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「ミニサイト」って何?

「小さなサイト?」
「ブログとはどう違うの?」

ここ数年、名刺に「ミニサイト作り職人」という肩書を入れているため、初対面の人ともそんな話になります。

特に定義はありませんので、その解釈は人によって異なると思います。
そしてミニサイトの定義自体にこだわる必要もありません。

「ミニサイトは30ページ以内にすべし。そうでなければミニサイトとは言えない」的な文章を目にしたことがありますが、そんなのテーマ次第・企画次第。そもそも「ミニサイトと言えるかどうか」に特に意味はありません。

ただお互いの認識が大幅にずれたままだと、一連のnoteを読んでも「そもそもミニサイトって何なんだっけ?」と首を傾げてしまう可能性があるので、私のミニサイト解釈を簡単に紹介します。

キーワードは4つ、

「ニッチテーマ」
「コンパクト」
「全体設計」
「完結形」

です。

絞り込んだニッチテーマ

一個人が限られた“時間”と“マンパワー”でそれなりに内容の濃いサイトをつくって運営していこうと思ったら、最初にきちんとテーマを絞り込んでおくことが大切です。
身の丈を越えた壮大なテーマを選べば、制作・運営作業が大変になるだけではありません。コンテンツとして薄っぺらい、「中身が中途半端な使えないサイト」というレッテルが貼られることになってしまうのです。

テーマ絞り込みが重要な理由は3つあります。
ひとつは「限られたリソース」で完成させる必要があること、もうひとつは「サイトコンテンツの質」を高める有効な手段であること、そして「集客力」あるサイトにするためです。

世の中には“有限”なリソースがいろいろありますが、何か新しいことに取り組もうとした場合、まず意識すべきは自分自身の「時間」でしょう。一日24時間、31日間で一か月、365日で一年。例えばミニサイト作りに挑戦するとして、自分の日々の生活の中からミニサイト作りに投入できる時間はどのくらいでしょう。

土日ぼーっとしている時間が2時間ずつくらいあり、平日も毎朝30分早起きして作業に回せるとします。積み上げると一週間で6時間半、一か月で約27時間になります。持ち時間の見積もりは往々にして多めに、一方で作業時間は少な目に見積もられるのが世の常。そんなわけで仮に2割ちょっと差し引いて月20時間としておきましょうか。

私はあまり根気強い性格ではないので、二か月くらいである程度完成させたいところ。そうするとリソースは40時間です。

「40時間でミニサイトが作れるのか?」

と思うかもしれませんが逆です。もし持ち時間が40時間なら、その範囲内で無理なく作れるよう絞り込んだテーマを選ぶのです。絞り込みさえできていれば、10時間程度でもひとつ、サイトを完成させることは可能です。この10時間で作ったミニサイトについては、また後日紹介しますね。

何より重要なのは「サイトコンテンツの質」です。
「質」にもいろいろあります。高度な内容であるだけが「質」ではありません。例えば初心者向けに非常にわかりやすく解説しているサイトがあれば、それも良質と言えます。

時間・マンパワーが限られる中、コンテンツの「質」と「量」は反比例の関係となります。より質の高いサイトをつくるためには、無理のない時間数と労力でつくることができるコンテンツ量のサイトを企画する必要があります。そのためにも、「テーマの絞り込み」が重要になってくるのです。

「情報の網羅性」も質のひとつ。素人・初心者がミニサイトを作る際に狙いやすいものでもあります。

例えば「東京都内のおススメラーメン店」というサイトがあっても、それを作っている人が訪れたことがあるラーメン店の数が大したことなかったら、その信頼度は大幅に下がるでしょう。評価基準も怪しいものですし、中途半端すぎます。でも東京都大田区の蒲田駅周辺にあるラーメン店を片っ端からまわって食べ尽くした人が「蒲田駅周辺ラーメン店ガイド」を作ったとなれば話は別です。

