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GLASS HEART関連創作「素描 by 藤谷直季」&「インタビュー」【無料記事】

初出 1998年発行 同人誌『プラーミアコミックス』収録(2008年12月発行『RED RED ROSES』に再録)

藤谷君の書いた詩です。いろんな意味で恥ずかしいのでお蔵に入れていました。しかし見直してみて「まあ……これはこれで……」という気持ちに多少なったので歳をとるのも悪くない。付録としてなぜかインタビューが付いています。

無料公開です。やはり恥ずかしいので……。

※noteの仕様上、一部のふりがな、傍点が省かれています。
※都合により予告なく公開終了することがあります。


素描(詞/藤谷直季)

 

金環蝕


 そうしてそこにいたんだね

 ずいぶんととおいばしょにきたけれど……
 きみのことすきだったよ
 すきだったよ

 肩の凝ることばかり謳ってどうしよう
 まぶしいとげを食べていきてゆこう

 なげかわしい夜をいくつも
 知っている

 ぼくの骨、きみにどんなに役にたつだろう
 ぼくがいなくてもどうか泣かないで

 おいさきみじかい嘘はやめてさ
 物語を彫って
 ぼくたちここに
 逢っている

 ぼくの声、きいている?

 幸いの雨はふりつづく、永久に……
 きみがいたことわすれないよ
 わすれないよ

 原始のぼくたち



カレンダー



 屑みたいにすてられた。
 きみの細胞核のひとかけら。
 あなたが愛さなくても僕がひきとるよ。
 そういうのってあり? 法律的になし?
 どっちみちもうはじまっちゃったんだ。

 こころの奥底の螺旋、ばかにして見放しちゃ駄目だよ、ないてしまうから。
 おいで。
 いろんなハナシをできたらうれしいんだ。
 嗤わないで、ここだよ、灯台の火を頑張ろう。
 けっしてやめないで。

 臆病な右脚を。
 不自由な硬い鍵盤を。
 くずれそうなアンモナイトを。
 ふるえるほそい弦を。
 誠実な音階を。

 ぼくはどこか怠けていないかな?
 のこさずに食べて。
 数多の栄養素。

 銀色の光のむこうを。
 のぞいたら。
 僕はもう知っているよ。

 みたこともない、
 海だ。



END OF SILENCE (secret)



 ほら
 さざなみが君の心を
 撃ちぬいた
 もう

 光の武器を片手に、嘆きの花を胸に
 はしりだすんだ

 風がつよく
 今日を攫うだろう
 大地に眠らせた力を
 おもいだす

 僕たちの眼を曇らせるすべての
 罠をつくらせたりしない!

 愛されながら
 愛しながら
 ロゴスの剣を
 輝く心臓を

 抱いてゆくよ

 誓った、あの場所へ

 here's the end of sadness.
 beginning of ……



【初出1998年・同人誌「プラーミアコミックス」】



付録 藤谷直季(ten blank)personal interview



◆最近何してるの? 近況を教えてください。
 わかんない。さっきご飯食べてたことはわかってるけど他のことって今いちわからない。あっそうだあのね、僕のこっちの指、バンドエイド貼ってあるのわかる? 楽譜の紙で切ったらしいんだけど、地味に流血してたらうちの坂本君が「まわりに迷惑だから」とバンドエイドを貼ってくれたのですが、そのシチュエーションにすこしドキドキしました。そういう近況です。
◆出身はどこですか?
 日本です。
◆それは国籍では?
 あっ海外にいたこともあります。子供のとき。でも日本生まれ。
◆和食と洋食どっちが好き?
 和食のほうがヘンな音階を感じます。特にご飯とお味噌汁に。
◆ゆるせないことはありますか。
 ありすぎる。特に自分について。自分で買ったものはまだいいとしてもね、人から貰った物をなくしちゃうと自分が許せない。後悔で一晩くらい悶々とします。そうすると次の朝にベッドの下から出てきたりします。
◆他人にゆるしてほしいことはありますか。
 才能。
◆日常生活で気にかけることは?
 とりあえず服は着よう。つまりね、あんまりくだけた恰好じゃなくていつ突然外出してもいいくらいの服は着ておこう、です。
◆最近、泣いたことはありますか。
 ゆうべ泣きました。電話の、留守録の内容を聞く前に消しちゃって。
◆尊敬する人は?
 手塚治虫さん。あっこれ僕の師というより友達の影響だ。僕が全般に尊敬するのはね、女の人。どうやっても勝てないから。
◆作詞・作曲の悩みを教えてください。
 僕、ヘタだから。いやになる、ほんとに泣きたくなる。いつもうんとがんばってるんだけど誰かに「フン」とか「ケッ」とか言われるかもしれないので……あのね、ここ笑うとこじゃなくて本当に悩んでる。
 これだ! ってのが上から降ってきたときはやっぱり僕天才だなと思うんだけど……なんだろう、自分の手が天才さに追っつかない感じ? ごめんね、何言ってんだかわかんないね。もっと向上したいという話です。
◆好きな女性のタイプは?
 タイプって何? 血液型とか? 勇気と誇りのある人は好き。でもこの条件は人類全般にあてはまるよね。そうじゃなくて誰が好き? って訊いてよ。
◆今、好きな人は?
 朱音ちゃんと坂本君が好き。高岡君とは昨日けんかしたので除外。おとなげないけど、あのねえ、ほんとにねえ、あのひと俺に対しては随分ねえ……。心の傷が癒えたらまた好きになります。
◆悲しいときはどうしますか?
 どうしようもない。
◆あなたにとって音楽とは何ですか?
 …………………………音楽は音楽で、それ以外ちょっと言えない。
◆あなたのファンをどう思いますか?
 僕、本当のところ「ファン」て言葉を使うのあまり好きじゃない。なんか集合体っぽいから。それってひとりひとりの顔が見えなくなる感じがする。「ファンレター」って言葉もやだ、手紙は手紙でしょ。
 僕たちの音楽を聴いて価値を認めてくれるひとがいることはとても嬉しいです。そういう大事なひとたちにお金を出してもらうのが恥ずかしいような仕事は、僕は絶対にしない。
◆今回掲載の詞についてコメントを。
 いや、僕があえて語ることは、あんまり……。一応、TBとは別枠のものというか……うん……。これはね、素描です。
 ほんとは歌えたらいちばんいいんだけど。付録にCDつけてさ。
◆いちばん大切にしているものは?
 生命。僕の。とにかく死にたくない。ここは踏んばらなくちゃと思ってる。だって僕の知りあいみんな、僕がうっかり足をふみはずすのを怖がるから。
◆最後に訊きます。今、いちばん欲しいものは?
 …………ミルクティー。熱いやつ。そんな感じ。(笑)
◆けっこう無欲なんですか?
 ええっ!? そんなこと絶対にないよ!!


【初出1998年・同人誌「プラーミアコミックス」】



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