山梨県にプロ野球チームが作りたい大学生の年間総括[前編]

*°*°*°*°*°*°*°*°要約°*°*°*°*°*°*°*°*

  1. 動き続ければ何かが動く。

  2. 発信を大切にしなきゃね。

  3. 仕組み作りめちゃ難しい。

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 2021年1月1日。とあるSNSで「山梨県に新しい『プロ野球チーム』を作りたい」という趣旨の書き込みがあった。

胡散臭い。夢見がちな大学生。

そういった印象を抱いた方も多かっただろう。
1年間でどこまで進歩したのか。
何ができて何ができていないのか。
これからどうなっていくのか。
現状を共有いたします。
(転機には(★)マークを付けています)

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§0. ~大学進学【なんで私?なんで野球?編】


初めての方に軽く自己紹介をば。

高校3年夏まで野球部所属。弱小チームの副主将。
・フラレボ導入→打撃向上
・アップとダウンの充実→怪我予防
を図るも、主力の故障離脱を防げず初戦敗退。

(★)自分自身も腰椎分離症・椎間板ヘルニアに悩まされる。→臨時コーチ:馬見塚尚孝先生との出会い。腰椎分離症は小学生期のオーバートレーニングが原因の多くを占めることを知る

スポーツドクターを志し、大学受験を経て医学部へ進学。
当初はアスリートのメンタルケアや動作解析に興味があり、神経生理学の教室に出入りしていた。
また、心身相関を学ぶために心療内科の短期セミナーを複数回受講。
元・NPBチームドクターの先生にアポイントを取り、直接話を伺うなど精力的に学習していた。

(★)その中で、現状の保険制度だと怪我をしてからの競技者にしか介入できないことに課題感を覚える。自分が後悔しているのは怪我を防ぎきれなかったことであり、怪我を治せなかったことではない。スポーツ障害の予防を行うにはどうすれば良いのか?(…❶)

大学受験を機に、東京から山梨へ引っ越した。
(★)もともと興行野球も見ていた(生粋の燕ファンだ)が、山梨県では幼少期から野球に親しめる環境がなかった。NPB12球団が存在する都道府県と、存在しない府県での野球人口減少率の大きな差を目の当たりにする。
現在こそ世界ランク男女とも1位だが人口減少は競技力低下に直結する。野球界の将来のために何ができるか?(…❷)


課題❶❷を解決するためにはどうすれば良いのでしょうか…?
ということを考え続けた結果が、§1. になります。

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§1. 2020.12.14【そうだ、球団をつくろう。編】


前述の課題❶❷を解決する特効薬は何かないのか。父も大の野球好きなのだが、2020年の9月頃、父と晩飯を喰らっていたときに、ふと話題に上がったことが。

『山梨って、独立も野球チームないよね。』

各地域の野球振興・地域活性化を目論む独立Lの存在を知ってはいたが、実際に現場を見たことはなく。ただ、調べれば調べるほど大きな可能性を感じる領域だった。

(★)これは面白い。山梨県に独立球団を立ち上げ、スポーツ障害予防のモデルを作ってみようか。

思い立ったはいいものの、いち学生が「野球チームを、作りたいんですよ~(トムブラ風)」と言っても社会人たちに相手にされるとは考えにくい。
なぜ相手にされないのか。現場経験もない、実績もない「学生」だからだ。 
(★)であれば、いち「社会人」として認めさせれば良い。ビジネスプランコンテストで賞を取ろう。
そう決めたのが9月末頃だったか。

丁度よく、全国から山梨に参加者が集まるビジコンがあるとの案内を見つけた。これに出よう。

そして、12月12日~14日にわたって行われた『Mt.Fuji イノベーションキャンプ 2020』に参加したのである。

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参加したはいいものの、当初待ち受けていたのは「そんなに甘くねえよ」という社会の壁だった。言われていちばんキツかった言葉は、

(★)『キミはここにビジネスを披露しに来たの?それとも夢を語ってチヤホヤされに来たの?後者なら帰った方がいいよ、他の参加者に失礼だから。』

と。いやはや、ハタチの若者に対して酷い言い草である。今振り返ってもここまでしんどかった3日間は無いだろう。
だが、厳しい言葉は期待の裏返しで、助言を活かして実直に修正することでどんどん白熱していった。

(★)私が出場したのは「START部門」という現場未経験の方向けの部門だったが、そこでメンターの先生方が大切にしていたことは

① なぜ誰々(わか)がやるのか
② なぜそのコンテンツ(野球)なのか
③ なぜその地域(山梨)なのか

という3つの「なぜ」と、そして課題解決の展望だった。それぞれを深掘りしていくことで、それぞれへの答えを得た。

① → 原体験。§0. 参照。
② → 原体験と野球界の将来への不安感(課題❶❷)。
③ → 山梨のスポーツ界が抱える「成人の運動率が全国最下位」「ストレス値もワースト2位」「小学生の体力テストが40位台」といった課題。

『プロ野球チーム』を設立し、トップダウン的にスポーツ障害予防を啓発したり、運動習慣改善への取り組みを進めることでこれらの課題を解決出来るのではないか、と発表した。

