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学びの種 #008「カタログを活用する」

 カタログは全体を見わたせるツール。全体をみてから部分に着目する。

 何かを学ぼうと思っても、何から手をつけてよいのかわからないことがよくあります。そこで役に立つのが「カタログ」です。
 カタログというと、通信販売のカタログを思い出します。様々な商品が一冊にまとめられていて、ついつい見入ってしまいます。本の場合、文庫や新書の目録が各社から出されています。しかも、ほとんどの場合、書店で無料で配布されていますし、Kindle等の電子書籍でも手に入ります。
 通常、文庫や新書の目録は、それぞれの本についての簡単な紹介文が添えられています。たとえば、角川ソフィア文庫の場合、下のような構成になっています。

カタログ

 「飛び地」「うんちく」「物語工学」など、自分の眼に飛び込んできて、気になった言葉に注目するのもよいでしょう。「学びの種 #003  辞書で書物占い」でもふれましたが、このような「偶然の出会い」を大事にしたいものです。目録の楽しみは、通常の本とは違い、順番に関係なく行ったり来たりしながら、自分の気になるページに飛べることです。また、書店や図書館でのように、一冊一冊を手にとってみる必要はなく、膨大な本の全体像を見わたせることも目録のメリットです。
 角川ソフィア文庫の目録は一般的なものですが、出版社によって様々な工夫がみられます。たとえば、2015年に出された文藝春秋の『70年の70冊 電子書籍で「戦後」を読む』は、戦後70年を機に、それぞれの年を象徴する出来事を取り上げた本を70冊紹介しています。
 また、光文社の『#光文社新書この一冊~1000点突破記念~』は、刊行点数が1000点を突破したことを記念して出版されたもので、著者・出版関係者105名がおすすめの一冊とその感想を寄せています。

 また、読者175名の本に対する思いも寄せられていますので、同じ一般読者の目線から本の内容を感じ取れます。たとえば、光文社新書大賞の1位に選ばれた、前野ウルド浩太郎さんの『バッタを倒しにアフリカへ』については、次のような感想が寄せられています。

あさくら@読書垢
バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎
大量のバッタ発生で深刻な農被害に悩むアフリカに、昆虫学者が乗り込むノンフィクションです。空を埋め尽くすバッタの写真は、絶対テレビでは流せない。推しのバッタに人生を捧げる熱量、圧倒されました。

 「空を埋め尽くすバッタの写真」という言葉が気になりますね。この目録では、本の紹介のあとにアマゾンへのリンクがつけられています。早速、『バッタを倒しにアフリカへ』のリンクをたどると、インパクトがある表紙の写真に出会います。これだけでも「ジャケ買い」してしまうかもしれません。

 今回はカタログのなかでも文庫や新書の目録を取り上げましたが、展覧会の目録や商品カタログも含めて、カタログというものは全体を見わたせるものです。全体をみて気になる部分に着目するという方法は、学びにとって重要です。また、文庫や新書の目録の場合、関係がありそうな本を数珠つなぎに読んでいくことで、知識が立体的に広がります

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