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いにしへの和歌まとめ~京極派冬歌~

「いにしへの和歌まとめ」2020年11月第3週

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及ばぬ高き姿を体現する

子宮系歌人 梶間和歌です。


たまたま今週、というか最近は

京極派の和歌ばかり紹介しておりました。


「京極派って何??? 」

……そのうちきちんと書きますね。


すごく簡単に書きますと、

鎌倉時代中期から南北朝期にかけて

持明院統(北朝)周辺で採用された、

「心の絶対尊重」を第一に置いた

和歌の流派です。


恋歌には理屈っぽい失敗作も多いですが、

感情を排して描いた季節の歌などには

はっと心打たれるものが多いですよ。

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11月16日 ふりしける庭の落ち葉がうへにして霜にあとある村時雨かな

源具顕。


秀歌に不幸は“必要”ではない、が、

現実問題不幸を経たほうが

秀歌を詠むのに必須の“研ぎ澄まされた心”が

育みやすい。人間だもの。


という相関関係はありますね。


11月17日 をちこちのいづくもかくやしぐるらんこなたかなたにまよふうきぐも

源具顕。


自身や肉親の死という

誰にでも共感してもらえる不幸に甘えて

歌を詠むか、


そうした不幸を味わいながらも

それに甘えることをせず

歌は歌として研ぎ澄ました心で詠むか。


11月18日 浮雲は軒ばの峯をこえかかりしばししぐれて又過ぎぬなり

永福門院。


「心の絶対尊重」を第一とした京極派は、

心を忠実に表そうとするあまり

字余りなどで韻律を崩す欠点も抱えました。


その欠点を補うため、彼らは

双貫句法や同音反復などの技法を発展させ

音楽性の高い和歌を詠む工夫をしました。


11月19日 さやかなる光もぬれてみゆるかな時雨の後の庭の月影

永福門院。


二、三句「ぬれてみゆ」の主観や

三句「かな」の詠嘆が

さほどうるさく働いていない奇跡。


和泉式部やそれ以前の和歌では

こうは行かなかったでしょうね。


下の句の冷静さや体言止めに

助けられたところもあるのでしょう。

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金曜から日曜にかけては

コラムやお知らせの記事を掲載することが多いです。


和歌の紹介は週の前半に。


それでは、また来週。

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PS.

死ぬほど和歌記事があるので

「もう読む記事がない」となることはまずない

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