学びの種 #004「ラジオのすすめ」

ラジオを聴くことで聴く力と理解する力が高まる。ラジオでギアチェンジ。

昨日、TBSのラジオ番組「久米宏のラジオなんですけど」が最終回をむかえました。毎週、久米さんとゲストとの楽しいやりとりや久米さんの毒舌を楽しく聴いていただけに、番組が終わるのは残念です。

 さて、私の世代では、ラジオの深夜放送を聴きながら受験勉強をする、という体験を持つ方も多いと思います。かつては、番組を録音しないかぎり、あとであらためて聴くこともできませんでしたから、番組の内容はその場かぎりの「一回性」のものでした。ですから、「ながらラジオ」でも、面白い話題に展開すると、聞きのがすまいとして、受験勉強の手をとめて聴き入ったものです。
 ラジオ番組の良さは、そこにゆったりとした時間が流れていることです。パーソナリティもそのことを前提にしていますから、ある程度の制約はあるものの、話題があちこちに飛ぶことも良しとしています。リスナーもそれをわかっていますから、全体の文脈を気にしながら聴きます。「文脈を気にする」というのは、「ああ、あの話がここにつながるのか」というような言葉や話題どうしのつながりを、無意識のうちに理解しようとすることです。これは、小説を読みすすめながら、「ああ、あの出来事がここにつながるのか」という「伏線の回収」を理解するのと同じことです。
 一方、テレビの場合、即時性やスピード感が重要視されますから、情報が眼の前を次々と通りすぎていきます。しかも、フリップやVTRなど、情報のかたまりを見せつけられますから、こちらは分かったような気分になっているものの、実はそれほど理解していない場合も多いのではないでしょうか。
 その意味で、ラジオは「スローな」メディアです。リスナーは、なんとなく「聞く」モードと聞き耳を立てる「聴く」モードをうまく切り替えながら、知らないうちに「聴く力」を身につけています。また、文脈を気にすることで、話を理解する力も身につきます
 もちろん、テレビよりもラジオがいい、というような二者択一の問題ではありません。たまには、スピード感を重視する「ファストメディア」のテレビから、「スローメディア」のラジオに、ギアチェンジしてみませんか、ということだけです。

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