『牌ネーター』には……必勝法がある!

はじめに

 私は、この度『牌ネーター』の必勝法を編み出しましたので、〇〇ネーター学会に報告したいと思います。
……って、『牌ネーター』って何だ? という人が多いと思うので、まずはそこの説明からしたいと思います。それから必勝法の紹介をし、最後に、この方法は実践では使えないこと、使わないほうがいい理由を述べたいと思います。 

そもそも『牌ネーター』とは何か?

 『牌ネーター』の前身となったのは『寿司ネーター』という遊びです。
まず出題者が頭の中で寿司を思い浮かべ、挑戦者が質問をしていきます。出題者は、かの有名なランプの魔人アキネイターのように『はい』『どちらかといえばそう』『どちらでもない』『どちらかといえばそう』『いいえ』で答えていきます。ちなみに、本家アキネイターの解答は、『はい』『たぶんそう部分的にそう』『わからない』『たぶん違うそうでもない』『いいえ』の5択であり、これは本家のほうが正確であるように思えます。何故ならば、寿司ネーターの5択では『どちらでもあり得る』『状況によって「はい」にも「いいえ」にもなり得る』という質問に答えづらいからです。よって、寿司ネーターの動画では、『店による』という回答も追加されました。

形式としては、
「それは赤身ですか?」
「いいえ」
「軍艦巻ですか?」
「はい」
「魚卵ですか?」
「はい」
「わかった! いくら!」

のような感じです。
 
 この寿司ネーターは、ラジオ『舞元力一』の『バカ寿司』というコーナーで生まれました。元々はジョー・力一が個人でやっているラジオ『ジョー力一の空昼ブランコ』で『バカ寿司』のネタをリスナーから募ったのですが、リスナーからのお便りが多すぎて処理しきれなかったために、『舞元力一』に持ち込まれました。

 わかりやすくいえば「こんな寿司屋は嫌だ!」という大喜利です。
そのネタの一つに『一貫一貫アキネイター方式で注文させられる』というものがあり、これをゲームに昇華させたのが『寿司ネーター』です。
ですから、考案者はジョー・力一ではなく、1リスナーであるとも言えるでしょう。

 今まで4回に渡って『寿司ネーター』は行われてきたわけですが、もちろんこれは『寿司』以外のお題でも応用が利くわけです。そして天開司との戦いで『寿司ネーター』のあとに行われたのが『牌ネーター』だったわけです。

 ルールとしては34種類ある麻雀牌の中の一つを、5つの質問をすることによって言い当てれば勝ち。当てられた側は負けというもの。
 一見すると、どうやっても5つの質問で完全に絞り込むのは難しいように思えます。ですから最後は賭けに出る必要があるわけです。
ここは麻雀と同じですね。

しかし、5つの質問で完全に絞り込めるとしたら? 私はその方法を編み出しました。よろしければ私のレポートを読む前に、考えてみてください。
ヒントとしては、解答には『はい』『いいえ』だけでなく、『わからない』『たぶんそう』『たぶん違う』という曖昧なものもあるということです。

必勝法

最後に画像でフローチャートを用意しますが、とりあえず文字で説明しましょう。
①、②は、〇番目の質問ということです。

まず、最初の質問はこれです。

①純チャンの役で使われることがありますか?

さて、この質問に「はい」と答えた場合は、こうなります。

123789m 123789p 123789s

「いいえ」と答えた場合は、こうなります。

456m 456p 456s 東南西北白發中

まず①の質問に「はい」と答えた場合の2番目の質問は次のようなものにします。

②素数ですか?

①で「はい」の場合

素数とは、1とその数以外では割ることのできない整数。ただし1は含みません。
1~9の間ならば、2・3・5・7が該当します。
そして①の質問で「5」が除外されます。
 ②の質問の答えが「はい」だった場合、

237m 237p 237s

「いいえ」だった場合

189m 189p 189s

となります。

①②の質問に「はい」と答えた場合、③の質問は次のようなものにします。

③絵柄は、だいたい3分の1か、それ以上が赤で構成されていますか?

