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タイミングの悪い人

「いつもタイミング悪いなぁ」って人はなぜか存在する。今までも何度かそういう場面はあったが、最近その究極ではないかと思う人がいる。あまりに毎度すぎて楽しくなってきたので聞いて欲しい。

その人は佐川の配達員だ。ここ数年私のエリアの担当らしく、定期的に荷物を届けに来る。通販をよく利用するので、多いと週2回ほど顔を合わせる。中肉中背でぼやっとしていて、挨拶は棒読み。荷物の扱いは丁寧で、棒読みでも挨拶などはきちんと言ってくれるので、配達員としては全く問題がない。

19時を過ぎると当日配達指定のない荷物は勝手に持ち戻りしてしまうが、逆を返せばそれでOKな佐川のホワイト企業ぶりはすごいのではないだろうか。

佐川の評判はともかくとして、本当に配達員として問題はない人だ。


問題はタイミングだ。何もないときにドアホンが鳴ったことが、ない。本当に一度もない。

最初はそこまで気にならなかった。夕飯を食べようとしたタイミングでドアホンが鳴るなんて、たまにはあるだろう。ところが3回くらいそれが続き、さすがに「おや?」と思うようになった。

夜間配達を頼むことが多いので、夕食時や料理中に当たるのは、まあ仕方ないだろう…

たとえ

食器を洗うスポンジを持ったタイミングで鳴ろうと
強火のフライパンで一気に炒め、というタイミングで鳴ろうと
いただきますと茶碗を持った瞬間に鳴ろうと

まあ…まあ…いやさすがに…毎回は…
いやでも、時間帯がきっとかぶっているんだ…

ところが時間帯が違ってもタイミングが悪いのだ。

昼間に来たときは、私はトイレに入っていた。
午前中に来たときは、出社するタイミングで玄関ですれ違った(あとで来てもらった、ご飯中だった)。
ちなみにトイレは3回ほど当たった。

これだけ続くともはや楽しくなってきて、鳴った瞬間で「あ、このタイミングの悪さはあの人」と笑ってしまうようになった。


先週のことだ。

いつものごとく料理をはじめた瞬間にドアホンが鳴った。もう誰かは分かっている。炒め物をはじめる瞬間ではなかったから、マシな方である。一旦菜箸を置き、手を拭いて、ドアホンに出て、玄関へ向かおうとしたタイミングでスマホが震え、メールの通知が表示された。

明日受け取りたい荷物が、佐川急便で出荷された連絡だった。

日時指定はしていない。
なんてタイミングで届けに来たんだ君!!!
最高だな!!!

玄関を開けて棒読みの挨拶を聞きながらハンコを押し、はやる気持ちを抑えて荷物を受け取り、声をかけた。

「あの!明日届く荷物があるんですけど!どうしても明日受け取りたくて!」
「…あぁ--…19時に必ず帰ってます…?」
「帰ってます、帰っておきます!」
「じゃあ…まあ…気には止めておきます」

こうして私は無事に荷物を受け取り、翌日使うことができたのだった。
(ちなみに配達に来たときは着替え中だった)

ここまで凄いタイミングの人にはいまだかつて出会ったことがない。
この人はほかの家にも同じなのだろうかと聞いてみたいが、まさか「いつもタイミングが素敵ですよね」なんて言えるはずもない。


自分が何を書けるのかも分からない初心者です。まずは気長にポツポツと。読んでくださりありがとうございます。