結果。

『START部門 第2位』『アントレプレナーシップ賞』

ビジネスのビの字も知らなかった医学生が、先生方の指導と、そして執念で掴み取ったのは、準優勝と審査員特別賞だった。

こうして見事(?)いち社会人としてのスタートラインに立ったのだが、とはいえまだ多くの課題を残していた。それが

i.)主体=球団の経営ノウハウを知らない(収益化どうするか)
ii.)客体=ひとりではなにも出来ない、二人称の仲間がいない
iii.)環境=山梨県内の球場が整備されていない

こちらの3つである。2021年はこの3つと向き合う1年間になるだろう…と予測された。

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§2. 2021上半期【修行&通暁&起業 編】


元日にSNSアカウントにて決意表明を行い。

i.)主体=球団の経営ノウハウを知らない(収益化どうするか) 

 年明け早々、まず着手したのは現状理解だった。 県内の野球環境、独立Lの野球環境など。 学生でありながら既に独立Lの現場で働いている先輩方(年下もいてビックリ!)や、日本最大の球団数を誇るルートインBCリーグの村山哲二代表(株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング 代表取締役)など、様々な方にお話を伺い、見識を広げた。

中でも大変お世話になったのは三木田龍元氏(現・長崎ヴェルカ職員<元・福井ワイルドラプターズ職員<独立L選手)。
ご自身の経験をお伝え頂いただけではなく、私たちのプロジェクトに対して助言を頂いたり、ご縁を繋いで頂いたりと、様々な面で応援して下さった。
>>本当にありがとうございます。

(★)独立Lは各球団様々な「面白い」取り組みを行っていたが、とりわけ興味が惹かれたのがルートインBCリーグ・茨城アストロプラネッツだった。私が医療業界の人間ということもあり、福祉×スポーツという分野を拓いている茨城アストロプラネッツ(以下茨城AP)の活動は非常に鮮烈だった。

とあるご縁から取り次いで頂き、自分たちのビジョンや考えを山根将大社長(株式会社アドバンフォース/株式会社茨城県民球団 代表取締役)に直談判した。

すると、山根社長はビジョンや野球界への危機感をご共有くださり。だからこそ、茨城はこの球団作りなのだな、と認識することができた。
そしてなんと、茨城APで球団職員としてインターンをしないか?とのご提案を頂いた。
願ってもない好機に心が踊るとともに、武者震いをしたことを覚えている。
こうして学生生活と並行しての球団職員インターン生活が始まった。

球団を持続可能にするために、現場に入り現状を打開する果てしない闘いが。

そのために実際事業を回し、肌感覚で学ばなければならなかった。

それについては後編で記載したい。

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ii.)客体=ひとりではなにも出来ない、二人称の仲間がいない


仲間集め・チーム作りをするにあたって、いちばん悩んだのは「自分の要求レベル」である。
どの程度まで相手に要求していいのか。
野球への情熱も、自分は生粋の野球バカだし、自分のビジョンを理解してくれるかはわからないし。

(★)その中で、一番最初に高校の野球部同期Uくん(彼が主将で私が副主将)を口説き落とせたのは幸運だった。
同程度の野球への熱量があり、そして何より大学でも経営学を専攻している。
彼が加わったことが、今年前期の動きの活発化に繋がったことは疑いようがない。

それ以外にも様々な社会人の方からご協力頂き、前半の活動に繋げることが出来た。ただ、やはり同世代で共に動ける面々というところに課題を残した。

お世話になった皆様には感謝してもしきれない。

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iii.)環境=山梨県内の球場が整備されていない

山梨県内で野球興行を開催するにあたり、いちばん大きなネックとなっていたのが「球場問題」である。とくにナイター設備が全くない。
以前にも山梨県内で球団作りに尽力されていた方がいらっしゃるとのことで、年明けから色々とお話を伺ったが、やはり球場問題は大きなネックになったと推察された。

(★)ルートインBCリーグに所属する8球団(2022年基準)は平均して8~9球場ほどナイター開催可能な球場をもつ。一方、山梨県には小瀬スポーツ公園野球場(山日YBS野球場)のひとつのみである。
南部町にあるアルカディア球場を含めても、ふたつしかない。

富士吉田市には「日本一美しい球場」である「富士北麓公園野球場」があるが、景観保護や世界遺産保護の諸々から夜間照明の設営は厳しい。

甲府駅から徒歩で行ける緑ヶ丘スポーツ公園野球場は、住宅街に隣接していることや老朽化の進行などから軟式球に限定される。

南アルプス市・櫛形総合公園野球場(ジットスタジアム)、都留市・都留市総合公園楽山球場など、綺麗で興行可能と思しき球場はあるが、それぞれナイター設備がなく、またバックスクリーンの改装も必要である。

新球場を作るのか、それとも既存球場を改修するのか。

県スポーツ振興課や、スポーツ協会の皆様ともお話し、方針を考えた上半期だった。

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以上が今までから2021上半期まで。

好評であれば後編も公開したい。

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