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2022年観戦ゲームベスト15(その2 10~6位)

こんにちは、こんばんは、おはようございます。
矮人@シャルトル学派です。

2022年も残すところあと数時間。
観戦ゲームベスト15を振り返っていきます。

今回は3回シリーズの2回目、10位~6位です。
そいでは、どうぞ!

〈10位〉MSH医療専門学校7-2岩国五橋クラブ(JABA徳山スポニチ大会1回戦)

ランニングスコアはこちら↓
MSH医療専門学校 vs 岩国五橋クラブ 試合経過-第51回JABA徳山(スポニチ)大会 : 一球速報.com | OmyuTech

ゴールデンウィークはJABA徳山スポニチ大会で中四国+αのクラブの試合を観戦していました。
優勝したのは沖縄のビッグ開発ベースボールクラブ。
1回戦で前年優勝の日鉄ステンレス山口シーガルス(現日鉄ステンレス)を降しての堂々の優勝でした。
都市対抗予選でも、宮崎梅田学園(その後第2代表で都市対抗出場)を降した投手力などディフェンス面が光っていましたね。

この大会も非常に楽しかったですが、特に心に残ったのは1回戦のこの試合。
MSH医療専門学校は2021年にクラブ選手権本選に出場し、初戦でハナマウイと延長タイブレークの激闘を演じたチーム。
対する岩国五橋クラブは、過去の徳山スポニチ大会の成績を見ても初戦負けがしばしばあり、どのような戦いになるのだろう…と思っていました。
結論から言うと、岩国五橋クラブの実力を見誤っていたのですが。

岩国五橋クラブの先発は白幡英記(大分大)。この投手がいいんですね。120キロ行くか行かないかの直球と緩い変化球のコンビネーションだけど、とにかくコントロールがいい。「打ち気をそらす」ってこういうことを言うのかな。

こんな風に、MSH医療専門学校の打線は凡打を重ねていきます。
3回裏には、岩国五橋クラブは一死一塁から沖川真之(周防大島高)の左適時三塁打、小谷啓介(和歌山大)の左適時二塁打で2点先取。

(最近、和歌山大の硬式野球部のことをいろいろ調べているのですが、この小谷選手は和歌山大の準硬式野球部出身なのですね…奥が深い。以下リンク↓
【応援!準硬式野球部】全日本大学選抜準硬式野球大会(清瀬杯)出場!【募金のお願い】 | 和歌山大学 (wakayama-u.ac.jp)

白幡は5回までMSH打線をノーヒットノーランに抑えます。
岩国五橋クラブの守備もなかなか堅実だし、これはひょっとするのでは?と思った6回表。
白幡は片山颯士(広島商高)にショートへの内野安打で初安打を許して、その後一死二、三塁とされると、益田寛人(矢上高)に中犠飛を許して失点。
7回にも味方のエラーなどがあり、同点とされます。

7回に白幡が降板後、その後も失点を重ね、惜しくも岩国五橋クラブは初戦敗退となりました。
しかし、近年のやや苦しい戦いぶりを感じさせない、見事な試合だったかと思います。

MSHは4番に小川大和(鳥取中央育英高)が座っていました。山陰出身者もそこそこいて、それも嬉しかったですね。
徳山スポニチ大会は面白いです。山口防府ベースボールクラブには捕手兼任ながら最速150キロの剛速球を投げる水本雄也(藤蔭高)がいますし。

ゴールデンウィークは様々なアマチュア野球の選択肢がありますが、徳山スポニチ大会で中四国のクラブ野球の沼に浸かるのも一興です。

〈9位〉大阪公立大3-1神戸大(近畿学生野球秋季リーグ2回戦)

ランニングスコアはこちら↓
大公大 vs 神戸大 試合経過-近畿学生野球連盟令和4年秋季Ⅰ部リーグ戦 : 一球速報.com | OmyuTech

国公立大野球のフリークとして、近畿学生リーグは外せません。
なぜなら現一部に和歌山大、大阪公立大、神戸大という3校の国公立勢を擁しているからです。
最近のリーグ優勝も、国公立勢が占めることが増えてきました。

