【あなたの短歌】ヨコハマハンドメイドマルシェの戸次さん

バクの子の木漏れ日状に落つ陽編み物をしてくすぐる指先

https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/smp/lifestyle/entry/2019/020058.html?sc_cid=yw_home_ii

戸次さんは裁縫や料理が得意な穏やかな雰囲気の男性だ。世間的には乙女男子と呼ばれるのだろうがどこか芯の強さを感じる。数年前に若くして妻を病気で亡くしたということだった。だからかもしれない。真摯に死と向き合ったことのある人間は強い。
奥さんも裁縫や編み物が得意で、マレーバクが好きな戸次さんにバクの刺繍のブローチを手作りしてプレゼントしたそうだ。マレーバクの子供は木漏れ日に擬態するために身体中に白いまだら模様がある。その木漏れ日の陽の光のひとつひとつが、亡くなる直前まで編み物をしていたという奥さんの指先の戯れのように思えた。戸次さんは闘病中に奥さんをものすごく支えた。でも戸次さんもまた奥さんの思い出に支えられているのだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?