「麻辣汁なし担々麺」が大好きな人が、東京都内のいわゆる人気店として知られる店30軒を全部訪れ、それをレポートした上で、「○○な人にはこのお店がおススメ」「○○が好きな人にはこちら」などリコメンドしてくれたらどうでしょう。ちなみにすみません、上記の「30軒」は適当な数字です。一体何店舗ほどまわれば「コンプリート(制覇)」したことになるかはわかりませんが、好きな人が調べればきっと、東京都内23区の麻辣汁なし担々麺が食べられる店で訪れておくべき場所一覧は作れることでしょう。その一覧だけでも価値あるものです。

テーマを絞り込むことで、限られた時間・マンパワーでもそのテーマに関する情報の網羅性を高め、コンテンツの質をあげることができます。

テーマ絞り込みは集客力にもつながります。

「広くてメジャーなテーマのほうが、より多くの人が興味を抱いて見に来てくれるのでは」と言う声もあります。
確かにニッチなテーマは、興味を持つ人の母数も減ってしまいます。

でもメジャーなテーマでサイトを作ったところで、競合サイトがひしめき合っている状況だったらどうでしょう。より中身が充実しており歴史もあり既に多くの人が利用している知名度も高いサイト群が検索結果の1ページ目を占有し、新参者が入り込む隙はないはずです。

検索エンジンは、個人サイト運営者にとって重要な集客の場。検索エンジン経由のアクセス数を増やすための方法はいろいろありますが、「テーマを絞り込んだサイトを作る」も有効な手段であり、特にSEO知識・技術などが乏しい初心者にとっては、成功確率が高い方法と言えます。弱者の戦略でも、統合力に劣る弱者は局地戦・一騎打ちで特定分野にリソースを集中させて1位をとることが提唱されていますが、同じことです。

もちろん「絞り込み過ぎてもダメ」なので難しいところでもあります。テーマ絞り込みについてはまた別途、書きたいと思います。

コンパクトサイズ

プロブロガーに憧れる人が増える中、「ブログマネタイズを成功させるためのコンサルタント」も多数誕生しました。「最低でも300記事は書かないと」「毎日必ず更新」「1記事2000文字以上必要」など、数字を含む様々な情報が飛び交い、そのセオリーのもと、日々記事を書き続けている人がいます。

検索エンジン対策という観点から確かにコンテンツ量が重要であることは認めますが、その目的のためだけに貴重な時間を使って記事量産したいとは思いませんし、またユーザとしても、水で薄めたような読み応えのない長文を読まされることには閉口します。

サイトの最適コンテンツ量はテーマ次第です。
テーマによっては10ページもあれば必要かつ十分という場合もあります。

インターネット上に情報が溢れかえっている今日この頃、むしろ必要な情報がコンパクトにまとめられているサイトのほうが重宝されることもあり、訪問者ニーズに合致していることも多々あるのです。

読み手の立場から見た場合、情報は多ければ多いほどいいというわけでは必ずしもないのです。むしろ重要な情報をぎゅっと凝縮してまとめてくれているサイト、中身を一覧できるコンパクトなサイトのほうがありがたい場合が多いということです。とりわけそのテーマについて調べ始めたばかりの初心者にとっては、基本的なことを体系的に整理して紹介してくれるミニサイトが大きな助けになるはずです。

「訪問者が求めている情報は何なのか」をしっかり把握し、掲載する情報の取捨選択・優先順位付けができているサイト。ネット上を探し回らなくても必要な情報がワンストップで入手でき時間節約になる便利なサイト。「小粒だけどキラリと光る」そんなミニサイトを目指したいものです。

全体設計かっちり

これまでブログ運営しか体験していない人がミニサイトを始めようとした時、まず戸惑うのがここです。

2005年頃から一気に人口が増えたブログ。HTML知識がない人でも気軽に始めることができ、全体の構成や記事順序なども気にせず、その時々に興味を持ったことや体験などを自由に書いていける手軽さが人気の要因となりました。記事の分類・整理に使われるのは「カテゴリ」と「タグ」。これらも途中で新たに追加したり整理統合したりできるので、最初の段階で具体的に「どんな内容のブログにするか」かっちり決めなくても始められます。この自由度・手軽さはブログの大きな魅力と言えます。

