十七音〔スピンアウト〕 平成22年前篇


夕立の前触れ別れの背中押し 〔6月下旬篇〕

(30 日)
▼その人の山に逢いたく峠越え
▼夕立の前触れ別れの背中押し
▼貴方って天然なんだと少しずつ
▼さようなら握手の指のひとりごと
▼チョコレートつまみながらユーミンを

ドラマはいつだってわからないことだらけで終りを迎えようとする。
私のドラマは悲しいブルースのように、泣きながら。

意地をはって口笛を吹こうとしても、音にもならない寂しさ。

ユーミン。
ガ ンガンかけながら、高速道路を飛ばしてゆきたい。

(29日)
▼産屋灯のもれていろずく蛇苺 奥山甲子男

梅雨の合間の蒸し暑い朝に、こんな句を思い出す。
昨晩降った土砂降りがやみ、畦道の雑草に水玉が銀色に輝く。
ひっそりと蛇苺。わが子も夏に生まれし

(28日)
▼或る時のむくげの木曽路別れかな
▼前髪を切ったの?と問いかけて笑顔

日常は
別れと出会いの繰返し。
晴れと雨の斑模様。

いい日もあれば、センチな日もあるさ。

(27日)
▼海霞み紫草(ムラサキ)のにおいがごとしきみの影

何を思ったか
きみを思い出した。

もう思い出すべき人ではないのだが。

(24日)
▼今夜はカレーだった
▼少し苛立ってネコじゃらしを引きちぎる

カレーを食べたら、あくる日もカレー食べねばならないという法則。
お昼にカレーを食べそうでしたから、危なかった。

(23日)
▼どうぞあなたも孤独であってほしい雨 〔時実新子〕
▼青ガエルおまえが見たくて旅に出る

この花?トルコキキョウよ。
生けた花に手を添えながらそう説明をしてくれた人。
黄色い花がよく似合う

そんな貴方も、もう、やがてキライになれる。
ほんとうに?
自信ないけど。

(22日)
▼神田川、映画のように流れてる
▼きみと別れたときの発車のベルがよみがえる

こうして
昔を思い出しながら
今の自分のステップにしているところがある。

まっ、いいかあ。

(21 日)
▼夏至の昼実家の母を訪ねけり
▼おはようさん少し曇った夏至の朝

夏至の日に、母を訪ねる。
22日は月命日。

(17 日)
▼おはようという人遠し梅雨の朝

逢いたい。
そう思ったんだろうなあ。

(16日)
▼ 沙羅双樹思い出すのは鎌倉の

「鶴さん」の転記を開始した。
そのついでに、もう一度読み返してみる。

よく、こんな作品を書いたものだと、自分でも感心する。
2010-07-03

あじさいの紫が嫌い、口癖で〔6月上旬篇〕

(15日)
▼お迎えに手を振る前にキザになる
▼雨音に耳傾けながら氷割る
▼じゃじゃぶりやオシッコ漏れそう家遠し

ずいぶんと明るい気持ちになっているこのごろ。

ねえ、新しい恋人が出来たの?

