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【30 Fiction Challenge(9)】流行りのアレ

医「次の方どうぞー」
患「失礼します」
医「内山博文さんですね。今日はどうされました?」
患「実は、お恥ずかしながら、最近流行りのアレにかかってるみたいで・・・」
医「はいはい、流行りのアレですね。ちょっと見ていきますね」
患「よろしくおねがいします」

医「今、どこか痛いところはありますか?」
患「いえ、特にはないですね」
医「今までに大きな病気にかかったことは?」
患「いえ、特にはないです」
医「そうですか、子供の頃はなんと呼ばれてました?」
患「博ちゃんですが、でもそんなの関係ねぇ、でもそんなの関係ねぇ!」
医「なるほど。確かにこれは関係なかったですね?」
患「そうですね」
医「なるほどなるほど。内山さん、あなたの余命3日です。」
患「どんだけ~!」
医「なるほど。わかりました。」
患「僕は大丈夫なのでしょうか?」
医「これは典型的な流行語病ですね。新型ではないようなので治療も問題ないでしょう。」
患「よかった。」
医「ただ、内山さんの場合は2000年過ぎたあたりに流行ったモノに長く感染していますので、完治するのには少し時間がかかるかもしれませんね」
患「それは、どげんかせんといかんですね」
医「でもまぁ、入院の必要はないでしょう。お薬だしておきますので、1週間ほど様子を見てまたいらしてください。」
患「ありがとうございます。」
医「しばらくは、必要以上のマスメディアは控えるようにだけお願いしますね」
患「わかりました。気をつけます。」
医「気をつけないとすぐに悪化しちゃいますから。では今日はこれでいいでしょう。」
患「ありがとうございました。」
医「はい、お大事に。」

患「あ、そういえば、薬はいつ飲めばいのでしょうか?」
医「今でしょ」

【制作時間】
 1時間34分

【コメント】
 『田丸式メソッド』と言われる、作家の田丸雅智さんが提唱するショートショートの書き方をしてみました。単語を2つランダムに選んでそれを組み合わせたお話を考えるというもので、今回は「クリニック」☓「流行語」でした。普通に創作をすると「いいお話をつくろう」というのが目的になってハードルが高くなるけど、田丸式は「お話を成立させよう」というのが目的になってハードルが低く感じてちょっと書きやすかったです。

【30 Fiction Challenge】
物語素人の状態から毎日1つ何か書くチャレンジをしています。
https://note.com/wakaranaism/n/nde12fb03c66d

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