韓国ドラマ「愛の不時着」ロスなんて言わせない!これを知ったらもう一度見たくなる5つのポイント
外出自粛でお家時間のお供に、空前の大ブームとなっている韓国ドラマ「愛の不時着」。
韓国ドラマを15年間見続けている私が伝えたいドラマをもっと楽しむ5つのポイントをまとめました。
※一部ネタバレを含みます。
主人公の2人に隠された名前の秘密
ドラマの中では、3話のジョンヒョクとセリが名前を教え合うシーン、
セリ「私は海州ユン氏なの」
ジョンヒョク「僕は全州リ氏だ」
というやりとりがあります。
この「海州ユン氏」「全州リ氏」とは本貫と言われるもので、自分の血筋や家系を表すものです。
【名字を作った祖始の出身地+名字】という構成になっています。
海州は北朝鮮・平壌より南にある町で、全州は韓国にありビビンバが有名ですね。
お互いの出身が逆になっていて、南北で分断されてしまった悲しい事実を皮肉って表していたように思います。
ちなみに李氏朝鮮時代を築いたのは全州李氏ですから、
ジョンヒョクはとても高貴な血筋とも言えます。
韓国では族譜(チョッポ)という一族の家系図をいまでも大切にしています。
もとは貴族階級の両班(ヤンバン)が自分たちの優位性を示すためだったともいわれています、
韓国・釜山からおよそ2時間半のところにある安東の河回村は朝鮮時代の貴族階級である両班(ヤンバン)の子孫がそのままの暮らしを残しています。
河回村は俳優のリュ・シウォンの実家もあることで有名で、リュ・シウォンは名門豊山柳氏(プンサン・リュ氏)の出身です。
▼リュ・シウォン(オフィシャルサイトより)
韓国では同じ名字で結婚できない・・・という都市伝説を聞いたことはないでしょうか。
それは半分合っていて、半分間違いです。
同じ名字ではなく、同じ本貫の人が結婚できない時代がありました。
同じ本貫は近親とされるため結婚が許されなかったのです。
同姓婚禁は中国の儒教的思想からきているそうで、中国でも同じ名字同士は結婚できなかった時代もあるようです。
韓国では「石を投げれば3氏に当たる」と言われるほど、金(キム)氏、李(イ)氏、朴(パク)氏の3氏の名字が占めています。
それなのに同姓婚が認められないと大変ですから、同じ本貫でなければよいとしたともいわれています。
韓国で同姓同本婚禁止は1999年に廃止となったと聞いており、
「秋の童話」や「冬のソナタ」など、
2000年頃の韓国ドラマといえば出生の秘密が定番だったのはこんな背景があるようです。
世代交代された国民食ジャージャー麺
10話で北朝鮮からソウルにわたったジョンヒョクの部下メンバーがコンビニでカップラーメンを食べるシーン、ジュモクがジャージャー麺を選びました。
ジュモクがみていた年代の韓国ドラマには何かにつけ「ジャージャー麺(チャジャンミョン)」が出てきます。
真っ黒な麺でどんな味なのか想像つかないため「食べるという夢が叶いました」という台詞があるように、当時のドラマを見ていた人なら食べてみたいと思ったこともあるでしょう。
韓国のジャージャー麺は、中国のものとは少し異なり甘めのソースにもちもちした麺が特徴です。
▼ジャージャー麺
「ジャージャー麺と酢豚」のセットは子どもの好きなものの定番!
▼酢豚(日本のとはちょっと違います。肉肉しくてソースがフルーティー)
韓国でトライするのならば中華料理屋さんで食べられますし、インスタント商品も人気です。
アカデミー賞を受賞した「パラサイト」に登場した「チャパグリ」を作ってSNSに投稿するのが一時ブームになりましたが、チャパグリにかかせない「チャパゲティ(짜파게티)」は、インスタントのジャージャー麺です。
(個人的にはPaldoというメーカーの「一品」が好きです)
ジャージャー麺はまだUber Eatsがなかった時代、どこへでも出前として運んでくれるものでした。
ジュモクがはまっていた「天国の階段」でも重要なシーンでジャージャー麺を食べています。
どんなドラマにも登場していたジャージャー麺ですが、時代の変化と共にいつからかフライドチキンに変わってきたように思います。
また、食べると口が真っ黒になることから、恋人と食べてはいけない食べ物ともいわれています。
4月14日はバレンタインデー、ホワイトデーに縁がなかった寂しいシングルたちが黒い服をきてジャージャー麺を食べるブラックーデーというのもあります。
(そういえば最近あんまり聞かないけれどやってるのかしら・・・)
フライドチキンからみえる韓国の経済事情
サクサクのフライドチキンをおいしそうに頬張るシーンがたびたび登場し、フライドチキンを食べたくなった人もいるのではないでしょうか。
韓国ではフライドチキン店が多く見られるのですが、脱サラ・失業組がフライドチキン店をオープンさせる傾向にあります。
開店資金が少なく始められることなどから人気があるようです。(日本のコンビニオーナーと似ていますね)
韓国では公務員や正社員になるにはかなりハードルが高く、失業者や就職できない若者が多いことが社会問題となっています。
そんな人たちが手っ取り早く始められるとして続々とフライドチキン店をオープンさせました。
今となっては競争率が激しく、破産する・・・なんて人も出てきているようです。
特にソウルは店の入れ替わりが激しく通常の飲食店でも2、3年の内に閉店してしまうことも多いです。
※韓国旅行の際は、最新のガイドブックを見ることをおすすめします!
