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ハローワークの変化と若者への就労支援

こんにちわ、轍三郎(わだち さぶろう)です。

今日は令和3年6月11日に閣議決定された内閣府の「子供・若者白書」の読み解きと、同年9月よりおきるハローワーク窓口の変化から、若者支援の必要性とキャリアコンサルタントの役割について考えていこうと思います。

・令和3年9月からのハローワークインターネットサービスの変化
・令和3年度「子供・若者白書」から読み解く若年無業者の状況
・若年無業者の就労支援の必要性とキャリアコンサルタントの役割

​ハローワークインターネットサービスの変化

・令和3年9月からはハローワークインターネットサービス上の求人に求職者が直接応募出来るようになるとのことです。

【参照:労働市場における雇用仲介の在り方における研究会】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19107.html

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今後はわざわざハローワークに行って紹介状を貰う必要もありません。
自宅にいながらインターネット上で直接企業に応募することができます。

一見すると良い変化のように思いますよね。
しかしこの変化に伴いハローワーク部署も改正されていきます。

一般窓口が現在より大幅に減少されます。

専門援助部門と呼ばれる精神障害や発達障害を持たれている方や、少年院を出てこられた人など専門的な支援が必要とされる窓口と、職業訓練(ハロートレーニング)の窓口は現状のまま残りますが、一般窓口は最低限に縮小されるそうです。

紹介状も必要なくなり、インターネット上で応募もできるようになるのであれば専門的支援が必要な人以外の一般窓口を減少させるのは当然と言えば当然です。

しかし現在コロナ禍でどのハローワークの一般窓口もマンパワーが足りておらず、求職者一人にかける相談時間が減少傾向になるなか、さらに一般窓口が減少するとなれば、それが助長されるのではないかと懸念しております。

(実際一般窓口で働いている人の話では、20分も一人の求職者と面談していると上長から「随分長く話していましたね?」と小言を言われることなんて日常茶飯事だと聞きます)

子供・若者白書から読み解く若年無業者の状況

令和3年6月11日に閣議決定された内閣府の「子供・若者白書」が公開されました。

【参照:令和3年版 子供・若者白書(全体版)(PDF版)】
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r03honpen/pdf_index.html

これを読むなかで私が気になったのは15~39歳人口に占める若年無業者の割合です。

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多くの指標が好転しているなか(これ自体も違和感を覚えますが…)15~39歳人口に占める若年無業者の割合が増加しています。

白書では15~39歳の若年無業者の数は、令和2年で87万人と報告されています。総務省が平成29年10月に実施した調査では、就業希望の若年無業者が求職活動 をしていない理由として、病気・けがや勉強中の者を除くと、「知識・能力に自信がない」「探したが 見つからなかった」「希望する仕事がありそうにない」といった回答が多かったそうです。

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若者支援の必要性とキャリアコンサルタントの役割

これら状況を踏まえると、若年無業者は増加の一途を辿るのではないでしょうか。

病気等理由がない働ける状態にあり就労意欲をもっている若者は「自分の知識や能力に自信がない」「自分に出来そうな仕事が見つけられない」「やりたい仕事がありそうにない」といった悩みを抱えています。

しかし公共の就労支援機関であるハローワークは「自身で求人を見つけて、インターネット上で直接応募する」仕組みへと変化していきます。

勿論令和4年度以降は、ハローワークインターネットサービス上で求職者から企業にリクエストしたり、企業側から求職者をスカウトできたりするシステムも登場していきます。

しかし上記悩みをもっている若者が、どのように希望する企業を見つけだしリクエストが出せるのでしょうか。自分に自信がない若者がどのように、企業の人事担当の目に留まるような自己PR等を作成することができるのでしょうか。

削減された後のハロワークの一般窓口は、そのような時間がかかる相談にのれるほどのキャパは存在しないでしょう。

では他の公共の就労支援施設はどうでしょうか。

わかもの応援ハロワークやジョブカフェなども該当しますが、やはり全国に177カ所ある地域若者サポートステーションが次の相談窓口になるでしょう。

地域若者サポートステーション(通称サポステ)
https://saposute-net.mhlw.go.jp/

私の所感ですが、サポステはハローワークの一歩手前の支援をしてくれる場所だと捉えており、若年無業者の支援をしてくれる良い場だと思います。

サポステはハローワークとは違い、厚生労働省と各都道府県労働局から民間団体に委託されて運営をされています。

ここで問題なのがサポステの予算は雇用保険が財源のため、一か月以上雇用され、週20時間以上の就労(雇用保険受給資格要件)をどれだけの若者にさせたかが、サポステ受託団体の評価指標となり、次年度も受託できるかの鍵になっている点です。

そのためごく一部のサポステでは、20時間以上働けそうにない若者は、登録せずにハロワーク等へ促したり、本人の意思を組まずに採用されやすい職種へ誘導したりする所もあると聞いています。

その為、本当に若者の事を思い時間をかけて支援をしているNPO団体などがサポステを受託できず、ただ当てはめるだけの人材派遣会社のような支援をしている団体にとって代わられる事態もおきているようです。

そのような背景から若年が抱える「自分の知識や能力に自信がない」「自分に出来そうな仕事が見つけられない」「やりたい仕事がありそうにない」といった問題は解決されず、若年無業者の数は増加しているのではないかと考えます。

そう考えると若年無業者への就労支援はまだまだ足りていません。今こそ公共施設では支援しきれていない、支援から漏れてしまった若者へ、キャリアコンサルタントが関わる絶好のタイミングなのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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