「感謝」を伝える場としての再演

 こんにちは。今年も随分と気温が上がってきましたね。そろそろセミが土から出てくる季節でしょう。世界で最も嫌いな生物がセミである僕にとってはあまり好きでない季節です。このノートを見てくださるのは団員なのか、団員ではないが僕らの関係者であるのか、はたまた全く僕らとは面識のない方であるのか。そんなことを考えながら文章を書き始めました。
 

 申し遅れました、私は高ワグ再演オケ2020、代表の田中雄大と申します。ご存じの方もいるように、「代表」と言ってもたいしたことは何一つしていないものでして。自分で代表と名乗るのに少しためらいがありますが、自己紹介としてはこんな感じです。


 代表者のお気持ち表明ということで本当はもう少し早くに伝えたかったのですが、いかんせん書きたいことが多すぎてまとまらなかったものですから遅くなってしまいました。自分の高校時代の思い出をたくさん書くのか、大学に入ってからのことを書くのか、8月17日のことを書くのか、色々思い当たりましたがとりあえずはこれらを踏まえた自分の素直な気持ちを書きたいと思います。特に普段の僕を知ってる方は気持ち悪い文章と思うかもしれませんがそこは温かい目で見てほしいところです。

 さて、なにから話しましょうか。まずこのオケの目指すところの話をしましょう。この高ワグ再演オケ2020は本来2020年3月19日に行われるはずだった高校ワグネルの第六十回の定期演奏会が新型コロナウイルスの影響で中止となってしまったことを受けて、同じプログラムを2021年8月17日に行おうとするものです。当時高校生だった我々は一年間準備してきていて、中止が決定するほんの数日前までは元気にオケの練習をしていたわけですから、突然中止を聞かされた時は軽い興奮状態で、何が起きたのかわからないって感じでした。
「失われた青春を取り戻して、皆で次のステージへステップアップする。」
団員一人一人の共通の思いとしてはこんな感じだと思います。そして僕も高校生のままで止まってしまった時間を再び動かしに行く。そんなつもりで臨みたいと思っています。


 しかし、それに加えて僕はこの演奏会を通して伝えたい思いがあります。

 それは「感謝」です。

いったい誰に対する、何の「感謝」なのか。感謝と言っても色々なものがあると思います。今回は僕の思う「感謝の演奏会」について少しだけ語らせてください。



 まず、まだ子供である僕にとって一番感謝を伝えるべき相手は勿論家族でしょう。
僕の母は僕が小さい頃は何気に厳しい母親で、わがままをとても嫌い、僕が物をねだっても誕生日とクリスマスぐらいでしか買ってくれませんでした。しかも「クレヨンしんちゃん」は頭が悪くなると言って見るのを禁止されたほどです。ところが僕が大きくなるにつれて僕のやりたいことを自由にやらせてくれるようになりました。父はとても温厚でした、そして家族の中でお金を稼ぎ、養ってくれるのは父親です。
そして、今僕が大学に通い、仲間と楽しく楽器を弾いているのは両親の応援とサポートあってのことなのです。本当に幸せなことだと思います。実際こんなこと普段は気づきません。しかし、コロナの長い自粛期間と演奏会の存在が僕にそれを気づかせてくれました。
また、僕を応援してくれる家族は両親だけでなく祖母(祖父は僕が生まれる前に亡くなってしまいましたが)を始めとした親戚。僕は一人っ子だったので小さなころからかわいがってもらいました。この演奏会についても強く応援してもらっていて、必ず行くと言ってくれました。
 長々と家族自慢をしているようで自分でも痛々しくなって来ましたが、演奏会を通して感謝を伝えるという意思表明のため残したいと思います。僕は8月12日で20歳となります。自分の成長した姿を見せる意味でも家族に対する感謝の気持ちは特別なものなのです。


 もうひとつ、この演奏会を通じて感謝を伝えたいのは高校でオケに入ってから関わった全ての先輩、後輩、そして何よりも同期の仲間です。
 まず先輩方。僕は高校に入学して初心者でヴィオラを始めました。右も左も分からずワグネルの雰囲気すらも分からない僕でしたが、先輩達、特にパートの2、3年生は僕を歓迎してくれたし、楽器のことも沢山教えてもらいました。僕自身、生意気なこともたくさんしましたが先輩方にはとても優しくしていただきました。これらはもう4年以上前の話になりますが、楽しかった思い出は今でも鮮明に残っています。
 そして二年目からは後輩が入ってきました。僕は後輩に何かをしてあげられたかわかりませんが、そんな頼りない僕でも慕ってくれた後輩には感謝の気持ちしかありません。そして後輩と過ごした日々も僕にとってはかけがえのないものなのです。
 最後に同期のみんな。彼ら、彼女らとは楽しいことも悲しいこともいつも共に乗り越えてきました。そして何よりも僕が楽しい高校生活を送り、部活責任者を任せてくれたのは同期の皆のおかげで間違いありません。自慢の仲間達です。これを直接伝えるのは僕には照れくさくて難しいことですが、音楽を通じて気持ちが伝わればいいなと思い、ここに書いた限りです。


なるべく簡潔に書いて済ませようと思ったのですが結局とっ散らかってしまいました。それでも僕の演奏会に対する思いを少しでも共有できたのなら幸いです。上で「高校生のまま止まってしまった時間」と書きましたが、残念なことに現実の時間は待ってくれません。大好きな仲間たちと失いかけた青春を取り戻し、僕自身の「感謝の演奏会」を成功させるためにも残り一か月と少し、がむしゃらに向き合いたいと思っております。

執筆者:田中雄大

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