ちなみに韓国語は日本語と同じように擬音語・擬態語のオノマトペが多い言語とされていて「サクサク」というのは「바삭바삭(パサッパサッ)」となります。日本語の「パサパサ」は全く違う意味になるので、韓国語のオノマトペと比較してみるのも面白いです。
カメオ出演"ジウ姫"登場シーンに隠された秘密
13話には妊娠中のチェ・ジウが本人役で登場したことも話題となりました。
韓国ドラマ「天国の階段」のあらすじを簡単に
紹介すると、大学教授の娘チョンソとテーマパークを経営するグローバルグループの御曹司ソンジュの純愛ラブストーリーです。
チョンソとソンジュは幼なじみでお互いに片親を早くに亡くしたという悲しみを一緒に乗り越えてきた仲でした。
チョンソのの父親が再婚したことをきっかけに、継母・ミラとミラの前夫との娘ユリからの容赦ないいじめが始まります。
チョンソはソンジュと一緒に行くはずだった留学をミラに阻まれ、数年後、待ちに待った再会の寸前に、ユリの車にひかれて記憶喪失になってしまいます。
チョンソに淡い恋心を抱いていたユリの兄テファは記憶喪失のチョンソと2人で暮らし始めます。
チョンソが交通事故で亡くなったと知らされたソンジュはその後ユリと婚約し、チョンソも記憶を取り戻し・・・
三角関数、交通事故、記憶喪失、不治の病など韓国ドラマの王道パターンがこれでもかと盛り込まれています。
「愛の不時着」の劇中で韓流好きのジュモクがチョンソを演じたチェ・ジウと会うシーンで身につけていたのは赤いニット帽と黄色のマフラー。
このニット帽はチョンソがソンジュに送った手作りのもの。
ソンジュが帽子で顔を隠して一人涙する通称「ヤドカリシーン」は名場面のひとつです。
ジュモクもしっかりとやっていましたね。
黄色いマフラーは記憶をなくしていたチョンソがグローバルグループの新商品として開発したカップル向けのマフラーです。
商品開発に行き詰まっていたチョンソにソンジュがニット帽について話し、それをヒントに「世界でただひとつ」というコンセプトになりました。
暗闇で光る不思議な素材が使われています。
ジュモクがチェ・ジウに対して言った
「どんなに遠くにいても最後には戻ってくる、愛は戻ってくる」
という台詞は、ソンジュがドラマのキーワードであるブーメランが投げた人のもとへ戻ってくることになぞらえて言った名台詞です。
「冬のソナタ」で第一次韓流ブームを牽引した、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウは「ヨン様」、「ジウ姫」と呼ばれ、韓国でも同じように呼ばれるようになりました。
ジュモクも劇中でジウ姫と呼んでいましたね。
渡り鳥が飛び立つシーンに込められた意味
私が板門店を訪れるツアーに参加した時にバスの中でガイドさんが色々と教えてくれたのですが、
離散家族が詠んだ
「あの渡り鳥になってあなたに会いに行きたい」
という歌を紹介してくれました。
ジョンヒョクとセリの別れのシーンはその線を越えたら二度と会うことができない切なさを
韓国では誰もが知る歌を描写したのではないかと思われます。
板門店ツアーでは運が良ければまた北朝鮮側にも入れますし、
バスの中では脱北者の方のお話も聞けるのでとてもおすすめです。
いかがでしたでしょうか?
「愛の不時着」を一度見た方も別の角度でまたドラマを楽しんでいただけると嬉しいです。
この記事を書いた人
わだひろえ
韓国ドラマにハマりすぎて15年間ほぼ毎日鑑賞。
高校の時にオーストラリアに1年留学した時も、チャイナタウンでDVDを購入し、韓国語に英語字幕で鑑賞するほど。
大学では韓国語を専攻、映像翻訳などを学ぶ。
政府主催の派遣交流事業でソウル、釜山、済州島を訪問し、ホームステイも経験した。
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