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関西人の病院問答

「はい、山大病院です」
「眼科につないでちょ〜」
「はい、眼科受付で〜す」
「くぼちゃんで〜す」
「アハハハハ…クボケンジさんですか?」
「当たり!」
「どうされました?」
「ちょっと相談なんやけど、1週間くらい前から右手が痺れてるんよ、それで、昨日から、右のこめかみの上、側頭部が血管浮き上がったみたいに、痛くなったのよ。あやしいやろ?」
「怪しいですね?」
「ワシの人格とちゃうで、脳梗塞の前兆かもしれんやろ?」
「そうですね」
「脳梗塞やったら、死ぬかもしれんやん。 死ぬのはええけど、言語障害残ったり、ヨイヨイになるのん嫌やん」
「死んだらダメじゃないですか」
「それでや、この際、山大に行って、眼科からまわしてもらうのがええんか、それとも近所の藪医者に行くのがええのか、どっちがええかな?」
「ちょっとせんせに聞いて来ますね」

♪ 待ち受けミューック

「眼が痛いわけではないんですよね?」
「痛いことにしよか?」
「いやいや…それなら、とりあえず、一番近くの、脳神経外科か脳神経内科で診てもらえますか? それから、その結果でまた考えましょう、ということです」
「じぶん、忙しいからテキトーにあしろうてるのとちゃうやろな? 何やったら、救急車飛ばして行ったろか?」
「ちがいますよ。それが一番、早くて確実だからですよ。脳梗塞は処置が早ければ助かりますから…ウチなら、診察までめっちゃ時間かかりますよ」
「そやから、救急車かヘリでいこかと、言うてるやん」
「ここだけの話、救急車でも、処置は待たされますよ」
「そらそやな、休み明けやもんな。ほんなら、近所の医者に行くけど、脳神経外科と脳神経内科と、どっちがええのん?」
「近いのはどちらですか?」
「そら、脳神経外科やなあ」
「それならそこで」
「わかった。そうするわ」
「必ずご家族の方と一緒に行ってくださいね」
「嫌や。そんなんおらんもん」
「運転はあきませんよ」
「ほんなら、バイクは避けるわ」
「当たり前ですよ」

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「はい、△□脳神経外科です」
「今から行っても大丈夫?」
「初診の方ですか?」
「そう、初心者」
「保険証とお薬手帳を、忘れずに持って来てくださいね。それから、必ず誰かご家族の方と一緒にご来院下さい」
「ところで、いつ頃やったらすいてるのん?」
「う〜ん…難しい質問ですねえ…今日、今現在は、いつもよりはマシですけど」
「ほんなら、とりあえず行きまっさ〜」

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ということで、お医者に来ました。
脳神経外科。

「お一人で来られたんですか?」
「保険証とお薬手帳探してたら、家族を忘れてしもてん」

さて、診察。

「どないされはりました?」
「それがアンさん、カクカクしかじかでして…」
「それやったら、ここはドーンと一発、MRいっときましょか?」
「そらよろしいな。一番キッツイ、純度が高い磁気のやつ、エレキバンバンのを一本かましましょか?」
「30分一本勝負でっせ」
「ほなそれで」

くぼせんせ、危機一髪!

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