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EP.17【正田亜翔#9】

魅力あふれるMr.フルスイング
突き動かされる原動力は“野球が好き”

転機となった大学時代

打席に入れば常にフルスイング。
高々と舞い上がる放物線を彷彿させる正田のバッテンングスタイルは、大学時代より培われた。

高校卒業後、大阪商業大学へ進学した正田。
3年間触り慣れた硬式から離れ、心新たに準硬式野球への道を歩み始めた。

「中学時代の監督が大学でも監督をやってて、(一緒に)やろうって誘われた。迷いはなかったな。」

球種は変われど志は変わらず。
依然としてプロへの道を追いかけていく中、ある障壁と相対することとなった。

「体をでかくしないと話にならないと思った。高校の時とか(体重も)55kgでガリガリだったし、体でかくしてスイング強くしないとって思った。」

お世辞にも大きな体とは言えなかった正田。
1年の冬を機にウエイトトレーニングの本腰を入れ始めたことで体重もみるみる増え、大学4年間で約20kgの増量に成功した。

「飛ばせるようになってきたのは間違いなく大学から。(柵越えも)高校まで0だったし、まともに当たったら外野の頭は越えるけど、やっぱ細かったからフェンスオーバーは全然無理だったな。」

ウエイトの恩恵は身体だけにはとどまらない。

「長打はもちろん増えたけど、それより楽しくなってきよな野球が。元々野球好きだったけど、幅が広がる。それが一番やって良かったなって思った。」

二次情報に搾取されず、我流で研究の日々に明け暮れていた正田。
加わってきた筋力に加え、自身で得た知識が体現できるほどのフィジカルを獲得した時、ホームランの数も増えていった。

「大学出て独立に行きたかったんよ。けど(準硬式野球が)金属だったから、せめて一年木製に慣れないとと思って、大学の先輩が行ってたクラブチームに入った。」

さらなる高みを目指すべく。
投手力のインフレに抗うかのように増えていったホームランには、それを叶えるだけの練習量が隠されていた。

規格外のスイング量

どこのチームにも所属せず、河川敷で始まった父と兄との三人の野球。
思い返すとこの頃から人より抜きんでたスイング量が目立っていた。

「小学校の頃近くのバッティングセンター行って、500球くらい140km/hのゲージで打ってた。小学生にしては速かったから、速い球には対応できるんよな。ほんとに140km/h出てたかは知らんけど。」

取材中、再三口にする言葉は“野球はめっちゃ好きやった”。
言葉通り、“好き”の一点で突き動かされてきた野球人生が読み取れる。

「社会人一年目の時、受けたトライアウトで全部落ちて。このままじゃ無理やと思ってから仕事辞めて野球の時間増やそうと思って、(チームが所有する)室内で平日も練習してた。」

アルバイトをしながらの社会人2年目。
その年のオフに念願叶い、決まった先は新規球団の淡路島ウォリアーズだった。

「(クラブチームのリーグ内で)都市対抗にも出るようなチームがいたから。もっとまっすぐでガンガンくるのかと思ったら、かわされてかわされて、って感じやった。」

思うような結果を残せなかった独立デビューイヤー。
残したホームランもわずか1本にとどまった正田は、アルバイトと家庭の事情が相まってその年の8月にはチームを去っていた。

「オフシーズンまた社会人時代のクラブチーム戻って。室内のマシン借りて昼の1時から夜の9時くらいまで1人で打ち続けてた。めっちゃしんどかった(笑)。」

和歌山入団が決まってからも習慣は変えず。
9月からチームに合流する2月手前までの約5ヶ月間は黙々とマシンを打ち込んでいた。

「体は疲れてるけど、自分は疲れてると思わないみたいな。今でもオフの日には毎日練習してるし、(練習)行かない日のほうが少ないくらい。結局楽しいもんな。楽しくなかったらやってられない。」

目の前の快楽とを天秤にかけ、苦行の先に待つ大きな喜びに目を向ける。

「ウエイトも元々めっちゃ嫌いだったんよ。今でもジムに行くのとかしんどいし。それでもやって、上手くなるの想像したらモチベーション上がるよな結局。」

1番の目標はNPB。
そのための課題を一日一つずつでもクリアしていくことしか見えていない。

試合で出た課題しか考えないな。“今日こうやったから次こう打とう”みたいな。(プロで)こういう打ち方の選手いるなと思って、動画で観たりしてる。」

まさに絵に描いたような“独立リーガー”。
一野球人として素直に敬服する。

「辞めた時のビジョンが思いつかんもん、気づいたら50歳くらいまで(野球)やってそうだけどな。“もうこんな歳か”って(笑)。」

好きこそ物の上手なれ。
今年26歳を迎える野球小僧は未だバットを振り止めない。

高々と舞い上がる一筋のアーチは来たるファンを魅了する。

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コロナ禍で時間が生まれた時。

時代の流行りに則った正田が始めたSNSは今や若者のなかで目にしない人の方が増えてきた(?)TikTok。

「こんなに簡単に伸びるんや。」

と気づいたアカウントはフォロワー500人を越え、10万回再生を超える動画も。

“目が肥えた”野球人・野球ファンから見ても正田のスタイルはよく映える。
生の迫力はその数倍には収まらない。

迫力満点の豪快なスイングは今後もなお成長していくこと間違いない。

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