医学学習(COPD、喘鳴、循環器疾患の概要、結節性硬化症)

1.COPD

 中高年の喫煙経験者の慢性進行性の湿性咳嗽・痰・労作時呼吸困難で疑う。
しかし10%は非喫煙者に発生し、小児喘息での肺の低発育も一因か?
ほかに喘息とCOPDが混合した病態もある。
 呼吸困難は急性期のものと異なり、気づかないうちに進行。
 末梢気道閉塞と気腫性病変が混在し、肺胞壁破壊による気腫性病変により肺胞表面積が減少し、拡散障害(O2交換機能の低下)も併存する。
 診断では気管支拡張薬投与後の呼吸機能検査(スパイロメトリー)で一秒率70%未満が必須であり、ほかの閉塞性疾患を除外して診断する。
特に気管支喘息との鑑別が問題になるが、決め手はβ2刺激薬による気道可逆性検査で可逆性有り→気管支喘息、可逆性無し→COPD。
 一秒率低下に先立ちフローボリューム曲線では下降脚が下に凸になる。正常では右肩下がりの直線。
 薬物治療は気管支拡張薬(長時間作用性抗コリン薬がfirst)で行い、喘息合併例ではステロイド吸入も有効。近年はLAMA/LABA/ICSのトリプル療法がエビデンス確立中。
非薬物治療として、禁煙で増悪頻度が1/3になり、増悪防止でインフルエンザワクチン投与。

2.喘鳴

喘鳴は気道の狭窄によって起こり、まず第一に酸素飽和度を確認する。
初期では生命に危険を及ぼす疾患の除外が大切で、頸部に吸気時喘鳴を認めたら①アナフィラキシーや②急性喉頭蓋炎を疑い、①ではただちにアドレナリン筋注とヒドロコルチゾン静注、②では気道確保とセフェム系抗菌薬投与(インフルエンザ菌想定)。
③気管支喘息では呼気時のwheezeが特徴で、β刺激薬吸入を行う。
④うっ血性心不全では、夜間の発作性呼吸困難(就寝後数時間で)や起坐呼吸、最近の体重増加、経静脈怒張、両側の水泡音、下腿浮腫などの所見がある。フロセミドなどループ利尿薬静注で、前負荷をとることで喘鳴・呼吸困難は改善する。
⑤COPD

3.循環器疾患の概要

 循環器疾患は、①虚血性心疾患 ②心不全 ③不整脈 ④弁膜症 ⑤先天性心疾患 ⑥肺高血圧症 が頻度が多く、重要な疾患群となる。
これらの疾患群は互いに連鎖して発症する(例:①④⑤→②③や③→②など)。
 循環器疾患は総じて、生活習慣病(DM、高血圧、メタボ、脂質異常症、ほか喫煙)がリスクとなるので聴取する。
 ①虚血性心疾患は、プラークが安定した安定型狭心症では労作時の呼吸困難・20分未満の胸痛・胸部圧迫感の症状があり、硝酸薬が著効する。また、冠攣縮型狭心症では安静時の胸痛が出現し、β遮断薬は禁忌となる。
プラークが破綻もしくは冠動脈内皮のびらんに伴う血栓を形成した病態を急性冠症候群(AMI)と総称し、非安定型狭心症〜急性心筋梗塞が含まれる。20分以上続く胸痛、下顎や左肩への放散痛、呼吸困難がある。
慢性化した心筋梗塞では梗塞巣は線維化し、弁膜症を併発する例があるほか、収縮力低下を代償するため左室肥大にもつながる。その結果、心不全や不整脈をきたす。
 治療として冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)を行う。

 ②心不全は、障害のタイプから、収縮障害を伴うタイプと30〜40%を占める収縮障害を伴わないタイプ(拡張障害)とに大別される。それぞれを「左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)」と「左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)」と呼ぶ。HFpEFは心筋の硬さと不完全弛緩が原因となる。
またうっ血性心不全では、夜間発作性呼吸困難や起座呼吸といった症状が出る。
 心不全治療の目標は、臨床所見や運動耐容能、QOLを改善し、入院や死亡を抑制することである。急性心不全では心機能を賦活する治療(β刺激薬)、慢性心不全では心筋のリモデリングを予防するため

 ③不整脈を診る際は、第一に頻脈性か徐脈性か、次にQRS幅で心房性か心室性か、そしてRR幅が整か、の順で診る。徐脈性なら加えて、P波とQRSの関係を見る(P波の有無や、PとQRSの間隔など)。
心房細動は高血圧やDMが原因となることが増加している。塞栓症防止の為抗凝固療法としてワーファリンやDOAGを用いる。
心室頻拍では、血行動態が破綻した無脈性VTに注意する。

 ④弁膜症では僧帽弁閉鎖不全症と大動脈弁狭窄症が近年増加している。
MRは弁自体に原因があるものと、拡張型心筋症や虚血性心疾患による乳頭筋外方移動や弁輪拡大のような機能性のものがあり、左房・左室に容量負荷を呈する。
ASは加齢性が8割以上を占める。圧負荷により求心性に左室肥大をきたし、高度狭窄で心不全・心筋虚血(狭心症)・失神をきたす。経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)。

 ⑥肺高血圧症の原因として、肺血栓塞栓症後に数%に合併する慢性血栓性肺高血圧症や、肺動脈性肺高血圧症がある。

4.結節性硬化症

常染色体優性遺伝で、乳児期に点頭発作・精神発達遅滞、10歳代から腎血管脂肪腫・顔面(両側鼻唇溝)の血管線維腫、20歳代では爪線維腫や女性のみリンパ脈管筋腫症。
治療として、点頭発作にはACTH療法、腎AMLやLAMに対してmTOR阻害薬。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?