々に、描いてみた感想や、イラストに込めた想いなどについてお聞きしました。

今回は真宗佛光寺派・大善院の佐々木しょうしょうさんにお話を伺いました。聞き手は、ワカゾーの藤井一葉(ふじいかずは)、書き手は霍野です。

ーーまず、お坊さんとして普段の活動について教えてください。

日々、お寺でご法事やお葬式をつとめております。ちょっと変わったお寺の活動としては「おてらハウス」というギャラリーを運営しています。

ーーちょっとじゃないです、とっても変わっていますよ(笑)。

おてらハウスは15年前から始めました。

ーーしかも、15年も前ですか?!早すぎです(笑)。

そうですね、メディアにも多数取り上げてもらいました。今でこそお寺でのカフェは増えていますが、当時は誰もしていなかったです。お寺のカフェの先駆的な事例だと自負しています。妻には「自分でいうな」と注意されますが⋯⋯(笑)。

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ーー具体的にはどんな運営をされているんですか?

1階は飲食店、2階はギャラリーです。ともに場所貸しで運営しています。1階は「和香」という精進料理のお店が営業してくれています。心にも身体にも優しくて、とっても美味しいですよ。

ーーカフェだけでなく、ギャラリーもされているんですね。

私自身が芸術やアートがとても好きで、趣味が高じてギャラリーを開きました。基本的に貸しギャラリーですが、ときどき私がプロデュースすることもありました。

ーーどんな内容なんですか?

もう10年も前ですが、日蓮宗の杉若恵亮さんや、浄土宗の中川学さんたちと『平成画僧展』を企画しました。イラストの展示はもちろんですが、お坊さんたちのトークイベントや音楽イベントも実施したり。懐かしいな。

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ーー今でこそ、そういったイベントを見聞きすることは少なくないですが、それを15年前からって本当に早い。なぜ、おてらハウスを始めたんですか?

お寺の敷居を低くしたい、というのが一番の想いです。お寺さんの多くが、檀家さんという固定客をお相手に対応されますよね。私はより幅広く、これまでお寺と縁のない方々にも足を運んでもらいたかった。その装置として、飲食とギャラリーを設けて、色んな方にお寺に足を運ぶきっかけにしてもらいたかったです。

ーーとはいえ、日常のお寺の法務に加えてギャラリーの運営はとても大変なんじゃないかと想像しますが、どこからそんなモチベーションは沸いてきたんですか?

芸術やアートが好きっていうのが正直なところでしょうね。小さい頃は、漫画家、イラストレーターになるのが夢でしたから。

ーーお坊さん、お寺という立ち位置は大切にしながら、アーティストやプロデューサーの顔があったんですね。

おてらハウスで、アール・ブリュットやアウトサイダー・アートと言われる障害のあるアーティストが描くアート作品の展示会を開催したこともありました。私が若い頃、障害者福祉の仕事をしていので関心が強かったこともあります。それも10数年前の企画なので、日本では早かったでしょうね。

ーーご自身でイラストを描かれたりすることはないんですか?

『月刊住職』という仏教系の雑誌で、9年前から「いまどきマンガ説法」というコラムを毎月描いています。企画構成も自分でアイデアを出して、仏教を基軸に据えながら、社会常識や世相をちょっと皮肉った内容でした。4年前にその内容をまとめて『仏教マンガ説法』を自費出版しました。テレビにも出演し、原画展もおてらハウスで開催してやりきったなって感じがしています。

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ーー関心も活動も多岐にわたって感銘をうけます。死生観光トランプの依頼を受けて、どう感じられましたか?

若い人の企画だと思ったので、正直なところ参加するのにちょっと躊躇しました(笑)。ただ、企画やコンセプトは面白そうだなと思ったので、勇気をふりしぼって協力させてもらうことにしました。

ーー葛藤があったなかでのご参加、ありがとうございます。

イラストを描くだけの仕事、いわば、イラストレーターとしての依頼は初めてだったので嬉しかったですよ。これまでは、『月刊住職』「マンガ説法」のように、アイデアや構成、文章もこちらで考えるものばかりでした。絵だけの仕事は楽しかったです。

ーー苦労をおかけしたことはありましたか?

イラストを複数の方にお願いすることだったので、トランプが並んだときに全体がどういう風に仕上がるのかが分からなかったので、その点はやりにくかったです。全体像がつかめないといった感じでしょうか。

私はどうしても古いタッチになってしますので、こんな年寄りなイラストで良いのかなと不安に思いました。

ーー死生観も多様なようにイラストのタッチも様々なものが良かったので、佐々木さんにご参加いただけたことはとっても嬉しかったです。死生観光トランプに期待することはありますか?

日常生活のなかで遠ざけがちな『死』についてカジュアルに考えるきっかけになるだろうと期待しています。世界各国の死生観や弔いの方法は、文化の違う人から見ると滑稽にさえ見えてしまうものもありました。「こうあらればならない」という感覚はだいぶ低くなりましたね。

ーー最後に『死生観光トランプ』を手にする方にメッセージをお願いします。

心が軽くなる、心が解放される効能があるんじゃないかなと私は感じました。世界の死生観を垣間見れる、多様な価値観に触れることのできるトランプです。死の多様性を旅する。楽しく遊んでいただければと願っています。

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佐々木 正祥(ささき しょうしょう)
1953年11月12日生。龍谷大学文学部仏教学科卒業。大善院第24世住職。養護学校(特別支援学校)付属寄宿舎の指導員を13年、盲学校で10年勤めた後、2001年に退職。2003年『第一回佛光寺花まつりコンサート』を企画・開催。2005年、境内に『おてらハウス』をオープン。社会福祉法人『アイアイハウス』理事長。

▶おてらハウス WEBページ
▶佐々木さんが取材されている『彼岸寺』「坊主めくり」の記事「寺のあり方をゼロから問い直す人/大善院 佐々木正祥さん&美也子さん」

聞き手:藤井一葉
書き手:霍野廣由

ただいま『死生観光トランプ』クラウドファンディングの真っ只中です。多くの方に死について考える機会をもってほしい。日常に「死」がじんわりと溶けこみ、遊ぶように死について考えることができるようになればと夢見ています。応援よろしくお願いいたします。

#READYFOR #クラウドファンディング

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