①で「はい」2で「はい」の場合

 これは絵柄(彫ってある部分)の割合の1/3以上が赤色であるかを質問しています。
萬子ならば文字の半分が『萬』という赤で構成されているので該当します。3pも3つある丸の内の一つが赤色なので該当します。
7sは、赤の割合が1/7なのでこれは該当しません。

これが「はい」の場合、

237m 37p

これが「いいえ」だった場合、

2p 237s

となります。

 質問者の目的は、5問目の質問を終えたときに、たった1つの牌に確定させることです。4問目を終えた時点で候補が2つ、3問目を終えた時点で候補が4つであるならば、もう成功したようなものです。
2p 237s
を2つの質問で確定させることは簡単です。
④『数字は2ですか?』⑤『筒子(ピンズ)ですか?』などで確定できます。
 
 3問目で候補が4つ、4問目で候補が2つしか残らなかった場合は、もう確定ができたようなものです。今後、この状況になった場合、説明を省きます。

 問題なのは、3問目を終えた時点で5つ以上残ったり、4問目を終えた時点で3つ以上残ってしまったときです。

①②③で「はい」だった場合、次の質問はこうなります。

④『その牌』(思い浮かべている牌)と同じ種類の数牌で、数字が一つ小さい牌が、萬子の九連宝燈の雀頭となる可能性はあるか?

①で「はい」②で「はい」③で「はい」の場合

『数牌』というのは字牌ではない牌、萬子、筒子、索子のことです。

『同じ種類の数牌で数字が一つ小さいもの』というのは、もし思い浮かべている牌が3sなら2s、9pならば8pということです。1mならば0mになってしまい「そんな牌は存在しない」です。

これが「はい」の場合、

23m(1mも2mも、萬子の九連宝燈の雀頭となり得る)

これが「いいえ」の場合

7m 37p

④で「いいえ」だった場合、次の質問をします。

⑤手牌が筒子の111456p、白4枚持ちのホンイツイーシャンテンの状態で、『その牌』(思い浮かべている牌)をツモり、白を捨ててテンパイしたならば、アガれるときはノベタンの待ちでアガることになりますか?

①で「はい」②で「はい」③で「はい」④で「いいえ」の場合

 『ノベタン待ち』とは待ちの一種です。1234sのときの14s待ちのように、アガリ牌で雀頭を確定し、残りが順子となるような待ちのことです。

さて、候補は3つありました。
7m 3p 7p です。

ホンイツのイーシャンテンで111456p、白を4枚所持しているのならば、例えば、次のような形になっているはずです。

質問に「白4枚」とあるが、もちろん他の字牌を代用しても構わない


7pをツモり、白を捨ててテンパイしたならば、このような形となります。

そしてこのときの待ちは47pのノベタン待ちとなりますので、『アガれるときはノベタンの待ちでアガることになりますか?』という質問には「はい」と答えることになります。

7mをツモったのならば、次のような形となります。

 これは単騎待ちであり、ノベタンの待ちでアガることはありません。
よって「いいえ」と答えることになります。

 ツモったのが3pの場合は、このような形となります。

さて、このとき36pでアガったのならば、ノベタンの待ちでアガったことになります。しかし、もし2pでアガったのならば、それはカンチャンの待ちでアガったということになります。
ですから、質問の『アガれるときは、ノベタンの待ちでアガることになりますか?』に対しては「どちらとも言えない」のです。アガり牌が提示されていないので、ノベタンの待ちでアガるのかもしれないし、もしかするとカンチャンの待ちでアガるのかもしれない。だから「はい」とも「いいえ」とも言えない状態となります。
 思い浮かべている牌が3pだったのならば「わからない」という回答になるはずです。

 本家アキネイターにおける「わからない」は、回答者が知らない情報、たとえばキャラクタープロフィールには書かれていない情報や、漫画アニメなどでは描写されていないことについて質問されたときに回答するものだと思います。しかし、『牌ネーター』においては「はい」とも「いいえ」とも断言できないような質問をすることによって「わからない」という回答を引き出すことができるのではないでしょうか?