そんな、わけ、ないだ、ろー

(14 日)
▼梅雨寂し路面電車の行き去りて

水しぶきを上げながら走り去る車両を機械のように目で追いながら電車を待つ。
そんな情景を思い浮かべる。

雨に
キミは
濡れていないか。

(13日)
▼霧雨に入り江も霞む梅雨の入り

熊野古道センターの脇の「古道の湯」に立ち寄る。
雨強くはなくも、対岸は霞んで見えない。
発電所の煙突のフラッシュライトが点滅するのをぼんやりと見ている。

(11日)
▼あじさいの紫が嫌い、口癖で
▼この恋は盗んできたのアジサイの花の言葉に梅雨を待てぬと

私が紫色を凄く嫌いなことを知っているのは、紛れも無く私の妻だけかもしれない。

(9 日)
▼その人に雨は似合わぬが傘はあう
▼ツユクサが語りかけているような雨

早く梅雨入りして欲しい心と
梅雨なんて嫌いだという心の、葛藤。

(高村薫とかを読んでいたあとだけに)
▼するすると心に忍び込むわ。恋する伊勢物語

俵万智。
ちくま文庫。
おもしろい。

▼目を閉じれば銀河鉄道であの人に会えるかな
▼花菖蒲ぬれて佇む蜜のつき

昔、夫婦で映画を見に行ったことがある。
映画を一緒に見るなんてことは、5年に1回も無いかもしれないのに。
やけに記憶に残っている。

蜜月。そういう題名の映画だった。

(7日)
▼青梅や親の小言の甘い酒

子どものころに、母が作ってくれた梅酒。
親の気持ちもわからずに、がぶがぶと飲んだ。
あれはあれで良かったのだろう。

近ごろ、母が梅酒を造るのを見たことが無い。
単に面倒なだけだろうと思うものの、母の梅酒を飲んでみたくなる。

(4日)
▼ はしかいと知っていながら麦の穂を千切ってひとつノートにはさむ
▼麦殻を吸うて甘し大人の味
▼花をいけて泣き出しそうな君を盗む
▼ 麦笛や幼きころの髪飾り

昔、そう、もう20年以上も前に、北海道の大地が一面麦畑で覆われている中を、バイクで走り抜けようとしたことがあった。

女性がバイクを止めて波打つ丘陵を見ていた。
麦の穂をひとつ千切って、タンクバックにはさんで、
口にも麦わらをくわえていた。

たくましい女性だったが、ロマンチックな輝きを放っていた。

海で育った子に、麦の匂いがわかるものか。

(2 日)
▼山吹の小径に消える後姿
▼海は嫌い悲しくなるのと人のいう
▼あの人に海の素敵がわかるかな

後姿というものは、何とも言えないものがある。
単に無防備の美しさだけではあるまい。
自分の後方へと物事を切り、棄ててきた清清しさと、諦めと、後悔が複雑に混ざり合っている心を想像すると、そこには美だけでは済まされない興奮がある。

