途轍もなく君に会いたい、月が出ている ─ つぶやく十七音 (八月下旬篇)

(27日)
暑さが憎い。
秋が待ち遠しい。
でも、長雨はキライ。
冬の寒さもキライだ。

でも、今は夏がキライ。

秋に、小さな旅(キャンプ)でも、と考えている。

▼まだ暑しツクツクボウシ控えめに

寝床に横になり窓を開けて月を見上げる。
なかなか昇ってゆかない。

▼まんまるの月が出ている。別れの物語ばかりが思い浮かんでくる。

眺めながら、そのうち眠るだろう。
友だちに月が綺麗だとメールしたりしながら。

窓から吹き込む風が心地よい。

▼いちだんと想いが募る月あかり
▼床につき遠くの人を月に見る
▼月明かり見つめあいつつじりじりと

(24日)
▼届けたい苅田の匂い着々と
▼夏翳り夕餉の煙も移ろえり
▼満月の欠け始めるや秋近し

月が丸い。
そうだ。丸いということはとてもバランスのいい状態なのだ。
だから、じっと見ていても落ち着くのか。

好きな子は丸顔の子が多かったかもしれない。

(23日)
朝夕が涼しいので散歩に出る。
稲刈りも始まろうとしている。
▼無花果が葉っぱの蔭でひっそりと

一年前は何をして、何を思いながら生きていたのか。
▼秋ふたたび、一年前の物語

思い出したいようで、忘れてしまいたいようで。
曖昧なままがいいか。
▼ゆく夏や日めくり丸めて見つめをり

(21日)
▼途轍もなく君に会いたい、月が出ている

▼こんばんは。近ごろ私の出す手紙にときどき
お返事をくださいますので喜んでいます。

もう「好き」という言葉は間違っても書かないようにします

秋になかなか近づかない夜が更けてゆく。

(20日)
足早に盆が過ぎてゆく。
早く終わって、秋が来ればいいのにと思う反面、お盆の儀礼の静けさから抜けきれない方々もあろうかと思う。

暑いですね、花火を見に行きます。という挨拶のメールを出したら、その人から返事が来た。

来ないものと思っていたので驚くが、訳があった。
事故で怪我をして車椅子に乗っている、もうすぐ降りて歩けるのだと書いている。

▼朝顔やそっぽ向いてるキミのよう
▼キミ忘れ昨日イワシを食べたこと
▼ショーウィンドウ君を映して夏翳り

(15日)
お盆という行事は、子どものころはお祭で楽しかったのだが、歳を重ねるに従い感覚に変化が出て、五十歳を超えたころからは、もはやそれは自分のために、自分が心の準備をせねばならないのだというために神様仏様が用意してくれたのだとつくづく思う。

一人死に、二人死ぬ。私もそのうち追いつくのだ。この感覚は、違う時代の人にはどれほど説明しても分かり合えないの。

▼友だちに追いつけず泣く五十代

2010年8月27日 (金曜日)