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【No.8 高校生スポーツ選手において筋サイズの性差が顕著な体幹筋は?】

※今回のnoteでは性差についてのみ紹介しています。

<背景・目的> 
これまでの研究では,体幹部を構成する筋群のうち,大腰筋における性差が明らかとなっているが,他の筋群についての性差は十分に検討されていない.この研究では,高校生スポーツ選手及び一般高校生を対象に,体幹部筋群の形態的発育の性差について検討を行った.

<方法> 
・対象者 
高校生
スポーツ選手:男女各102名(陸上競技短距離種目・長距離種目・投擲種目,バレーボール,バドミントン,ボート,カヌー,柔道のいずれかの競技種目の国体強化指定選手)
一般高校生:男女各18名

・測定および分析 
0.2 TのMR装置を用いて,体幹部の横断像を撮影.腹直筋腹斜筋群(外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の領域),大腰筋腰方形筋脊柱起立筋群(腸肋筋,最長筋,棘筋,多裂筋の領域)の横断面積及び体積指標(平均断面積×腰椎長)を算出.全ての筋群の体積指標を合計したものを全筋群体積指標とした.体格の影響を考慮し,筋体積指標を除脂肪体重(空気置換法により測定)で除した相対値を算出.

<結果> 
腹斜筋群,大腰筋,腰方形筋,脊柱起立筋群の体積指標(除脂肪体重当たり)は,男子が女子より有意に大きかった.
✓腹直筋の体積指標(除脂肪体重当たり)に有意な性差はなかった.
性差は,腹直筋,腹斜筋群,脊柱起立筋群の体積指標(除脂肪体重当たり)で小さく,大腰筋の体積指標(除脂肪体重当たり)で大きい傾向にあった(図1).

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図1. スポーツ選手と一般高校生における筋体積指標の除脂肪体重割値の男女比率

<考察> 
本研究の結果から,腹直筋を除く腹斜筋群,大腰筋,腰方形筋,脊柱起立筋群に形態的発育の性差がある,と著者は指摘.大腰筋サイズに特に大きな性差があることに関し,生得的な影響や骨盤構造の性差との関連を著者は考察している.

<結論>
高校生スポーツ選手において,腹斜筋群,大腰筋,腰方形筋,脊柱起立筋群に形態的発育の性差があり、特に大腰筋サイズの性差が著しい.

<文献情報> 
村松ら:高校生スポーツ選手の体幹筋群の筋サイズ―性差と競技種目差の検討―,体育学研究,2010

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpehss/advpub/0/advpub_09046/_article/-char/ja