もしも、あの人を例えるなら
山吹のような柔らかな色よりも、
真っ赤なバラのほうになるだろうと、かねがね思っていたが。

遥か遠い海のかなたに消えていってしまった鳥のように
私の前からストンと姿を消した人は、
海に遊ぶというよりは、
海と闘うような激しい姿が似合う人だった。

海は嫌いだ。
そう思うことにした。
2010-06-16

お別れにネクタイ仕舞って。衣替え 〔5月下旬篇〕

(31日)
▼あしたから元気を出そう五月尽
▼今日からはため息やめよと決めたのに

手帳のページめくりながら、今年も半分が過ぎたと思う。

元気出せよ、と自分を励ます。
そういいながらも、いつも、割と元気だ。

くよくよしない人になろうと思っているのだろう。

(29日)
▼お別れにネクタイ仕舞って。衣替え

仕舞う。
そんな些細なことが大事だなと思う。

お別れをするとなると、今更ながら、恋しいものだ。
どんなことにも、どんな人にも言えるのかもしれない。

(28日)
▼ツメクサの白きっぱりと指切った
▼衣替え私の白と君の白

シロツメクサが畦道に生えているのを見ながら、四葉を探して歩くようなことなど一度もしたことの無い自分を振り返る。

現実的な自分と理想的な自分が歩いてゆく。

衣替えが近いのだが、肌寒かったり暑かったり。

(27日)
▼恋心どうしたら届けられるか切ない満月
▼貴方の影と僕の影が寄り添う幻

満月と書いたが、ほんとは明くる日が満月だったかもしれない。
雲が掛かって満月など見えなかったのに、そう書いたような記憶もある。

遠くにいて、逢いたくて仕方が無い人も、同じ月を見ているだろうか。
そんなことを思ったのも昔のことで、今は、私が書くドラマの登場人物なんだな。

(26日)
▼ウチのほうは、すっかり青空になってきたわよん
▼ドクダミの花白き故君恋し

このころから梅雨の走りであったのだろう。
雨が降り、やがて止んで、晴れ間が見え始めたのか。
26日は水曜日で、家に居たと思われる。

ドクダミの花の素朴さが好きなのだろう。
何を思い浮かべたのか、今更、不思議。

(25 日)
▼爪痕が痛くも痒くもない別れ
▼ト長調、でもモーツアルトは嫌いなの

私の
言葉の遊びは、
まるで、いかさま占いが終わらないように、続く。

ハートのエースは出てこないのだ。

でも、そんなことはわかっている。
2010-06-16

今日からはため息やめよと決めたのに
五月が終わってゆく。
そう!半年が過ぎたの。

早いものね、とため息をつき、置いてきた過去と言葉に出来ない明日からの夢と希望を、ふっと思ってみる。
何かいいこと、あるといいな、とか考えている自分もいる。

過去なんて何もいいことなかったし、衣替えと一緒に自分も変われるといいのにな。

今日からはため息やめよと決めたのに ねこ作
2010-05-31

あなたの好きな八朔の花がさいてましてん
(23日)
▼はっさく
あなたの好きな八朔の花がさいてましてん、天国のお父ちゃん。
子どものころは、「おとやん」と呼んだのだ。
なかなかええ響きやなあ「おとやん」

ハッサクの花

▼くもりガラス
雨降りは嫌いだが、曇りガラスは好きだな。
「好き」とか、書いてみる

▼クチベニマイマイ
その名前クチベニマイマイと教えてくれた人。
揺れる唇

▼雨ってどうして別れの記憶だけなの?
▼あじさいが手をふるように雨にぬれ
▼さようならの情景ばかりの雨雨
▼ひなツバメ黄金の海で風を切れ

黄金色に色づいた麦畑の上をツバメが颯爽と滑空してゆく。
ひなツバメ。つい先ごろまでは、飛ぶのもへたくそだったのに。
しばらく見ない間に、上手に飛ぶようになった。

ささやかな喜び。

(22 日)
▼桑の実を旅に求めた夢の跡
▼あぜ道をそろりそろりと桑の実へ
▼桑の実が酸っぱ美味いとあの人が

すっぱうまい、とあの人が言ったのだ。
なるほどね。
でも、それも、そこでオシマイ。

杉田久女が<谺して山ほととぎすほしいまま>と詠んだ。
山の泰然としている懐の深さに染み入るものがある。

(21日)
▼アジサイの枝を切る音余韻なく
▼ 小満の朝に黄金の海を行く

麦の穂いよいよ黄金色になりて夏来るような日でした。
あれよあれよという間に夏が来るのだろう。

苛々して切り込んだアジサイに今年は花が咲くだろうか。

2010-05-24 09:16

5月中旬篇 ─ 濡れた髪で貴方に逢えぬと月を見る

(19日)
▼さて今夜の一日一魚は何だろか
▼霧雨に濡れる髪あなたの傘まで
▼その名前マツバウンランとメールする
▼ 満ち潮が過ぎて静かな海に寄る

着々と夏を迎える準備をしている。
それは、「身体が」であり「心が」でもある。

そんな抽象的なことを書いて、どこが日記だと思いながら、まあ何年か経ったら忘れてしまっていてもいいことは山ほどある。

その山を棄て切れたら、あの世へ行こう。

(13日-15日)
▼好きですと書けば書くほど深くなる
▼ファミレスでひとりランチに薫る風
▼ほんとうは失恋したの、黙ってる
▼逢いたいの、奮え鎮めてホトトギス

心地よい風が吹いている季節だ。
一人で散歩に出かけたい。
いや、ひとりだと寂しいかもしれない。
いいえ、そうでもないかも。

心地よい風が吹いている。
風は気まぐれ。
そう誰かが歌ったのを思い出す。

(12日)
▼濡れた髪で貴方に逢えぬと月を見る
▼この棘は貴方の手紙、赤いバラ
▼サヨナラと峠を越えてシャガの花

夏の花が咲き始める。
名前は知らない。

赤い花。激しすぎる。
白い花。静か過ぎる。

本当は月なんか見ても、嬉しくも楽しくも無い。

(11日)
▼あの人を待ち伏せてみたい軒がある
▼雨宿りしてみたくなる軒があり
▼アオガエルあなたも僕も泣きみそで
▼雨上がりあの人を道草に誘いたい

連休に晴天が続いた後、雨が断続的に降ったのかもしれない。
雨を恨む記録がいくつかある。

恨んでも、怨んでも、何も解決しないのは、自分が一番良く知っているのに。

2010-05-24

5月初旬篇

(9日)

