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遣唐使~井真成~

 2004 年10 月、中国の西北大学博物館に未知の日本人の遣唐使関係者の墓誌があることが報道された。名前は井真成、長安において734 年正月に36 歳で死去したといい、「姓は井、字は真成。國は日本と号し」とあるので、日本人であることはまちがいない。井上忌寸、葛井連といった渡来系氏族がおり、「井」はこれらを略したものであろう。墓誌は蓋と身の石材からな
り、蓋は一辺37㎝の正方形、厚さは7㎝、身は一辺39.5㎝の正方形、厚さは10㎝で、中国の墓誌としては小型、全171 字の文字数も少ない部類に入る。


 墓誌には彼が才能ある人材であったこと、そして君命を受けて遠国に赴き、上国である唐に到来したと記されているので、彼が遣唐使に随行して入唐したことがわかる。「禮楽を蹈みて衣冠を襲ふ」は彼が中国的教養を身につけたことを示すが、「束帯して朝に立たば、与に儔ふこと難し」は「正装して朝廷に立ったなら、並ぶものはなかったに違いない」の意で、実際には彼は中国の官人にはなっていなかったことを推察させる。

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