建設的な議論をするためにこそ、怒りを否定しないでほしい

これまで、WAIFUはマイノリティとして社会に意を唱えたり、マジョリティとして意見を受け止めたり、いくつもの立場と関係性の中で、議論やアップデートをしてきました。これからもそういったことが必要な場面がたくさんあると思います。

そういった時に、いつも忘れてはいけないと肝に銘じていることがあります。そして、議論をする相手と共有をしたいと思っていることがあります。

このあと更新する記事にも関連することなので、この機会に投稿してみようと思い至りました。


私たちの怒りを否定しないでください

フェミニストや女性、セクシュアルマイノリティ、クィア、障がい者、アジア人、黒人など、(あらゆる場面における)あらゆるマイノリティがマジョリティ(社会や企業や組織や取り組みなど)に改善や権利を求めるような運動が起こるとき、議論の本題以前に、必ずと言っていいほど「いきなり怒らなくても」「声を届けたいならもっと言い方があるはずだ」「なぜいつも怒っているの?」というような反論を目にします。

指摘や抗議に対し、このように言い方や態度だけを取り上げて反論することは「トーンポリシング」という名前が付けられているくらい、実に頻繁に起こる現象であり、度々指摘もされてきました。しかし、怒らなければいけなかった背景を考慮した上で、冷静に抗議内容に向き合うというマナーはいつまで経っても浸透していないように感じます。

怒りながら言われることと、優しく言われること、どちらを聞く気になるかと言われたら、誰だって後者を選ぶでしょう。そんなこと、子どもでも分かります。

怒らなければいけない状況には、必ず理由があります。
そして、マイノリティからマジョリティに対する主張において、攻撃的な言い回しやキツイ言葉が多いように思われやすいのにも、明確な理由があります。
マイノリティの声は、その名の通り、少数の小さい声です。声を上げるまで、問題とも思われていなかったことだったりします。それ故に、一度や二度では取り合ってもらえないことがザラにあります。

何度も優しく声をあげてきたよ。
いくら言っても聞いてくれなかったじゃん。
きちんと向き合ってくれなかったのは誰?

私たちは、いかなる暴力にも反対ですが、怒りについては、時には必要だと考えています。特に、大事なことを聞いて欲しいのに、なかなか耳を傾けてもらえないときには、怒りは有効です。”まず”振り向いてもらうために。

トーンポリシングに邪魔をされながらも、それでも怒り続けてきたことで、前進してきた社会問題もたくさんあります。
以前WAIFUが行ったアクセシビリティに関するトークの中でも紹介したことがある、『「青い芝」の戦い』という記事も、運動の歴史における怒りについて、とても参考になるので、気が向いた方は読んでみてください。

マジョリティこそがとるべき建設的な態度

指摘や抗議を受けて腹が立ったり、戸惑ったりしている人は、よくよく思い出してください。
その問題について、怒らずに教えてくれる人は、これまで全くいませんでしたか?
その問題について、冷静に指摘をしている人を、見かけたことはないですか?

そして、今怒りを抱いている人は、あなたに対しては”いきなり”だったとしても、これまでいろいろなところで同じ指摘をしてきた可能性もあるのです。
そのことに気付くのは困難かもしれませんが、可能性を想像することはそんなに難しくないのではないでしょうか。

もし、怒りが激しすぎて肝心な内容も何を言っているのか分からないなんてことがあったとしても、怒っていることをまずは受け止めて、「Yes、and…」の精神で、丁寧に聞き返す姿勢をとるのは、難しいですか?

前述した『「青い芝」の戦い』でも触れられていることですが、マイノリティが黙っていて、マジョリティから「何か困っていることはありませんか?」「こういうところでお困りではないですか?」と積極的に問題提起をしてくれることは、まずありません。そんな話、聞いたことがありません。

いつだって、マイノリティからの働きかけで、社会がより良く(この場合、差別が減ったり、ジェンダー平等に近付く状態を指します)なってきましたし、これからもその構造が変わることはないでしょう。

そういったことを踏まえて、指摘や抗議を受けた際、ついつい攻撃的だと感じる言い方や態度への苛立ちが沸いてしまっても、冷静に話の中身に目を向けることこそ、マジョリティがとるべき建設的な態度と言えると思います。そして、ことさら弱い立場からの指摘や抗議には、まず感謝をすべきだということを忘れないでほしいです。

WAIFUも、マジョリティの立場で意見を頂戴する場面が時折ありますが、このことは重々承知して、耳を傾けるようにしています。私たちもまだまだ日々精進をしている最中ですが、まずはこの前提をひとりでも多くの人と共有できると嬉しいです。

(テキスト:マユコ/ディスカッション意見・監修:WAIFUメンバー)


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