▼孫の首座り貴方は腰曲がり
▼南風、茶摘みの思い出届けたり
▼粽(ちまき)食い柱の傷と語りあい

黄金週間が終わってひと息ついたのだろう。

柱の傷を眺めながら考える。

こんな小さな背丈の子が三重県大会でホームランを打ち、何度もファインプレーをして新聞にも掲載されるようになったのだ。

その昔、私の父も同じように子ども成長を振り返ったのだろう。

柱の傷を残した子どもたちが、今度は自分の子どもを連れて帰ってきている。
もうすぐひとりで立てる。そしたら柱に傷をつけるのだろうか。

2010-05-24

おさすりは母と一緒に蒸した味

(7日)
▼山帰来巻かれた餅のひとりごと

この日記をいったい誰が読んでいるのだろうか。
面白くないと思うのだが、どこに興味があって繰り返しここを読む人があるのか。

ほんとうに届けたい人は、心の片隅からどうしても消えてくれないあの人であって、私が最も悲しいのは、その人はこれを読んでくれているという確信が微塵もないことだった。

それが、悲恋というものなんだろうか。なんて、寂しい言葉だろう。

▼雨が好き嘘を言っても降りやまぬ

未明から雨が降り始めた。それは静かに静かに降り出して、少し私を安心させたのに、朝の食事を終えたころには強さを増して、風がないので意地悪には思わないものの、容赦なく庭木に叩き付けるように降り続く。

雨は嫌いじゃない。好きでもないが好きになってもかまわないと思うことがある。それは、いつか必ずやむことがわかっているからで、ひとときの自分の忌々しい心を洗い流すかのように気前よく降るのが好きなのかもしれない。

あの人のことは雨に流して忘れよう。そんなフレーズが思い浮かぶ。

▼ 新緑のささやき包む海の風

オゾンをいっぱい含んだ海風が緩やかに上空を吹いている。
その風が櫁柑山の斜面を伝って私のいるところに降りてくる。
甘い香りが漂うのだが、この香りはちょうど一年前にあの人と歩いたみかんの花咲く丘で嗅いだあの匂いと同じなのだ。

なんて悲しい思い出だろうか。
緑は、夏を迎える準備をしている。

▼ゆく春や別れた人の項を閉じ

大型連休が終わって、新しいページを開けることにしたの。

(6日)
▼好きですと言って消えてくしゃぼん玉

仕事の帰り道で、小さな子どもがシャボン玉をしていたのを見ただけです。
居間の縁側から体を乗り出して空に向かって勢いよく吹いている。
部屋の奥にはお母さんの姿があって、夕食の支度をしている。