さて、大阪シティ信金スタジアムで観戦したこの試合。
大阪公立大の先発は正中敦士(小野3)、神戸大は藤原涼太(寝屋川4)。

正中は関西5連盟オールスターで好投し、知る人ぞ知る好投手。対する藤原は2021年秋季リーグで力投し、神戸大に久しぶりの優勝をもたらした投手。
この2校に加えて東都大学野球連盟所属の一橋大を交えて、毎年「旧三商大戦」を行います。秋には東都大学野球三部秋季リーグで大田響介(小石川中等教育4)の快投も観ましたし、三商大の好投手を観られました。

さて、この両投手のマッチアップですが、予想通りの投手戦となります。

正中は素晴らしいストレートのノビと内外の投げ分けも素晴らしく神戸大打線を抑え続けます。正直、驚きました…

(ちなみに、神戸大のアカペラ応援が流れてますが、これは西濃運輸の「ゴーゴーセイノー」の旋律よね?)

対する神戸大の藤原も、やや本調子でない感じでしたがよくまとめて抑えていました。これぞ「4年生エース」の風格。背番号はなんと「1」。叫びながら投げる系の投手でもあり、気迫がみなぎってました。

試合展開としては、大阪公立大が3回表に藤原を攻めて野選と薗佑海(清教学園4)の犠飛で2点を先制。6回表には捕逸でさらに1点を加えます。

そして7回表、大阪公立大は二死満塁のチャンス。ここで神戸大は藤原を諦めて丹波夏希(畝傍4)に交代。
この丹波も凄く良かった。140キロ超の速球と変化球のコンビネーションがよく、このピンチを抑えます。
プロ志望届を提出し、来年はカンドクの堺シュライクスに入団するようですね。活躍を期待したいです。

神戸大打線の見せ場は8回裏。代打田村陸(郡山4)の右二塁打、齋藤大地(明星4)の左適時二塁打で1点。さらに内野安打2本で無死満塁。
さすがに正中代えるか?と思いましたが、なんと続投。
正中は確かにいいのだけど、スライダーが見逃されているのと、やや高めに浮きだしている感じがして怖かったのですが。
しかし、正中はここからが凄い。4番の日下凌(畝傍2)、5番の西本匡希(豊中4)を二者連続三振、水谷元紀(加古川東4)を右飛に打ち取ります。

そして、正中は13奪三振で1失点完投勝利。164球の力投でした。

この試合を観ていて感心させられたのが、両チームの守備の堅さ。神戸大のファースト水谷は、やや送球が高めに浮いても長身を伸ばしてよくさばいていました。
両チームの打線も、いわゆる野球強豪校出身はそこまで多くないのですが、お互い好投手相手でも一歩も引いてませんでしたね。神戸大は大阪公立大を上回る8安打。正中からこれはさすがとしか言い様がありません。
国公立大は4年になると就職活動等で試合に出なくなる選手も多くなるのですが、この日の両チームのスタメンには4年生が10人。むしろ「主力の座は渡すか!」という意気込みを感じました。

最終的には大阪公立大がリーグ戦で優勝するのですが、優勝争いした奈良学園大を撃破して優勝をアシストしたのは神戸大。大阪公立大と神戸大はお互い引退試合も行うような仲のようですし、「旧三商大」の絆も感じましたね。

関連記事↓

【近畿学生野球】神戸大 V争いの奈良学園大に連勝で入れ替え戦出場回避 5回に野田が決勝打― スポニチ Sponichi Annex 野球

〈8位〉オール大阪7-6オール東海(2022JABAクラブ交流戦)

ランニングスコアはこちら↓

今年はオールスター系はそんなに行ってない。このJABAクラブ交流戦とU-23NPB選抜-大学・社会人選抜の試合くらいでしょうか。
オールスター系からも何か選ぼうと思い、この試合を選んでいます。

JABAクラブ交流戦とは、2022年より始まった以下の取り組みです。

日本野球連盟公式サイト | 【東海地区:大会情報】オール大阪 vs オール東海 クラブ交流戦 (jaba.or.jp)

クラブチーム選抜同士の交流戦は、群馬と栃木の選抜チーム同士が試合をするなど、様々なところで動きが見られますね。

初日のオール大阪-オール東海、2日目のオール大阪-オール愛知、両方とも熱戦だったのですが、特にスコア的に白熱したのがオール大阪-オール東海でした。

スタメンはこちら。ドリームチームでした。

試合展開としては、序盤からオール大阪が攻め続け、5回終わって5-1とリード。
オール東海は6回裏には1点を返して2-5としますが、その後突き放されて2-7に。
しかし、9回裏二死から、オール東海は猛攻を見せます。
まずは二死三塁から、代打高山正登(奥伊勢クラブ/駒大)が中前適時打。

