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非モテ男性のための婚活サバイバルマニュアル

今日はあまりに不都合な事実についてお話ししたい。

基本的に、非モテ男性は非モテであればあるほど結婚生活が破綻するリスクが大きくなるという傾向についてだ。読者諸兄にとって耳心地良い話ではないかもしれないが、これはどうもかなり確度の高い事実である。

筆者も30代後半を迎え、周囲には結婚出産は無論のことそれを通り越して離婚や家庭内別居にいたるカップルも増え始めた。それら数多の既婚夫婦をつぶさに観察すると、どう見ても明らかに「非モテ」的な特徴を持っていた男性は厳しい夫婦関係に置かれていることが多いのである。

これは筆者の周囲のみならず、結婚相談所を営む友人などに聞いても同様の傾向が観測された。多くの男性は「不特定多数の女性にモテる能力」と「ひとりのパートナーと長年うまくやっていく能力」をまったく別個のものと見做しているが、完全にイコールで結ばれるわけではないにせよ、「男性の恋愛経験」と「夫婦円満」はある程度の関係性を有しているようなのだ。

なお公平を期すために「モテ」側の問題についても明示しておくと、並外れて女性経験が多くかつ年収が高い男性は離婚率が極めて高いという傾向もあるようである。確かに筆者の周囲でも、飛びぬけて年収が高い業界(外資系金融や外資系コンサルタントなど)に身を置き、なおかつ女遊びが激しかった男性は高確率で離婚している。これは激務故に夫婦間コミュニケーションが不足しがちというのもあるだろうが、やはりモテ過ぎてしまうと夫婦に問題が起きても関係修復ではなく「じゃあ次」となってしまいやすい面もあるのだろう。

だいたい、もっとも夫婦関係が安定しているのはモテ偏差値62程度の、「過去に3-4人彼女はいたしワンナイトもそれなり経験あるけどストナンとか極端なことはしていない」タイプの男性であるように思う。非モテであれ爆モテであれ、極端な方向の傾向があるとやはり夫婦関係は難しい状況に陥りがちなようなのだ。

というわけで本稿では、なぜ非モテ男性の結婚生活は破綻しがちなのかという不都合な真実と、それでもなお諦めず非モテ男性が円満な結婚生活を実現させるための具体的な方法について綴っていく。正直なところかなりキツイ内容ではあるので、心臓の弱い方は注意しつつ読み進めて頂きたい。


つながりを求める男性、金を求める女性

みなさんもご存じの通り、日本の女性はパートナーに経済力を求める傾向が極めて強い。よく欧米の夫婦関係は情熱的でロマンチックと言われるが、裏返せばそれは男性が女性を扶養しないからである。

男性が女性を扶養しない社会においては、女性は男性を「ロマンチックなパートナー」として適格か否かで判断する。だからこそ日本の夫婦セックスレスを彼ら欧米人は理解できないのだ。「自分の生活費は自分で稼ぐ」が当たり前の規範として身に付いている彼らにとって、セックスしたいと思わないパートナーなど存在自体が意味不明なのである(だからこそ離婚率も高いのだが)

しかし日本を含む東アジアにおいては、婚姻とは「ロマンチックなパートナーシップ」ではなく「扶養を媒体とした交換取引」というニュアンスが大きい。つまり夫は妻を扶養する代わりに、妻は家庭内において家事や育児や家政などの役割を果たす。男女の分業を前提にした上で、男性は稼得と扶養、女性は内助の功…という役割分担を定めたのが東アジア式の婚姻制度と言える。

しかし今の時代になって、妻に「内助の功」を求める男性など絶滅危惧種と言っても良いだろう。たとえ妻が専業主婦であったとしても、家事育児を丸投げなどケシカランというのが令和日本の狂気的風潮である。「内助の功」を妻に求める男性など最早存在しない。では彼ら結婚願望がある男性が何を求めているかと言うと、言うまでもなく妻子との情緒的なつながりである。

つまりある意味で、男性側の婚姻観は欧米化しつつあるのだ。この時代、妻からの献身的なサポートなど期待できないのだからある意味で当然である。多くの男性は「家政婦」ではなく「ロマンチックなパートナー」として女性を求めており、だからこそ男性が意識的に婚活をはじめるタイミングは女性に比べて圧倒的に遅くなる

しかし一方で、女性側の婚姻観はどうだろうか。

勘の良い読者はお気付きだろう。そう、女性側の婚姻観は旧来の東アジアモデルから一歩も出ていないのだ。「男は扶養。女は家事育児」と当然のように思い込んでいる。それでいて家事育児を男性も負担すべきなどと寝言をヌカしているあたりは狂気的な二重思考としか言いようがないのだが、ともかく女性側は相変わらず男性に対し「情緒的なつながり」よりも「経済力をはじめとする扶養能力」を求め続けているのである。

これは統計的な調査でも確かめられており、たとえば第16回「出生動向基本調査」(2022)では、男性が「精神的な安らぎ」を結婚の利点の筆頭として挙げ続けるのに対し、女性は「精神な安らぎ」を重視する割合が年々減少し「経済的に余裕が持てる」など稼得性を重視する割合が急増している。

引用:第16回「出生動向基本調査」

このように、現代男女の結婚観には大きな隔たりが生じているのだ。結婚がイエや世間から強制される義務ではなく個々人の自由意志に委ねられた結果、男性は「つながり」を女性は「金」を求めるという結婚ニーズの男女乖離が生じている。


結婚相談所で結婚するとなぜ後悔しやすいのか

このミスマッチは、しかし一般的な恋愛結婚ではそれほど前衛化しない。恋愛結婚では男女共にまず「ロマンチックなパートナー」として相手を選択したのであり、そこに軸足がある以上は極端なニーズのミスマッチによる関係性の破綻は比較的発生しづらい。

しかし結婚相談所などを通じたいわゆる「条件婚」においては男女のニーズがミスマッチを生じさせる可能性が高くなる。意外に思われるかもしれないが、恋愛婚よりもむしろ見合い婚の方が結婚観の齟齬が生じやすいのだ。例えばIBJ(大手婚活プラットフォーム運営企業)の実施したアンケート調査では、

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週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

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