坊やには関係のないことだけど、シャボン玉は切ないんだ。
キミにもわかる日が来るさ。

▼もう恋はしないと決めてけつまづく

「けつまづく」という言葉がちょっと優しく感じられて、今までの自分を許してやろうと思ったのです。

▼星もない夜空に「おやすみ」投げてみる

救いようのない暗い夜空。
中部国際空港へ降りてゆくジェット機の音が聞こえてくる。

(2日-3日)
▼枇杷の実を見つけて子供に戻りけり

そう!
袋を被せてある枇杷の木を見つけた。
ドキドキする。

▼恋しい人は蜜柑の花咲く丘に住み
▼嫌いなら嫌いと言ってそのほうが

初夏は嫌いだ。
悲しくなる。

▼垣根越し新芽の隙から覗く顔
▼茶畑が波打つ果てのこいのぼり

初夏のある日に私は緑の丘に居て、大きく息を吸ってみたりしていたということだ。
日記にはそう書く。
2010-05-07

嫌いなら嫌いと言ってそのほうが
もはや、逃げ道はないのだ。

弁解も
泣き言も
許されない。

こういうときに
人は
いつ死んでしまってもかまわないという覚悟を心の中に用意する。

2010-04-30

恋なんて四月の風よシャボン玉
私の四月の物語。
そろそろ終楽章かな。

(25-28日)
▼香る尾根ふと出会えたり山の藤
▼柏餅さすれば母の手の形
▼さようなら、さよなら、さいなら、ほなまた

穏やかな季節になってきました。
シャボン玉のような恋でした。
ほい。

(23日)
▼春の夜や少し寒めでひとり飲む
▼春風に私の恋は七変化
▼凸凹の恋のあしあと赤い薔薇
▼朝焼けをネットで見るのキミ想い
▼ほんとうは男勝りと小糠雨

四月の初めのころと比べると、少し投げやりで、落ち着いているのがわかる。
もう逢えないことを覚悟し始めている。

(21日)
▼この雨に濡れていまいか意地っ張り
▼初ツバメ我が家のように軒下へ
▼一目惚れ若葉のようなキミだから
▼たけのこの煮汁が呼ぶや親父かな
▼苛立ちも今なら許せる穀雨かな
▼給料日一日前のシシャモかな(昨晩の食卓)

まもなく1ヶ月が過ぎようとする。
もう、このシリーズは終りにしなきゃ。
新しい物語を始めるのよ。

(19日)
▼チューリップ隣に並んで野良の猫
▼山帰来あなたを置いて席を立ち
▼一目惚れ若葉のようなキミだから

春が深まってゆくなかで
物想いに沈む。

(17 日)
▼モンシロチョウ絹さやの中に籠みけり
▼スイトピーわたしの手からキミの手へ
▼春風や山ひとつごと花束に

少しずつ
変わろうとしているのだな。
…と想う。

(12-13日)
▼春雨のしずく払って別れたり
▼ 音もなく降り出したりする春の雨
▼雨上がり葉っぱの雫を指に乗せ
▼今日こそは好きだと言おうチューリップ
▼チューリップ咲いて今こそ好きという

ボクは引き潮が好きでね、少しずつ満ち始める波打ち際を堤防から見下ろしてると元気が出てくる。そんなときには素敵な人を誘いたいな。
そんなことを書き残している自分が居るのだ。

(日記には)
昨日、うちの近所で田植えが始まっているのを見かけました。青い麦がすくすく育って風に吹かれて、雲雀が天高く囀る。一人で散歩しているのがちょっと悲しかったかな。