一方で、それゆえのデメリットも抱えています。連載コラムのように、新着記事を次々読んでいく分には不便ないのですが、いざ過去の記事ストックの中から必要な情報を探し出そうとした時、ブログ全体だけでなく、カテゴリ内も時系列で並んでいるだけなので少々難儀するのです。情報が体系立てて整理されているわけではないため、何か調べたいことがあって訪れた人から見ると、「全体が見渡せない」となってしまうのです。

メリットとデメリットは表裏一体です。
自由度の高さがブログの魅力の一つですが、体系だったコンテンツではないため、訪問者にとって必要な記事を探すのは少々難儀な作業。そもそも、時系列順に記事が並ぶトップページだけを見て全体把握できる作りではないので、探しても見つからない可能性もあります。

イメージを湧きやすくするため、下記2つの画面を見比べてみてください。

九州一周ツーリング記

北海道一周ツーリング記

上の「九州一周ツーリング記」は、小型バイクで九州をツーリングしながら、毎晩宿で書いていたブログ記事、つまりツーリング日記です。

下の「北海道一周ツーリング記」もコンテンツの大半はツーリング日記ですが、帰宅後それらの記事を整理しまとめ、同じような北海道一周ツーリングを計画する人に参考にしてもらえるよう「ガイドブック」的なミニサイトとしました。

体系だったコンテンツ、見やすく整理されたトップページのミニサイトを作るためには、少々面倒でも、一番最初の段階でしっかり全体構成を決める設計作業が欠かせません。

先ほどから何度も「全体構成」「設計」という単語を繰り返していますが、簡単に言えば「どんな内容にするか」ということです。そこが「こんな感じの内容」という漠然としたものではいけません。
では、どうすればいいでしょうか? もっと具体的に、カテゴリ一覧はもちろんのこと、できればミニサイト内に収めるすべての記事のタイトルを書きだすくらいまで行います。「つくりながら次にどんな記事を書こうか考える」のではなく、最初の段階で、サイトマップがつくれるくらいまで詳細を詰めておくのです。そして、ミニサイトの顔とも言えるトップページの配置がとても重要です。

全体構成や、コンテンツ計画については、また改めてまとめたいと思います。

短期で制作可能(完結形がある)

ブログとの大きな違いはもうひとつ。ブログは継続更新が前提となっているのに対し、ミニサイトには「完結形」があり、一定期間作り込みをして完成すれば、その後はそれほど運営に手間がかからないものです。雑誌の連載記事と一冊の本の違いにも似ています。

もちろんミニサイトでも、古くなった情報があればアップデート必要ですし、テーマによっては定期的な更新が必要な場合もあります。ただし更新し続ける必要はありませんし、テーマの選び方次第では、長期にわたって更新をしなくても、サイトコンテンツとしての価値が維持されます。

短期集中で完成させるミニサイト、コツコツと記事を書き溜めてゆくブログ。性格によって好みもわかれるところでしょう。

私自身は、はまりやすく飽きやすい性格ということもあり、興味をもったことや体験した出来事、旅行・ツーリングなどを題材に、比較的短期間で完成させられ手離れできるミニサイトがむいています。

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これまでブログだけを運営してきた人にとっても、ミニサイト作り挑戦はなかなか刺激的な体験になるんじゃないかなと思います。主観的な体験レポート、製品比較やショップ一覧といったデータベース的コンテンツ、ソフト使い方解説などのガイド、キーワード集などのツール、サイト外部の有益コンテンツを紹介するリンク集、訪問者同士のコミュニティ的な場・・・などなど、個人が作れるコンテンツの種類はいろいろあります。

ブログを運営するにしても、ミニサイトを作るにしても、そうした複数のタイプのコンテンツを組み合わせることで、訪問者にとって役立つ情報発信を実現させることができます。

ずっと同じスタイルで情報発信をしているとマンネリ化してしまうこともあります。コンテンツバリエーションを増やすことは、情報発信力を高めることでもあり、スキルアップにもつながります。

●ミニサイトをつくって儲ける法(日本実業出版社)



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