学習のエアライン

インターネットの普及により学習する速度はどんどんと向上をしている。YouTubeなどから手に入るコンテンツの種類や量も実際に日々増えている。実際にこれをいまから10年以上前に将棋の羽生名人は「学習の高速道路」と呼んでいた。今となっては懐かしい本であるがウェブ進化論を読んでいた世代にとってはわりと記憶されている言葉なのではないかと思う。

しかしながら、羽生名人も当時から仰っているように学習の高速道路が整備されたが故に渋滞が起きているのが現状である。私のわかる範囲の話になってしまうが、プログラミングを学ぼうと思えば無料で用意されている素晴らしいコンテンツが巷には溢れている。またそれだけではなく数千円程度で購入できる書籍だったり、Udemyから購入することができるコンテンツも素晴らしいものが多い。私自身も短期的に自分の知らない領域を学習するときにUdemyのコンテンツを購入することはある。そのように誰もが自分と同等の学習を行える環境があるいま、どうやって差がうまれているのだろうか。

知識のコモディティ化

インターネットが普及するまでは知っていることだけで希少性が築けたわけだが、ここまで知識のコモディティ化が進むとごく普通の知識だけでは差別化が行えないのが現場だ。プログラミングの世界などはわかりやすく、日々そのレベルが上がってきている。10年前に希少性が高かったスキルと現在のスキルを比べてみればわかると思う。当時は希少性が高いと思われていた知識や経験も現代においては当たり前であったり、ものによっては役に立たないものもあるだろう。そうなってくると、結局はどんな人でも学習をし続けていかなければならない。それは当然のことではあるのだが、人に平等に与えられた時間のなかでいかにして効率よく学習をしていくかが課題となってくる。

自学での限界

インターネットで得た知識をきっかけに自学をしていくのが現代流の学習方法だろう。それ以上の知識を得ることができる場はたくさんあるし、書籍も多数でているケースが多い。しかしこれだけ情報の入手がたやすくなってくると「大渋滞が起きている」と表現されるように、相対的にみて知識で抜きん出ることはなかなか難しくなってきている。何かを極めるには1万時間かかるという説もあるが、とにかく幅広い知識を身に着けていきたい場合に、すべての領域に1万時間を費やすのは現実的ではない。

そこで効率の良い学習方法の一つとして「学習のエアライン」がある。

最短で学ぶことは聞くこと

こう言ってしまうと元も子もないのだが、最新の情報を最速でインプットするにはその道で詳しいひとに聞くことが一番だ。TwitterやBlogなどの情報を追い続けることはそれはそれで悪くはないが、深い情報を身につけるにはやはり難しい。だからこそ、ある程度体系的にその分野の知識を教えてくれる人から聞くことが実際はいちばん早かったりする。この聞くことができることを「学習のエアライン」と個人的に命名している。

当然ながら、ゼロから知らない分野についていきなりきくのは効率も悪いし限られた時間でどうしようもない質問を繰り返していても仕方がない。ある程度は自分で基本的な知識をつけた上ではなしを聞きにいくべきではある。そこにいくまでは先に紹介している「学習の高速道路」であるインターネットを活用すればよい。

「学習のエアライン」を持てるか

しかしながら、こういった効率の良い学習を行うために最適な人物と出会えるかどうかだ。なんらかの分野に特化して詳しい人は当然ながら暇ではない。どこぞの誰とも知れないような人に自分の時間を無償で与えてあげるようなお人好しでもないだろう。

しかしながら、自分自身が提供できる情報がある場合は別だ。相手も同じ目的で自分からなんらかの情報を得ようと思って話してくれるからだ。まさにgive and takeの関係ではあるが、この関係が築けるくらいに自分自身に情報を持っている人は強い。どんどんと新しい情報を手に入れることができるからだ。だから、なんらかの情報に特化している人はそれ以外の情報に詳しくなる速度も速い。書籍から得られることはたくさんあるけれども、やはりその道で最前線でやっている人の生の情報は圧倒的に違う。そのような人たちから情報を得ることができる環境を作れるかどうかが、現代における情報格差の本質なのだと思う。

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