(10-11 日)
▼元気ですあの子のようなチューリップ
▼春の風えくぼをぺろりとなめて去り
▼欠ける月引き潮にさらわれてゆく
▼引き潮や、なぜか君に会いたくて

あるとき、目に映るセンサーが敏感になってしまう。
目の前には、亡霊のようにひとりの人しか浮かばなくなるのね。

(9日)
▼雨宿り雫見つめて夢を見る
▼数々の恋が瞬く花吹雪
▼サヨナラ猫を捨てるように枯れてゆく

人って、恋をしてると、ほんとうに盲目なんだなって実感する。

(7日)
▼「憎らしいけど好きなの」(キャンディーズ)
ってどうなんだろう。

まさに貴方の心?
しかたないね。
好きなんでしょ。

▼ ふとしたことであの人を思い出す

堰を切ったように想いが雪崩れ込む。
切なくなり、いたたまれなくなる。
縋れるものが欲しくなる。

(5日)
▼ドラマは終わっているのに席を立たない自分がいる
どうしてよ。
泣いてるの?
涙の顔を上げなさい。

そう言ってあげようか。

(4日)
▼恋しいと恋しくないが睨み合う

情けないねえ。いつまでその人を想っているのよ。
やめなさい。何も実らないのだから。

(3日)
▼渋々と菜の花濡らす春の雨 
▼忘れなさい、貴方の恋はしみったれ
▼目にとまる元気という字に君想う

温んできた雨は菜の花に降り注ぐけど、それもまた似合うなあ。

雨の日が多かったのかしら。
恨めしく思う言葉が多いな。

あの人はいつもの笑顔でおはようと言っているのだろうな。

2010-04-28

忘れ雪。

忘れ雪。

あれほど好きだとか憎らしいとか思った奴でも、こうしてお別れがやってくるとなると、少しは許してやってもいいかしらと思えてくるから不思議ね。

今からあなたにさようならを言いにいくところ。

---

乗り換へて忘れ雪舞ふところまで (無門/五十嵐秀彦)
2010-04-17

新しい花
きょうは晴れ。
新しい花を買って生けてみようか、

とか、
ふと思う。
2010-04-14

一段と
今日は一段と可愛いですね、キミ

それが毎朝の貴方への挨拶の言葉だった。 
2010-04-14

チューリップ
通勤かばんの中をごそごそと掃除していたら、

 今日こそは好きだと言おうチューリップ

と書いた紙切れが見つかった。

ほかには

 チューリップ咲いて今こそ好きという

というメモもあった。

苦悩は去年の春には既に始まっていたのだ。
2010-04-12

元気ですあの子のようなチューリップ
私にとって一番短い言葉で「好き」と伝えた。
逢えなくて哀しんでいることも伝えた。
だから、もうこれ以上何も出来ない。

貴方から届いた「元気です」というメールを胸にじっとしているだけだ。

2010-04-11

恋しいと恋しくないが睨み合う
説明不要か。

わかる?この気持ち?
2010-04-04

花びらが散るようにやがて忘れてゆく
夜半から大降りとなった。
全国的に嵐のような雨だ。

破滅的な心理に追いやられ、自己弁解を繰返し、届かない手紙を書いては消すということを繰り返していても何も解決にはならない。

エイプリルフールを愉しみあうようなお祭りに参加している気力もリラックスもないし、そこは死んでしまった人のように寝るしかないでしょ。

というわけで、眠ったら2日の早朝に目が醒めた。

(2 日)

▼花びらが散るようにやがて忘れてゆく
▼泣かないと誓ったのにダメですね、雨

雨にもサクラにも、またひとつ哀しい思い出が出来てしまった。
春は、辛さの積み重ね。

**
眠れないなら、起きていればいい。
ドラマは、辛いときのほうが優秀になるかもしれない。

雨は、降り止まない。

▼渋々と菜の花濡らす春の雨
温んできた雨は菜の花に降り注ぐけど、それもまた似合う。

▼忘れなさい、貴方の恋はしみったれ
▼目にとまる元気という字に君想う
▼土砂降りが静けさにかわる夜明け前

朝が来ても、それはもう四月。
エイプリルフールのお祭りのざわめきもない。

あの人はいつもの笑顔でおはようと言っているのだろうか。

▼好きだった人。オレンジ色の車に乗ってた

オレンジって、私のツーリング用のジャケットの色じゃないか
(赤色が褪せてしまっただけだが)

でも、もう古くなったから捨てようか。
この機会に。
2010-04-02

できるならさよならは桜の下で
おめでとうという言葉と、今のままの状態にとどまれないことへの悲しみが交錯する惜別模様。

▼おめでとうでも片想い今のまま
▼ おめでとうひっそりとなお好きなまま
▼離れてもこのままずっと好きなまま
▼春にまた思い出ひとつ積みかさね

そう、「嫌いになったのだ」と自分を説得するように言いながらも、やっぱし私は紛れもなくすきなのだ。

---

雨が降り続く。
手紙を書いた。

四月になったら、便箋で書く手紙にしよう。

---
冷たく憎い雨

冷たい雨ですね。
春にまたひとつ、寂しい思い出が、冷たい雨とともに、できてしまうなあ。

お祈りをしても、この頃は必ず「僕の大好きなあの人が幸せになれます様に」とばかりお願いしている。

僕の気持ちは一杯これまでに伝えてきたけれど、でもそこでお終いなんです。
だって、叶えられるわけでもないし、私の思いに応えられるわけでもない。だから、どうすればいいのですか?って困らせてしまうだけでしょ。

