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能登半島地震における旅館の記録⑱

今年は暖冬と言われているが、もちろん雪が降る日もある。旅館がcloseしてから2ヶ月になろうとしている。寂しさと寒さで館内は冷え切っている。電気代も押さえる為に、スタッフは厚着をしてそのまま仕事をしている。旅館にかかる固定費をどれだけ抑えられるかも、経営者としては考えていかなければならない。みんな協力ありがとう!

宴会場からの隙間風も冷たい

さて、前回の記事で調理場の片づけをしたとUPしたが、2日間であっという間に終わってしまった。みんな仕事が早すぎるのだ…。

すでに業者さんが引き取ってくれました
空になった冷蔵庫
電源OFF

このスタッフのパワーを今後は旅館の復興だけでなく、奥能登の復興に活かしていきたいと考えている。
そして今、多田屋スタッフはそれぞれに自分のやれる事をやってくれている。経営者としては、出社出来ない時間を是非有効に使って欲しいと思う。その第一弾としてスタッフは自分たちで声を掛け合い、ボランティアに出かけている。ボランティアの参加の仕方もまだまだ試行錯誤中のスタッフ達。

多田屋の売店商品を扱ってくれている
bancoさんへお手伝い
お米の配送のお手伝い

そして、スタッフは色んな報告してくれるので嬉しい。違う形ではあるけれど、多田屋が前を向いて動いている事を実感できる。最近のみんなの合言葉は【水が出れば…水がでればもっと色んな事ができるね!】3月中には復旧出来るといいのだが…。でも贅沢な事は言えない。何故ならば、毎日全国各地の水道局の方々が寒い中一生懸命作業して下さっているからだ。本当に皆様には心から感謝を申し上げたい。

七尾市HPより復旧の作業風景
2月21日の調査業務の様子 七尾市HPより

旅館の配管もどうなっているかが不明。
業者さんを呼びたくても、ある程度の状況が把握できていないと業者さんを呼んだが、何も出来なかったでは困る。とにかく、色んな事を解決するには時間がかかるという事を日々痛感している。

自力で地面を掘ってくれているスタッフ

そんな時、遠い国から応援してくれている人の言葉を思い出す。震災後、遠い遠い所から何度も連絡をくれている。

村の生活はもともと水ありき、電気ありきで成り立ってないので、停電にも水無しにもなんの問題もないのです。ってか停電はあるわけない😅そもそも電気ないし。が、ナイロビの暮らしは日本と同じで水道、電気があることが前提の社会なので、断水、停電になると、ほんとに弱い。といっても、ナイロビも頻繁に停電、断水してるので私たちは慣れてます。1番無駄な水の使い道はトイレだよなー、といつも思っていて水洗じゃなかったら、なんの問題も無いのに💦昔ナイロビで1ヶ月断水の時あって、その時からトイレは大きいのした時以外は流さない、とやってたので、いまだにその癖があり、小の度に流す、なーんてことは勿体なくて日本でも出来ないくらいです🤣

じつは、昨年、多田屋にマサイ族の長老さんが来て下った。ご縁あって多田屋でお仕事していた女性が、マサイ族の奥様だったのだ!
その縁で息子の通う和倉小学校、娘の通う能登香島中学校や七尾市、多田屋スタッフに講演会をしてくれた。

ジャクソンさん、永松さんありがとう!

社長は、小さい頃からあこがれていたマサイ族に大興奮!それ以来年、出社したらずっとシュカ(シュカはスワヒリ語で「布」という意味)を巻いていた。
水や電気がある生活が当たり前で、それが使えない事になるなんて思いもしなかった、平和ボケの私たち。マサイ族は小さい子供達が、当たり前のように水汲みにでかけ、それを大切に使う。彼女の言葉には 重みがあった。

多田屋の浴衣がとても似合っていたジャクソンさん
ずっとジャクソンさんの隣をキープしていた社長

多田屋としても2024年のプロジェクトのひとつに、マサイの人たちの為に何かできないか皆で考えていこう!というのがあった。もちろん、今もそれもあきらめてはいない。ジャクソンさんや永松さんが遠くからいつも心を寄せてくれているように、私たちもこのご縁を大切にしたいと思っている。また、必ず会いましょう!アッシェ オレン(Ashe oleng)!(マサイ語でありがとう) ジャクソン教育基金

スタッフが売店にマサイ族コーナーを作ってくれていた
いくつかの装飾品が破損してまったが
他の物は大切にしまってある

1月13日
七尾市の「災害廃棄物仮置場」が開設。
初日は仮置き場まで着くのに2時間長蛇の列、仮置き場はプラスチック、木くず、コンクリ、家電と別れており近くに停めれば職員の方手伝ってくれていた。また、多田屋は4月末までは休館確定、その後は未定であると全スタッフに伝える。

能登半島地震における災害廃棄物が240万トンに

多田屋にはまだ出せないゴミが山ほどある。いつそれを片付けるのかもまだ決めてはいない。2月も余震が続いており、気が休まる日はない。

続く…

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