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エッセイ インドカレー

 今朝は、《スペッシャル 手づくりインドカレー モーニング》だった。

 何故「スペシャル」ではなく「スペッシャル」なのか?

 それは、昭和58年の春、私が入社した、某カーディーラーの、社長の次に偉い梶音部長…おそらく故人…が、宣伝チラシの特別仕様車を、必ず、「スペッシャル」、と、「ぺ」と「シ」のあいだに、小さい「ツ」をわざわざはさんで印刷屋に印刷させたからである。

 話を戻して…何故、スペッシャル、なのか?

 それは、ハウスバーモントカレーや、エスビーゴールデンカレーや、メタル印度カレーなどの、市販のカレールーを使わずに、10種類以上のスパイスをまぜてつくった、本格派手づくりカレーだからである。

 実は父親が、このカレーを焼いた食パンにつけて食うのが、大のお気に入りだった。

 一度つくり置くと、数日間カレーメニューが続くのだが、ひとことも文句を言わなかった。

 毎回、「おっ! 今日はカレーか」と、喜んだのである。 
 今考えても、アルツハイマーって、なんて素晴らしい病気なのだろうかと思う。

 ちなみに我が家のしきたりは、

「よっしゃ、カレーつくるぞ!」というとき、

 まずは自分が印度人になったように暗示をかける。

 今まで、印度人には何回かえらいめにあわされてきただけに、この心づもりが大切なのである。

 印度人に仕事をまかせた時、奴らの「やってみるアルよ」、というのほど怪しいものはない。

 これは、やる気満々、自信満々にあらず、
本当はできひんけど、そう言いたくない自分が大切なので、つい、そう言ってるだけなのだ。
 日本人の常識からすれば、とんでもない。

 覚えておいて損はない。
 典型的なのが、インド人の口癖の、
「No problem」

 普通に訳すと、「問題ありません。大丈夫アルよ」というのが万国共通のはずなのだが、
印度人のノープロブレムは、

「問題があることは、重々理解しとりますが、とりあえず、無理を前提に、ベストを尽くしてみまっさ〜まあ、まちごうても、期待せんといて〜」

 という、ことなのである。

 そうなのだ、このおおらかな気質を、自分に憑依させなければ、決して美味しいインドカレーはつくれないのである。

 材料は、ニンニク、生姜、玉ねぎ、ししとう、トマト、鶏肉。

 スパイスは、クミン、ターメリック、コリアンダー、天然塩、カルダモン、ガラムマサラ、チリペッパー、ホワイトペッパー、ブラックペッパー、ペッパー刑事邪魔をしないで〜

 材料やスパイスの量?

 それが、テキトーテキトー、♪ そんなの関係ねえ…

「くぼせんせ、そんなアバウトで、ホンマに大丈夫ですか?」

「 No problem ! 」。

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