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私は娘の自発的卒乳を目指している。

【雨だれのリズムで踊る5月の子】


うちの娘はひたすら踊っている。歌うし踊るし、飽きたら膝に乗ってきて授乳をせがむ。1歳8ヶ月になるが、卒乳する兆しは全く見えない。

この「断乳」「卒乳」問題らでひどく悩んだことがある。今だって、未だに夜泣きする娘を見ていると、無理やりにでも辞めさせたほうがいいのでは、と思う瞬間がある。それでも、私の乳をこれだけ大切に、大好きでいてくれる期間は今しかないと思うから、私は結局「自発的卒乳を目指す」という選択をした。

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現在、日本ではだいたい1歳くらいで断乳および卒乳をするのが一般的だ。それにくらべて海外は授乳期間が長い。WHOも2歳くらいまでは授乳を勧めているとのことで、日本の母子手帳もそれに準じる形で変更される予定だという。

WHOが2歳までの授乳を勧めているのがどんな理由かはよく知らない。日本ほど水が安全ではない国が多いから、という説もある。また、日本では1歳を過ぎると母乳に栄養がなくなると言われているが、変化はするものの栄養がなくなることはない、といわれてもいるのでそのあたりが理由かもしれない。なんにせよ、門外漢なのでネット知識か本の知識くらいしかもっておらず、実際のところはよくわからない。

私が授乳を続けているのは、WHOとか栄養とか母乳神話とかそういうことは正直どうでもよくて、ただ単に便利だからだ。手軽に娘を安心させてあげられるものが自分についている。ラッキー!くらいの心境だ。そして大好きなものから無理やり引き離されたら、私なら発狂する。齢30を超えた人間ですらそうなのだから、生まれてまだ2年も経たない娘から、大好きな乳をとりあげなくてもいいだろう、私も平気だし、と思っている。

ただ卒乳させない分、歯医者に行くのは早かった。1歳過ぎたくらいから既に幼児歯科の専門医がいる病院を調べて通っている。家から車で30分くらいのところなので、割と遠いのだが、幼児歯科に強いというのが決め手だった。

授乳自体は、噛まれたり爪を立てられたりと痛い思いをすることもあるものの、そこまで嫌ではない。出産直後に比べれば些細な痛みだとすら思う。出産直後はまだ皮膚が弱いので、吸われると皮膚が切れることがある。また乳腺が開通していないので、それだけでも痛い。世の男性たちよ、知っておいてほしい。初期の授乳は激痛なのだ。出産直後は下半身も痛いが、上半身も痛いのだ。間違っても、うちの夫のように「いいよなー、おっぱいがあってー。それだけであやすのが楽になるじゃーん」などと軽々しく言ってはいけない。この痛みを味わえ!!と当時は本気で呪った。寝られない、上も下も痛い、それだけでも気が立つのに、追い討ちをかけてはいけない。

さて、卒乳していない今、授乳関係で嫌なことをあげるとするならば、それはただひとつだ。

周囲の意見。特に意見したくてうずうずしている義母とかそのあたりの方。さんざん言われたものだ。「早くやめさせたら?」「乳首にカラシぬれば?」「歯に悪いのよ!」「1歳でやめさせなさい」などなど。

知ってます。歯医者行ってます。大丈夫です。執着が激しい子なので。ご心配ありがとうございます。

と言ってはいるが、正直相当鬱陶しい。鬱陶しいことこの上ない。

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育児にしろなんにしろ、基本的に常識は時間とともに変化するものだ。無論やり方も変わる。そもそも育児は子どもによって何が正しいかが変わるのだから、一般的なやり方など存在しない。自発的に卒乳する子もいるし、親が辛くて授乳をやめたくなる場合だってあるし、6歳になってもやめない子もいる。同じ親から生まれた兄弟ですら違うのだから、「普通」でくくること自体がナンセンスだ。

だからこそ、育児をしている親がストレスを溜めないようにするのが1番なのだ。そしてストレスを溜めないためには、親が自分と子どもにとって1番いい方法だと思う育児をするのが1番なのだ。早めにやめてもいいし、やめなくてもいい。親がやりやすいほうでいい。

ネグレクトや虐待でない以上、他者がそこに嘴を突っ込んではいけない。特に授乳の悩みは母親にしかわからない。だから、夫であっても軽々しく断乳を指示してはいけない。うちの夫みたいに「とりあえず一回断乳してみたら?」なんて、口が裂けても言ってはいけない。おかげで私も娘も相当振り回された。特に娘は吐きそうになるくらい泣いた。泣いて泣いて、呼吸が止まるかと思った。おかげで私も続ける決意をしたのだけれど。可哀想なことをしてしまったと、今でも後悔している。

いつか私も義母なり母なりの立場になるのだろうが、今の気持ちは忘れたくない。義母やらそのあたりの人はいろいろ言ってくるが、無神経だとか意地悪だとか思っているわけではないからだ。おおむね善意なのだ。しかし善意だから言われたほうはより苦しむ。正解が分からないからこそ、まわりの意見に振り回されてしまう。


悩みを受け止めること。寄り添うこと。

本人の希望や選択を肯定すること。そして支えること。


娘が母になり、私がばあばになったときには、そうしてやりたい。まわりの意見に振り回されて後悔して欲しくはない。

そして私も。自分が良いと思ったやり方を貫こう。後悔はするかもしれないが、「まわりのせいで」なんて思うよりは自分のせいの方がよっぽどいい。


育児は日々学びである。


とりあえず、今日も生きたし、娘も可愛かった。娘はひたすら踊りまくっていた。癒された。

感謝。

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