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(感想&雑感)『 プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』田中研之輔:著

どうも!おはようございますからこんばんわ!まで

 今回は、『 プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』についての感想&雑感を書いてみたいと思います。

1.そもそもプロティアンに興味を持ったきっかけ

 読者の中で、転職活動をする過程で転職エージェントを活用したことがある方もいるかもしれません。下記の図は転職エージェントの仕組みを図式化したものとなります。一般的には人材紹介というビジネスで登場するプレーヤーで、人材を欲している企業と転職者の間に立ち成功した場合に年収として支払われる額の一定額を報酬として支払う仕組みです。

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 エージェントの質・企業体としての質は千差万別で、転職希望者サイドから見たら担当エージェントが自分のことをきちっと見てくれていない可能性を感じる部分もあるのかもしれません。私は、このようなエージェント事業とは一線を画すビジネスモデルをここ最近発見しました。

 上記はポジウィルという会社が提供しているポジウィルキャリアというサービスです。これは、転職するしないの前段階である『今の会社でいいのかな』 『やりたいことが見つからない』など、ぼんやりとした悩みにアプローチをしてそれを言語化するための伴奏をするサービスで、代表の金井芽衣氏の言葉を借りればキャリア版ライザップだそうです。このサービスの監修に携わったのが、今回取り上げる『 プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』の著者である田中研之輔法政大学教授です。つまり、プロティアンという考え方をビジネスというレベルに落とし込んだ一つの手法としてポジウィルが提供しているポジウィルキャリアというサービスが存在するという事は、その根幹にあるプロティアンという考え方を知る必要があるなと思いました。

2.感想1.プロティアンキャリアとは?

 プロティアンキャリアは元々米ボストン大学のダグラス・ホール教授が1976年に提唱した考え方で、ギリシャ神話に出てくる神プロテウスが環境に応じて変幻自在に姿を変えることからなぞらえて、変化に応じて自分の意志で変化できるという事とキャリアを掛け合わせたと著書では記されています。

 これまでの日本社会で謳われているキャリアは組織との一心同体で築き上げていくのが主流で、組織内における社内競争をいかにして勝ち上がるかというところに重きが置かれていました。しかし、プロティアンキャリアの文脈では組織との一心同体ではなく個人がキャリアの主導権(アイデンティティ)を握りどのようなキャリアを歩みたいかを考え、その過程の中でどのような関係性を構築していくかに重きが置かれています。一方でキャリアの主導権を握るとしても、それがビジネス市場から歓迎されなければ意味がありません。そこで、プロティアンキャリアを考える上でのもう一つの軸として順応する力を表現するアダプタビリティのバランスが保たれた状態、それがプロティアンキャリアの第一歩だそうです。

3.感想2.キャリア戦略を練ることの意味

 ダグラス・ホール教授がプロティアン・キャリアで大切なのは、「自らのやりがいや目的を達成したことで得る心理的な成功」と述べています。つまり、自分自身にとってのやりがいや目的を達成することでどんな心理的状況になるとハッピーなのか?ということです。組織を軸としたキャリアを歩む過程では自分らしさを抑圧して組織にとってという部分に重きがいくため、自分というものが分からなくなるかもしれません。

 田中先生は、キャリアをビジネスキャリアをライフキャリアの二つに切り分け4つの時間軸(生物としての年齢ではなくキャリアの転換期)に分けて振り返る・考えることを提唱しています。そうすることでビジネスとライフが良好な関係性を保つためのキーワードを抽出して、そこからそれているかどうかを適時適切に振り返ることができると言っています。

 しかし、昨今のコロナウイルスをはじめとして世の中が混沌として不確実性が高い中で中長期スパンでキャリア戦略を練ることへの意味を考えてしまうのもまた事実なのかもしれません。実際米スタンフォード大学で教鞭を執られたクランボルツ教授らが提唱する「計画的偶発性理論」では、個人のキャリアの8割は予想だにしない偶発的なことで決定する、だからアンチプロティアン・キャリアの側からはキャリアを練っても意味が無いという意見が出てきます。だけど、田中先生はこれに真っ向から反論しクランボルツ教授の「計画的偶発性理論」が言いたいのは、その偶発的な出来事に備えて計画的に設計して個人のキャリアを良くしようという事だと述べています。つまり、プロティアン・キャリアも「計画的偶発性理論」も未来という時間軸で捉えることができる共通項があると田中先生は著書で述べられています。

4.最後に

 本当はその後資本というキーワードでプロティアン・キャリアを捉える部分における感想も書こうと想いましたが、今回はここで筆を置きたいと置きます。だけど、『 プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』が訴える共通のキーワードは何かと考えたとき、それは変化と個人なんだと思います。

 ここでいう変化には昨今の新型コロナウイルスやリーマンショックをはじめとした不可抗力の要素が高い変化や自分自身の心の奥底にある熱量の変化や結婚等の環境の変化等、自分自身が主導権を握れる側面で選択した変化と自分自身のアイデンティティが両立できているのかどうなのかというのがより一層問われてくる時代において、考え方のテキストとしておおいに学びがあったなと思うのと同時に、混迷を極める今の時代だからこそキャリアカウンセリングというビジネスモデルが有料でもある程度ビジネスとして型が出来るんだなというのを発見した良い一冊だと思いました。



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