夢でしかない。
そのことは当たり前で、あの人だって知らんぷりしてくれてるから、そういう意味ではありがたいけど、やっぱし僕の気持ちはここまでて、儚くも握りつぶすかか、自然消滅をさせるしかないのだ、と思うと儚い。

そしてそのことを考えながらスパイラルに落ち込んて行ってしまう。
悲しくて泣けて泣けて仕方がない。
今もそうだ。

よし、これで終わりにする、というポイントがないから、僕はいつまでも哀しんでいます。

でも、それこそ、あの人にとっていい迷惑なんだから、僕か泣いて済むのなら、そうしよう、と言い聞かせています。
彼女に迷惑が掛かったらそれが一番いけないのだから。

誰に話しを聞いてもらえるわけでもな。たとえ聞いてもらえたとしても、アホだなと言われるだけ。

でも、感情を抑えればいいことだって分かるけど、そういうことって、命令形は成り立たないでしょ。
悲しいものに「悲しむな」って、できない。
だから、私が好きなものは好きで仕方がないと、あなたは許してくださると思います。

お願いがひとつだけあるの。
でも、もしもそれが叶わなかったら、僕はもう立ち上がれなくなるだろうから、言いたせずにいます。

---

 できるならさよならは桜の下で

別れのときが近づく。出来ることなら満開の桜の花の下でありがとうといってお別れしたい。

2010-03-24

三月。春分になりました

このブログ、あの人にも伝えたい。

(春分の日)
▼穢れ漱ぐ呪文の如し春の雨

(異動の内示の出た日)
▼目を閉じる、こぶしの花が咲いている

▼花はまだ咲かぬが食いたし桜餅

▼おめでとう、向こう岸から呼んでみる

▼今日の夕暮れは特別ね、雪柳

▼キミにすぐ飛行機雲を届けたい

▼花散りて昔愛した人想う

春は別れの季節でもありますが、出発のチャンスを与えてくれるときでもあります。

何にも変わりのない日常に多少の不安と不満を抱きながらも、明日の風はどんなかなと 考えて、その思考の隙間に昔が漂う。

---

▼しんとしてビールの泡や消える音

▼ 麦踏みを二人でできたら好きと言う

私はドラマの続きを、再び、描こうとしているのか。

2010-03-21 11:14

三月。もうひとつのノートから
三月中旬は不安定な時期でもあった。
人事異動があって、ある人と今度こそお別れとなってしまうからだった。

毎日廊下ですれ違う挨拶よりも、遠くまでときどき会いに行くほうが歓びも大きいように思うだろうと自分に言い聞かせてみるものの、やはり、寂しいことには変わりがない。

悲しい呟きが目立つ。

(13日)
▼桜花咲くころにアナタは遠き人

無言になってしまう。

(15 日)
▼好きだけどキュッと睨んで切り捨てる

好きじゃない。
ちょっと贔屓なだけだ。

▼嫌いだと何度言っても好きは好き

いいえ。
やっぱし好きなんでしょ。
そうつぶやく自分が居る。
2010-03-21

三月も半ばになって
(結婚記念日の朝)
▼どしゃぶりや一夜で明けし雫かな

雨は嫌いじゃない。
夜通しで降り続いた雨が朝にはパタリとやむ。
わたしも、何かをパタリとあきらめようと思ったのか。

---

三月の初めにやや暖かい日が続いた。
そのあとで、再び寒さがやってきた。

(7日)
▼春のある日、白墨で書くさようなら

(10日)
▼サクラソウ恋をすれども実はならず

▼ぬるい雨遮断機の赤、椿の赤

▼夜明け前降り出して沈丁花

別れがつらいのはわかる。
まだ、実感がわいていない。

春の温かさとともにジワリと迫るのか。

2010-03-21

三月の始まりのころに
中旬に子どもの卒業式に顔を出した。
あふれる袴姿を見て何を想うか。

わたしの過ごしたあの春は、どんなんだったのだろうか。

(13日)