この場合

質問の答えが「はい」の場合

7p確定

「わからない」「部分的にそう」「部分的に違う」の場合

3p確定

「いいえ」の場合

7m確定

となります。

 ちなみに、この質問では白を捨てましたが、暗槓することもできるでしょう。こんな形の質問でも構いません。

⑤手牌が筒子の111456p、白4枚持ちのホンイツイーシャンテンの状態で、『その牌』(思い浮かべている牌)をツモり、白を暗槓して嶺上開花でアガることができた。この場合、ノベタンでアガることになりますか?


さて、では遡って

②素数ですか?

の質問に「いいえ」だった場合を考えましょう。

その際は該当する牌が

189m 189p 189s

となります。次の質問はこうします。

③ひっくり返しても同じ絵柄ですか?

①で「はい」②で「いいえ」の場合

180度回転させても同じ絵柄かどうかということですね。
『理牌するときに、ひっくり返す必要性があったりしますか?』という訊き方のほうがユーモアがあると思います。

「はい」の場合

189p 89s

「いいえ」の場合、

189m 1s

③の質問で「いいえ」だった場合4つに絞られましたので、以降の説明は省略します。

今回は「はい」だった場合を考えましょう。

④『その牌』(思い浮かべている牌)と同じ種類の数牌で一つ上の数字の牌が、筒子の九連宝燈の雀頭になることがありますか?

①で「はい」②で「いいえ」③で「はい」の場合

質問の仕方は他にもあると思います。シンプルに

④筒子であり、尚且つ数字が「9」でもない牌ですか?

でもいいです。

「はい」の場合

18p

いいえの場合

9p 89s

となります。

「はい」の場合は2つに絞られましたので「いいえ」の場合を考えてみます。

次の質問はこうです。

⑤手牌が索子の666888sと白4枚を持っているホンイツのイーシャンテンで、『その牌』(思い浮かべている牌)をツモり、白を捨ててテンパイしたならば、アガれるときは7sでアガることとなりますか?

①で「はい」②で「いいえ」③で「はい」④で「いいえ」の場合

 ツモった牌(思い浮かべている牌)が8sならば、索子の形は6668888sとなり、この形でテンパイならば、待ちは7sカンチャン待ち以外になく、アガリ牌は7sで確定されます。

 ツモった牌(思い浮かべている牌)が9sならば、索子の形は6668889となり、待ちの形は7sのペンチャン待ちか、9sの単騎待ちとなります。よって『アガれるときは7sでアガることとなりますか?』という質問に対しては、そうなる場合もあるし、そうならない場合もあるので『わからない』や『部分的にそう』というような曖昧な回答になります。

ツモった牌(思い浮かべている牌)が9pの場合は、待ちの形は9p単騎待ちとなり回答は「いいえ」となります。

はいの場合

8sで確定

わからない

9sで確定

いいえの場合

9pで確定

となります。

さて、では①の質問から遡るとしましょう。つまり、最初の質問の回答が「いいえ」の場合です。これの候補は純チャンに使われることのない牌です。

この場合、次の質問はこうします。

②平和の雀頭として使えますか?

①で「いいえ」の場合

この質問は、3つに分けることができます。

平和の雀頭は、数牌かオタ風に限ります。そして風牌がオタ風であるかどうかは状況によって異なります。
麻雀初心者の人に「風牌って、平和の雀頭に使える?」と質問されたら、どう答えますか? 「はい」「いいえ」のみで答えることはしないでしょう。
「使えるときもあるし、使えないときもある」と答えるでしょう。

この質問に対しては

「はい」の場合

456m 456p 456s

わからない(部分的にそう)(部分的に違う)

東 南 西 北

いいえ

白 發 中

残り3つの質問を使い、3~4候補の中から1つを絞り込むことは簡単なことです。字牌については説明を省略して数牌4~6を絞り込むことについて考えましょう。

3問目の質問は、こうです。

③ひっくり返しても同じ絵柄ですか?

