続 倫子と銀子


人生というドラマのなかには倫子と銀子がいるのだった

オンナが登場する

「世にいうオンナ好きとは一風違う」「おしゃべり好き」とも言われる

井戸端会議に顔を出す
近所の暇そうなオバサマたちと意味もなく喋るが テレビや芸能の話には興味も示さないし 悪口にも一線を引いている

振られた、逃げられたではない
静かに沸々と湧き上がってくる魅力がある

モヤモヤしている
掴みどころがないオンナ

もう会えないオンナの人かもしれない

会ったことのないオンナかもしれない



そこまで考えて 行き詰まる

二人は偶然の出来事の延長線上を彷徨っていたのだ

出会った時も 偶然だった



満員電車の中から駅のホームにぼんやりと目をやると 高校時代のクラスメイト女子の姿を発見する

こんな無縁の大都会の真っ只中で会うなんてありえない
人まちがいだろうと思って 電車が動き出して気にかけなくなった



ところが

幾日かが過ぎて 同じ時刻に同じ駅の同じベンチで同じオンナの子を見かけたのだ

何の判断の迷いむな開いた扉から飛び降りてそのベンチのオンナの子のところに駆け寄って名前を呼びかけた

こっちに駆け寄りながら その子は 「はい」と返事をした

その直後に大きく息を吸って声を揃えるように

「人まちがい」

二人が同時に 勘違いを起こして ハッと思い向かい合って駆け寄るって声を掛け合った

深呼吸を繰り返した

「お互い様やな」とうなずき合って 「ははは」 と笑い合った

そこでボクたちは友達になってしまったのだ



あの日は不思議な日だった


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