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小鳥と娘と私

【ゆすらうめ 吾子は小鳥になりにけり】


ユスラウメ。知らない方が多いかもしれない。中国原産の小さなサクランボのような実がつく植物だ。どうも調べたら、江戸時代から栽培されており、当時は「桜桃」と書いたが、サクランボとの混同を防ぐために「朱桜」と書くようになったらしい。

桜が咲く頃に、5枚の白っぽいピンク色の花を咲かせ、今時分に赤い実をつける。少しえぐみがあって酸っぱさと甘さがある。これが庭に生えている。

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サクランボと違って、枝にくっつくように実がなっている。取ると、ぽろりと実だけが落ちてくる。

甥っ子を含め、私たち兄妹に子どもができるまでは、小鳥の食べ物だった。ユスラウメの季節だなぁと思うものの、忙しさに紛れて、気づいたときには小鳥がすべて食べてしまっている。

そのせいか、うちにはやたら鳥が多い。大きいものでは白鷺、青鷺。カラスは当たり前にいるし、セキレイ、雀、名前も知らない鳥たちが庭でひと休みしながら虫をつついていたり、なにかの実を食べていたりする。

今年、久々にユスラウメを食べた。娘が外遊びをするようになり、一緒になって土にまみれる機会が増えたからだ。

もともと金柑を丸ごと食べてしまう娘なので、ユスラウメも平気だ。気づけば20粒くらいをひとりで食べていた。唇をつんと尖らせて、一心不乱に食べている。

そうか、そうか。美味しいかぁ。と、のんびり眺めつつ、草をむしる。

食べるのに飽きたら、娘は飛び跳ねて遊んでいる。巣立ちの前の小鳥のようだなぁ。なんて思う。

まだ巣立たれたら困るんだけど。いつかは巣立って欲しい。できたら大学からは県外希望。一人暮らしをしてほしい。私はできなかったから。

ひとりで生活して、服や髪や化粧や。遊び方や。いろんなことを自分で決める自由と責任を得てほしい。私は親への忖度があって、自由にできなかったな、という思いがある。だからこそ、親の影響下を離れて、自分で自分を育てる時期を得てほしい。


いつかはそんな話をしてやりたい。寂しいだろうなぁ、なんて、今から既に思っちゃうけど。


今日もひとまず終わるし、娘は夕飯も歯磨きもお風呂もせずに寝たし(涙目)、まぁそれでも今日も可愛かったし、良しとしよう。


感謝!

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