まいご4

問診が終わるころには1時間以上は経っているのではないか、と思うほどにクタクタに疲れていた。母は診療室から出る時に大きなため息をついた。私はそれが嫌だと感じたけれど、口には出せずに押し黙った。

「疲れたわね。今晩はスーパーでおかずでも買っていこうかしら。」

問診を受けたのは母ではないが、私以上に疲れ切っていて、老けたように感じた。

「うん。なんかごめん。」

何に対するごめんなのか、自分でも分からぬままに謝っていた。母はいいのよ、と無表情に答え、会計に呼ばれ診療代を支払いに立ち上がった。会計でもらった処方箋を歩いてすぐの薬局へ持っていったら、大量の薬を処方された。対応してくれた薬剤師は物腰が柔らかく、穏やかな声音で薬の説明をしているが、半分も頭に入ってこなかった。椅子に座り、はあ、はあと気のない返事をしている私の隣に立つ母が、代わりに返事をし、話をしっかりと聞いていた。正直、情けないと思うが、言葉が頭の中をスーッと通り抜けてしまってどうにもできなかった。


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