流れ星誘ってくれたそのあとに つぶやく十七音 ─ 八月上旬篇
少しだけ涼しいような気がする。
エアコンなしでこの夏をこのまま乗り切れそうな自分を褒めよう。
(14日)
スーパーでちょっと高めのお寿司を買ってくると、付けてくれてある生姜もちょっと美味しいのだ。
知ってました?
▼思い出は二人で分けた生姜なり
明日は終戦記念日だという日に。
読書人の数は増え続け、本屋のワゴンには新刊が山積になる。
原民喜を、こういう機会に読んで欲しい。
▼崩れ堕つ天地のまなか一輪の花の幻 原民喜
私と向かい合わせの席にいるA子さんが、蚊に刺されやすいのだと言って嘆いていた。
---美味しいのですね、あなたの血は
---そうかな、この前にフトモモを刺されてしまって
A子さんは、たぶん、電車の中で見かけても「あら可愛い子」っていうほどカワイイ。
それが理由ではないけど、フトモモを刺した蚊の気持ちを想像してしてしまった。
▼虫刺され痒くなくても流れ星
なにも期待していないときに、メールが届く。
期待していない人から。
かつては期待したこともある人から。
▼大切なメールだったのに口下手で
▼一通のメールが夜に火をともし
▼もしも今あなたに会えたら食べてしまう
夏の花火を浴衣を着て見上げているその人を想像して挨拶状を送ったのだ。
そしたら、骨折して車椅子に乗って走り回っています、という便りだった。
横転した車の下敷きになって15箇所の骨折。
いつもながらそれ以上は何も書いてなくて、メールもそこでオシマイ。
▼ねえ、それは銀色なの?
もしかしたら灰色かもしれない。
僕はもう君に恋文を書くのはやめたよ。
今夜は、明かりを消して部屋から流れ星でも探すことにする
私の部屋は南東に向かって窓がある。
流星群が見えるのもこっち。
でも、すぐ寝てしまうから、流れ星を見るのは無理だ。
▼流れ星誘ってくれたそのあとに
(13日)
お盆だお盆だとニュースが喧しい。
▼わたしんち、二人さみしく、ひっそりと ビール一杯だけの贅沢
▼盆だから二人だけれど贅沢を
うちは毎日居酒屋メニューなんです。
少し太ったみたい。
うちの人。
(11日)
▼夕立や縁台引いて横になり
▼ヘナチョコと言われながらも盆帰り
▼このニキビ、すっとほっぺに動かぬか
A子さんがニキビができたといって気にしてた。
マウスで押さえて移動するように、そのニキビをほっぺたに貼り直せればオモシロイ。
嬉しいことなど、別に何も無い。
ふつうの夏。
ふつうのお盆。
▼嬉しいな夕立ち来たとメールする
▼夕暮れに白い宛名の手紙着く
残暑見舞いは誰にも出さなかった。
宛名の無い手紙文。
そのうちゴミ箱へいくのだ。
(10日)
▼ 武田百合子 富士日記(上)の感想をあげておきました。
(8日)
▼ふと、福永武彦にまた手が伸びて。素晴らしいなあ。風土。断片的に読んでみたり
武田百合子の富士日記を読んで、迫られない日々を過ごしている。そんなときに福永武彦の本がひょっこり目にとまった。なぜ、本棚のその本に目が行くのかは不思議だがわからない。
恋しているわけではない。
▼待ち遠しき立秋の朝、なお赤し
▼朝焼けや寝顔をもう少し見ていたい
▼立秋の明くる日夜明けに雨が降り
▼お湿りのあとに稲穂の匂いする
立秋の朝は、朝焼けだったのだな、ということが何となくわかる。
今更、晴れでも雨でも、どっちだってかまわないのだが、秋になったということは私にとってすごく嬉しいことだったのだ。
明くる日に雨が降って、こういう不安定な季節になってゆくのが嫌々ながら待ち遠しいのだ。
▼富士日記、上。武田泰淳の周りにいた、梅崎春生や大岡昇平、他の有名人の名前が出て来ることや、その当時の生活の様子などが、武田百合子の素朴で正直な筆で書かれている、素晴らしい作品ですね。
感想文も書いたし、ひと段落。上巻。
▼ガラス越し日射しは遠し原爆忌
▼約束を交わした訳ではない八月
私にも八月という月にはドラマがあった。
過去は遠い。
▼波の音穢れた夏の終楽章
▼悲しみの沁みた砂洗う波の音
▼沸々と貴方に会いたし波の音
夏の夜は、静かなようでそうでもない。
ざわざわしているように思うことがある。
真冬のように音がキーンと遠くから届いてくるわけではないのだが、雑音が空にこもっているような感じがする。
そんな夜に、逢いたい人を思い出すと心苦しくなる。
▼涼しい風が吹いて来る、静かな夜
*
〔久しぶりに夫婦の会話から〕
▼私:ゴキブリは夜出るの?、妻:うん、そーや、私:ほな、ゴキブリってエロなんやな。
▼蚊って血を吸いすぎると、重くて飛べなくなるそうです
そんなことを言いながら夜は更けるのであった。
(6日)
▼パンは五枚切りです。
おにぎりは三角。
お、をとっていう時は、むすび。
そんな他愛もない話で言い合いになって、声も少し大きく張り上げて喋っている自分がいる。
五枚でも六枚でもええやんか。
いいえ、なんだかそこには関西人のプライドのようなものが潜んでいる。
▼そういえば、子どものころは、
パジャマなどというものはなく、
誰もが寝巻きを着ていたなあ。
浴衣も普段着のひとつだったように思う
実家は立て替えてしまったので、蚊帳を吊り下げる柱の釘はも見ることはできない。
▼昼めしは寿司にしようとメールする
少しだけ、お子様になった気分で食事をする。
斜め向かいにカレーを食べている人をみつける。
声を掛けたい衝動が襲うが我慢をする。
近ごろ、蕎麦とか冷やしたおうどんとかばっかしやったし、腹いっぱい寿司が食いたい。
スーパーの上寿司でええから。
(3日)
▼梅干しを食いてオヤジの癖想う
私の父は晩酌をしませんでしたし、テレビも見ませんでしたから、いわゆる一家団欒でする食事の席に長居をしたり、食後の居間でワイワイときょうの出来事などを話をするようなときにも知らない間に姿を消していませんでした。
ただただ働き、気まぐれにビールを飲んでみては、苦い顔をする。
ビールは好きじゃなかったのでしょう。
18歳で下宿へ飛び出してしまったので、一緒に飲むことさえなかったのですが、滅多に食べない梅干を頬張ったときに昔に父が梅干を食っていた姿を思い出しました。
好物が何だったのかさえ知らない。おかしな親子です。
▼夏休みガランとした通勤列車
高校生が乗らなくなった通勤列車は、ほんとうに活気が無くて寂しい。
▼夕立が来ればいいなと妻を見る
8月になって少し熱さに翳りが出たかな。
毎朝洗濯物を庭に干すのだけど、先日からの雨のせいで地面が焼けていないのがわかる。
でも、暑いときのスコールのような雨が気持ちいいなあと思い、夕立来ないかなと思ったりしていたら、うちのんが玄関から洗濯籠を持って出てて来て「夕立来るな!」とひとりごとを言っていた。
2010年8月15日 (日曜日)