短歌月九ネプリ 第二回『歌人韻々物語』三首選
こんばんは。若枝あらうです。
1月からスタートしたネプリ「月九」、第2号の配信終了が明日と迫っております。今回もギリギリですが、私も三首選を。プリントアウトまだの方は是非下記ツイートを参考にお手にとってくださいませ。
以下、三首選。
まだ文字になれないままのさざ波を重ねるように書く筆記体 / 近江瞬『英語の海に』より
なんと美しい1首でしょう…。覚えたての筆記体をさざ波に喩えるなんて。文字といえばインクのイメージもあるからか、波という単語との相性の良さにしばし呆然としました。そのイメージのまま3首連作をまとめられているのも見事ですし、この1首だけで主体の年齢を想像させて残りの2首を読ませる上手さにも脱帽です。
総務課の彼女が消えて幾星霜散りゆく茶葉が止むことはない / 柏原十『語りのなかの人』より
散りゆく茶葉という言葉の詩情に思わず唸りました。心象風景を歌ったものと捉えましたが、幾星霜という言葉に置き換わるほどの長さで抱き続けている半ば執念のような思いを散りゆく茶葉に喩えることで、茶葉の香りのような清廉な印象を与えているところが素敵だと思いました。
ひげ剃りのとちゅうの顔でクラシックバレエのよさを語っていたね / 御殿山みなみ『quietdance』より
自分はそういう顔で語ってしまいがちな趣味を持っているので一読した時はなんか馬鹿にされているような印象さえありましたが、ダメだ…ひげ剃りのとちゅうの顔をして笑ってしまう…!!ひどい!!(褒めてます)
技術的にも「とちゅう」っていう平仮名が開いてあるのが上手いなぁと思いました。とちゅうって言うと髭剃りのとちゅうみたいな顔になりますしね。
今回の三首選は以上です。
今後も #短歌月九ネプリ をよろしくお願いいたします!
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