続いて二死二、三塁とし、川岸蓉平(静岡硬式野球倶楽部/静岡商高)が内野安打で2点返して5-7。

続く粶寛介(三重高虎B.C/津商高)があと一歩で同点本塁打の左適時二塁打。6-7と1点差。
後続が続かず惜しくも敗戦となりましたが、9回のオール大阪のマウンドには八尾ベースボールクラブの押しも押されもせぬ剛球エース・傳佐唯人投手(興国高)が上がっていたことを考えても、見事な攻撃でした。

クラブチームのなかでも、精鋭が集まったこの試合。
時折、企業チーム顔負けのプレーも飛び出し、プレーレベルも非常に高い試合でした。
オール東海のリリーフで出てきた焼津マリーンズの中村駿之介(東海大海洋学部)も久しぶりに観ましたが、相変わらず企業チームに投げても通用しそうな投球をしていました。

オール大阪は50歳の指名打者・小田大輔(泉州大阪野球団/テネシー大)も年齢を感じさせない打撃をしていましたね。

一部界隈で非常に有名な粶(はぜ)寛介捕手も、いいバッティングでした。

(スコアボードは相変わらず「ハゼ」表記でしたが…難しい漢字だからね。)

試合後は、各チームの選手の方々がチームや地区の枠を超えて交流を深めている姿が、グラウンド上でも観られました。
来年もこの取り組みは続けて欲しいです!

このメンバーで選手権対象のJABA大会とか1大会戦ったらどーなるんだろうね。そんな妄想をさせるような取り組みでもありました。

〈7位〉札幌市(北海道ガス)1-0川崎市(東芝)(都市対抗野球大会1回戦)

ランニングスコアはこちら↓
1回戦・東芝―北海道ガス|都市対抗野球2022 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
続いてはこちら。
都市対抗からも1試合は出さねばならないかなと思いこの試合をば。

正直なところ、一番結果にびっくりした試合がこの試合でした。

今年の東芝の戦いぶりは、3月のJABA東京スポニチ大会優勝を皮切りに、エースの吉村貢司郎(国学大=ヤクルト1位)と、藤村哲之(横浜商科大)などタレント揃いの投手陣が抑え、ベテラン中心の打線が好機を逃さず得点し、非常に盤石に見えました。
(少しだけ、打線のエンジンのかかりが遅いような感じはしていたのですが…)
一方の北海道ガスは、昨年の日本選手権で二大大会初出場を果たすと、そこから二大大会に3期連続出場。
エースの大城祐樹(桐蔭横浜大)を中心とした守りの野球が身上と伺っておりました。二大大会初勝利を目指します。
…ではありますが、やはり伝統の東芝が選手権対象大会も制していますし、大城を打ち崩せれば容易に勝てるのかな、と思っていましたが。
そんな私の予想は見事に砕かれます。

先発は予想通りの川崎市・吉村、札幌市・大城。

1回裏、札幌市の大城は二死一、三塁のピンチを迎えますが、西関東2次予選の殊勲者・石川桜太(東海大)を一ゴロに打ち取ります。
ここでまず抑え切ったのが大きかったですね。
両チーム膠着状態のまま迎えた4回表、先取点は札幌市。
一死から寺田和史(東北福祉大)が中前打で出塁。
続く安田大将(亜大)がヒットエンドラン成功、一死一、三塁。
ここで、長谷川寛(早大)がレフトへ犠牲フライを上げ、1点を先制します。
この回の札幌市の攻撃は鮮やかでしたね。

この回くらいからでしょうか、雰囲気が変わってきたのは。
そのまま両チーム、膠着状態を続けていきます。
7回表、川崎市は吉村から藤村に投手交代。藤村は期待に応えて三者凡退に抑えます。
そして、ヤマ場は7回裏でした。
川崎市は大城から福山亮(駒大)、中村浩人(法大)が連打し一死一、二塁。
ここで札幌市は大城から、日本製鉄室蘭シャークスからの補強選手・岩崎巧(法大)に投手交代。
北海道球界のことは詳しく知らない私ですら知っている、北海道屈指の投手同士の継投です。

その後二死満塁となるも、岩崎は落ち着いて田中達朗(日大)をショートゴロに打ち取ります。
岩崎さんが耐えてくれました!

