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失敗には必ず理由がある。

 売れた小説に理由はないけど、売れなかった小説には理由があります。なので私は、私の小説が売れなかったとき、原因について考えます。

 震災の10日後に発売された本や、発売日に台風が来た本は売れませんでした。流通会社(卸業者、日販、東販など)のトラックは、大嵐や大雪だと配送が止まるからです。
 大雪でも翌日か翌々日には配送されるんだから、一日や二日程度の配送遅れなんて、売れなかった理由にならないと思われるかもしれませんが、本屋さんの店頭に並べられるのは10日ほどです。今は書店に並びきれないほどの本が配本されているからです。10日もすれば返品されてしまいます。

 私の小説で、売れなかった小説について分析します。
 一ノ瀬真央名義で出版した「由香里十七歳」です。

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(私はAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。)

 売れませんでした。
 内容は、女子高生がおじさまを誘惑するお話です。
 母子家庭で、母の恋人であるおじさまに恋する少女が、不器用に誘惑するのですが、結局は母のことを考えて身を引き、二人の結婚を祝うというストーリー展開です。

 ポルノ小説で誘惑物は、熟女が青年を誘惑するお話です。
 女子高生がおじさまを誘惑するというお話は存在しません。
 あえて「ない」ものを書いたのには、私なりの勝算がありました。

 1.男性読者は若い女の子が好きなはず。
 2.ブルーオーシャンなのではないか。

 ですが、結果はダメでした。

 理由として考えたのは次の通りです。
 1.フランス書院の読者層は、40代~60代の男性会社員のため、女子高生は子供に見えてそれほど好きではない。
 2.熟女誘惑は、ふっくらとした抱擁力があって、読者は癒やし効果を求めている。女子高生が誘惑するのは癒やし効果がない。
 3.少女漫画的で、男性読者にはつまらなく思えた。
 
 一ノ瀬真央名義の小説は、その後もう一冊だけ出ましたが、編集から指定された「痴漢電車」という、苦手なテーマだったこともあり、こちらもそれほど売れず。だいたい私は痴漢男なんて全員死刑になれと思っていますからね。

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 商業は何でもそうですが、売れないと次はありません。一ノ瀬真央名義の仕事はその後完全に無くなりました。
 「私のおじさま」ではなく「私の少年」だったら、一ノ瀬真央名義でも生き残ることができたんじゃないのかなと思います。
 
 官能小説は、奇をてらったお話より、定番をきちんと書くほうがいいのではないかと思います。定番のお話には、そのお話を好きな読者さんがたくさんいらっしゃるのですから。

 書けるもの、書きたいもの、書かせてもらえるもの、読者さんの好きなもの、売れるもの、編集がほしがるもの、全部が同じならいいのですが、みんな少し違っていて、いつもいつも悩んでいる。
 作家をやっている限り、ずっと悩み続けることになるんだろうなあと思います。

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