▼一年間こらえて今咲く沈丁花

▼散歩道誰を待つのか春ベンチ

▼春風にネクタイぶらりぶらりかな

▼なごり雪息で曇るや硝子窓

▼春暁をすらすら詠んでくれた人

(10日)
▼ 温む雨きのうの恋も流したり
2010-03-21

はあとマーク贈りたくなる素敵なオレンジ
はあとマーク贈りたくなる素敵なオレンジ

*

うふふとしょぼんが交互にやって来る。

春が好き
海が好き
君が好き

イジケテいても始まらない。
2010-03-06

石畳容赦なく降るぬるい雨

石畳容赦なく降るぬるい雨

あの日も沈丁花がいい匂いをただよわせていた。
「進級留置」の掲示をを確かめるために出かけた。
三十数年前か。
2010-02-28

髪切ったキミを追ってく坂の道
坂道。
そこには何故かなんとなく人生の襞のようなものが落ちているような気がする。

私の職場の前は短い坂道で、その坂道を登ると職場がある。仕事を終えて帰るときはその坂道を下る。

このごろは日の暮れが遅くなったので、春の装いの子たちが鮮やかなのがよくわかる
2010-02-24

恋文は好きと二文字書けばいい

恋文は好きと二文字書けばいい

---

久し振りに
あの人に
メールしてみようかな
2010-01-09

年の瀬や大人気なくも指を折る

小霧消ゆる港への
船に白し朝の霜
ただ水鳥の音はして
いまだ消えず岸の家

--

おはようございます。

遠いあなたの地方ではもう雪が降ったのでしょうね。

私の勤める街にも、21日に初雪があったと、あくる朝の新聞が書いていました。

あと3回お仕事に出れば、次は新年のご挨拶。
12月になってから、とんとん拍子に日が過ぎて

年の瀬や大人気なくも指を折る

手紙を書きながらも、指が冷たい。
でも、冬の朝は嫌いになれないな。

(おぼえがきのような手紙ですね)
2009-12-23

新手帳、あなたのアドレスを一番に
髪を切って私の前に現れることを想像して(夢見て?)いたのでが
期待は大ハズレだった。

伸びかけの中途半端な髪が嫌いなのかもしれない。
猫の短い尻尾のように括った髪が雰囲気をガラリと変えている。

その日の晩に
メールを書いた。
いつものような長たらしいメールじゃなく…

きょう
可愛かった。
うん
よかった

と書いて送った。

あくる日は、髪は括ってはいなかった。

*

新手帳、あなたのアドレスを一番に

新しい手帳を買って
名前を入れて。

そうこうしていると、荷物が届いた。
「ちくま文庫手帳」 のプレゼント応募に当選。

手帳が二冊になったけど、
うちのんにやろか。

週末の深夜に
珍しく二通のメールが舞い込んだ。
予期せぬ人。

夜更けのメール、そんな時刻にボクを思い出してくれた人がいるってことだ

*

クリスマスソング、あなたは何が好きですか?
って送ったメールには
何の返事もなかったけれど、
あなたのゴスペル、応援してますから。
2009-12-16

ねえボクには、今日キミが髪を切った予感があるんだ
直感みたいなものがあるでしょ。

何だかキミがきょう髪を切っているんじゃないかというような予感があるんだ。
あした逢ったときに、バッサリと、いや、昔のように、戻っている。

プチハネのショートボブ。
ちょっときつめの茶色が、キュートな笑顔によく似合う。

まあ、
予感だけどね。
2009-12-09

凍えちまえばいいんだ あんな奴
さっき、

寒がりさん。
今頃何してるの?

と書いたけど
返事なんか、来ないんです。

凍えちまえばいいんだ あんな奴

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強がっても負けは負けです年の暮れ
2009-12-06

2010年7月 3日 (土曜日)