こっから手の震えが止まりませんでしたが、岩崎は9回まで危なげないリリーフを披露。
札幌市・北海道ガスに二大大会初勝利と、北海道勢通算99勝目をもたらしたのです。

札幌市はこの後、2回戦で広島市・JR西日本に逆転負けし、惜しくも北海道勢100勝目とはなりませんでした。

北海道勢は、秋の社会人野球日本選手権には航空自衛隊千歳が出場。
これまで北海道球界を引っ張ってきた強豪チームであるJR北海道硬式野球クラブ、日本製鉄室蘭シャークスもこのまま黙ってはいないでしょう。
クラブ選手権でもTRANSYSが躍進し、様々なクラブチームも牙を研いでいるようです。

来年は大学野球も含めて、北海道に行きたいですね!!

〈6位〉大和高田クラブ2-0日本製鉄鹿島(社会人野球日本選手権1回戦)

ランニングスコアはこちら↓
1回戦・日本製鉄鹿島―大和高田クラブ|社会人野球日本選手権2022 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

二大大会からもう1試合。いろいろ候補はありますが、私としては社会人野球日本選手権のベストバウトはこの試合になります。
開幕戦です。JABA静岡大会優勝の日本製鉄鹿島とクラブ選手権優勝の大和高田クラブのマッチアップ。

都市対抗北関東二次予選で、個人的に推していた太田市・SUBARUの前に猛打で立ちはだかったのが鹿嶋市・日本製鉄鹿島でしたし、
クラブ選手権で、これまた二次予選から激闘を観ていて個人的に思い入れのあった全大宮野球団の前に立ちはだかったのが大和高田クラブでした。

↑都市対抗北関東二次予選第2代表決定戦より、日本製鉄鹿島代表決定の瞬間。見終えたあとしばらく立ち上がれませんでした…

↑クラブ選手権1回戦全大宮野球団戦より。西脇雅弥(龍谷大)の打力…

さて、そんな2チームの対戦はどうなるのか。
先発は、大和高田クラブが松林勇志(追手門学院大)、日本製鉄鹿島が大津亮介(帝京大=ソフトバンク2位)。両エースの対決です。

1回表、大和高田クラブは無死一、三塁から併殺打で先制。
4回表には、松本凌太(拓大)の右本塁打で2-0。

この日の松林には、この2点で十分でした。
内外の投げ分けで左腕から最速は140キロ台前半というところでしたが、日本製鉄鹿島の打線が抑え込まれてました。捕手の安岡将基(天理大)との息もピッタリでしたね。
2回裏には先頭の長谷川雄飛(駒大)に中三塁打されますが、一死三塁となりギアチェンジして抑え切りました。これで波に乗りました。
6回裏にも一死一、二塁の局面を迎えますが4番の生田目忍(星槎道都大)を遊直ゲッツー。社会人屈指の強打者とのこの対決は痺れました。

そのまま試合は進み、9回裏。大和高田クラブは松林からマウンドを受けた黒岩龍成(関西国際大)が無失点に抑え、勝利。
大和高田クラブとして、そしてクラブチーム自体としても4年ぶりの日本選手権勝利となりました。

日本製鉄鹿島のソフトバンクドラフト2位・大津も結局4安打2失点完投。ただ、先頭打者を出す場面が多く、数字以上に苦しんだ投球で、社会人野球のマウンドを去りました。
大和高田クラブを長年支えてきた松林の投球術が一枚上手だったということでしょう。
最後を締めた黒岩もカナフレックスを退部し、独立リーグへの移籍を模索しましたがかなわず、大和高田クラブに加入したと聞いています。
そのような継投で企業チーム屈指の強力打線を零封したことは、大変に意義のあることだったと思います。

大和高田クラブは2回戦の日本通運戦も接戦を演じ、京セラドームに爪痕を残しました。
さて、来年はどのチームがクラブ選手権の覇権を握り、京セラドームにコマを進めるのか。
そして、1チームでも多くのクラブチームに、都市対抗の東京ドームの舞台に立つことも願っています。

…さて、2022年のベストゲーム15選、10位~6位まで振り返りました。

続きは年明けに更新します!(ヲイ)

2022年もありがとうございました。

2023年のアマチュア野球界にも幸あれ!!

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