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『生殖の海』 2023年版 第八章「水底の死」

割引あり


『生殖の海』 2023年版 第八章「水底みなそこの死」

今はたゞしひて忘るゝいにしへを思ひいでよとすめる月影

建礼門院右京大夫


なべて世はかりそめにる草枕結べば消ゆるうたかたの夢

うつゝとは夢まぼろしのあはひにてまことゝ紛ふ幻のうち

さしかゝる夕日の影のうつろひに暗さほの増す散りがたの花

きのふ見し花をけふ又見むとかはうつるならひの世の果てにして

なべてみなひともゆかりも水底にりぬてふ夢を見き起きながら

月も日も西にかたぶく世にひとはものゝふとして生き去りにけり

人の死にかろき重きはなしといふさかしらごとを繰るこゑもあり

ふぢの花やまぶきのはな苔に寄せて夕風ごとに春ぞ暮れゆく

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