津田くんとつだ小学校

ある日、津田くんが言った。「つだ小学校っていうのがあるんだよ」と。小学生だったわたしは幼なじみと一緒に、その日だけ珍しく遊びに加わっていた津田くんの話しを聞いていた。

友だちと同じ名前の学校があるなんて信じられない。

「そんなのあるわけないよ!」

わたしたちは、津田くんを嘘つきよわばりした。

先日、初めて訪れる町を歩いている時にふとその話しを思い出しておもむろにスマホで検索しみた。小学校2年生の時に住んでいた地名を入力してスペースを空けてから「つだ小学校」と打ち込んだ。

あった。つだ小学校は確かにあった。それも私たちが通っていたM小学校から徒歩30分という距離に。

あの時、わたしの知っている世界は自分の家とM小学校だけだった。だから信じられなくてもしょうがないと言えばしょうがないのだけど、それと同じことを今もやってしまってはいないだろうか?
本当は歩いてすぐの距離にある事実を「ありえない」と決めつけて相手を嘘つきよわばりしている可能性は1ミリもないと言えるだろうか。

自信がなくて、だからわたしは旅に出る。世界の本当を知りたくて。

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