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いにしへの和歌まとめ~京極派冬歌多め~

「いにしへの和歌まとめ」2020年12月第1週

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及ばぬ高き姿を体現する

子宮系歌人 梶間和歌です。


この週も京極派多め。


京極派の季節の歌は良いですよ。

作者や作中主体の感情が

描く対象に投影されていない歌が多く、

その研ぎ澄まされた感性が清々しい。


ほかの時代の季節の歌と比べるとよくわかります。

機会がありましたら、ほかのものと見比べてみてください。


今週だと、水曜日のみ

京極派から見て約100年前の、新古今時代の歌です。


が、京極派と新古今の季節の歌と比べるより、

『古今集』とか『源氏物語』とか

そのくらい時代をさかのぼったものと比べたほうが、

違いが際立ってわかりやすいと思います。

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11月30日 村々に小松まじれる冬枯の野べすさまじき夕暮れの雨


永福門院。


「むらむら」は京極派歌人愛用語のひとつ。


ほかに、「冴ゆ」「しをる(しほる)」など

いろいろあります。


その人や集団の愛用語や愛用した技法がわかると、

その人や集団の思想も察しがつくようになりますね。


12月1日 かれつもるならの落葉に音すなり風吹きまずる夕ぐれの雨


伏見院の晩年の娘、進子内親王。


記事内では動詞の活用について触れました。


原則と例外、というか


原則と

例外の原則


を覚えておくと、応用が利き、楽ですね。


12月2日 影とめし露のやどりを思ひ出でて霜にあととふ浅茅生の月


飛鳥井雅経。新古今歌人です。


新古今時代の歌の言葉の省き方は、なかなかです。

特に藤原家隆のそれがすごいですね。

天才定家もそうですが、

家隆には定家を超えたアクロバティックさがあります。


新古今は難しいだの

やはり歌は万葉だ古今だのと本気で言う方々は、

プロダンサーの研ぎ澄まされたダンスより

幼稚園児のお遊戯のほうが良いと、言うのかしら。


難しく、生半可な知識や覚悟では何の良さもわからないような

高度な歌と向き合うからこそ、

「この歌が理解できるようになりたい!!! 」

とこちらの意欲も燃えるというものではありませんか。


12月3日 霜はらふかれのゝあらしふきさやぎしろくのこれる有あけのかげ


源具顕。京極派揺籃期に活躍し早世した人です。


古典和歌だからすべてすばらしい、

という盲目的な鑑賞の仕方は、かえって歌に失礼です。


私は、

「この歌はこういう理由でつまらない」

「この歌のここは文法的に間違っている」

ときちんと言いますし、

言えるだけの知識と感性を養う努力をしています。


この歌については「ふきさやぎ」が気になります。

詳しくは本文をご覧ください。


金曜から日曜にかけて連載したコラムでは、

noteで経験したうれしい出来事を題材に書きました。

そちらもまとめますね。


それではまた来週。

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PS.


死ぬほど和歌記事があるので

「もう読む記事がない」となることはまずない

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