①で「いいえ」②で「はい」の場合

はいの場合

45p 456s

いいえの場合

456m 6p

となります。

3問目を終えた時点で「いいえ」が4候補まで絞り込めたので、ここの説明は省きます。「はい」の場合を考えてみましょう。
 「はい」の場合、次の質問はこれです。

④数字は「4」ですか?

①で「いいえ」②で「はい」③で「はい」の場合

はい 

4p 4s

いいえ

5p 56s

4問目を終えて「いいえ」の場合は候補が3つまで絞り込めました。
「いいえ」だった場合、5問目の質問は次のようなものにします。

⑤手牌が索子の444666s、白4枚持ちのホンイツイーシャンテンの状態で、『その牌』(思い浮かべている牌)をツモり、白を捨ててテンパイしたならば、アガれるときは5sでアガることとなりますか?

①で「いいえ」②で「はい」③で「はい」④で「いいえ」の場合

 前回と同じ理屈なので、軽い説明にとどめておきますが、
6sをツモした場合は、待ちの形が『4446666s』の5sカンチャン待ち。
5sをツモした場合は、待ちの形が『4445666s』の34567sの多面待ち。
5pをツモした場合は、待ちの形が『444666s 5p』の5p単騎待ち。

 はい

 6sで確定

 わからない
 
 5sで確定

 いいえ

 5pで確定

 となります。

 これで、すべての牌を確定することができました。
フローチャートにすると、以下のようになります。

実践では使えない理由


 私は『牌ネーター』必勝法の一つを提示しましたが、これが実際に使えるかどうかは別の話だと思っています。あくまでも、言葉を駆使することによって、牌を確定することができるということが可能であると示したにすぎません。
 では何故、使わないほうがいいのかというと、『牌ネーター』の目的は牌を当てることですが、大前提としてゲームとして双方が楽しめるものでなくてはならないからです。
 以下の理由から、この必勝法はゲームとしての面白さを阻害します。

 ①あらかじめ質問が決まっていては、ただの作業になり果てる。
 ②難しい質問が多いのでテンポが悪い。
 ③メタ読みなどの駆け引きが発生しない。

 力一VS天開司の試合を見ればわかると思いますが、最後まで答えを一つに絞り込むことができずに、賭けに出ました。そのときは相手の思考を読むというメタ読みが発生しますし、スリリングなものになります。それこそが、この『〇〇ネーター』の醍醐味なのだろうと思います。
 必勝法は、その醍醐味を削ぎ落してしまうものであると私は考えております。これが、実践で使わないほうがいいという理由です。

 ただ、全くの無意味というわけではなく、テクニックとして参考にして頂ける部分もあるんじゃないでしょうか?
 例えば『字牌ですか?』という質問をするのではなく『平和の雀頭に使えますか?』という質問をすることによって、『数牌』『風牌』『三元牌』の3つに分けることができています。
 『赤が使われていますか?』と質問するのではなく、『だいたい1/3か、それ以上赤で構成されていますか?』と質問することによって、7sを「いいえ」の候補に加えることができ、それによって「はい」と「いいえ」によって分けられる割合を調整させて、次の質問で確定することができています。

 終わりに

 『〇〇ネーター』は、質問をすることによって回答者の反応を楽しむという一面もあると思います。ですから、質問内容は簡潔でありながら、独創的であるのが理想なのだと思います。
 『〇〇ネーター』のカテゴリーがどんどんと増えていき、広まっていくといいですね。そのゲームの中には、独創的な、突破口となるような質問が生まれていくでしょう。


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