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エッセイ シャネルの5番

 実は、今日、非常に、胸が痛い。
 そしてその原因は、はっきりと わかっている。

 昨日、昼寝をしていて……ちなみに私は、寝がえりをうった時に、シャツがカラダに絡んで首がしまるのがうっとおしいので、冬でも夏でも、肌着を脱いで布団にもぐる習性があるのだ……。

 トランクスは、はいたままなのだが、これが不思議と、寝ているうちに必ず、無意識に脱ぎ捨てるようで……。

 要は、だいたいが、スッポンポン……つまり全裸=オールヌードで寝ているわけである。

 ああ、なんてセクシーなのだろう。

 かの、マリリン・モンロー女史が、

「私のネグリジェは、シャネルの5番よん」と、言ったそうだが、その言い回しだと、

「私のパジャマは、オイラックスの10番(%)よん」と、いうことになるのである。

 オイラックスとは、医者からもらった、痒み止めの軟膏のことである。

 さて、お昼寝中、ふと暑さを感じて、右手でかぶっていた上布団を払いのけたのだが、この時にどうやら自らの右の乳首を爪で引っ掻いてしまったようなのである。

 これが、思いのほか起きたあともずっと、痛むのだ。

 眼鏡をかけたり外したりしながら、悪い目をこらして、鏡に写した右の乳首を検証すると、少し頂上の皮がむけてるようにも見えるのだが……それ以上に、

「わしは、なんて情けないかっこうをしているんだ」
 という自己嫌悪に押しつぶされて、またまた、頭から布団をかぶって寝なおしたのである。

 あっ、追伸だが……一応、乳首には、オイラックスを塗っておいた。
 痒みも大きな枠では痛みに含まれると信じて……。

 それにしても、困ったものである。

 秋でもないのに、ただひたすら、胸が痛いのだから。   了

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