見出し画像

【コラム】おうちフリースクールの”終いかた”

これからおうちフリースクールを始めようとお考えの先生方向けに、大切なことを書いていなかった…!
表題のとおり、おうちフリースクールの”終いかた”についてです。
これから新しい取組みを始めようと希望いっぱいのところに水を差すようなことを…!と思われるかもしれませんが、本当に大切なことなのでそっと書きおいておきたいと思います。

▽開業前に決めておこう「フリースクールの終いかた」

物事にはいつか終わりがくるものです。
健康で楽しく過ごせる時期、大切なわんわんや子どもとの時間、そして人生。
同様に、仕事や事業にも終わりは来ることを、我々は覚悟しなくてはいけません。
仕事に関しては、綿密に計画し、後継者を育てて自分の意思を継いでもらったりすることで、自分が一線を退いたのちも、事業だけは長きにわたって残し続けることができるでしょう。
しかし、生身の自分自身が活動を続けるということには、残念ながらどんな人間にも平等に、いつか必ず”終わり”がきます。

スケールの大きい話から入ってしまいましたが、おうちフリースクールの営みについても同様です。
「よく終うこと」は「よく始めること」以上に大切なことだと私は思っています
有終の美、終わりよければすべてよしとはよく言ったものですが、私は常々、この言葉の裏返しの意味ばかり考えがちです
どんなに素晴らしい歩みを10年、20年続けて来ても、終わり方を間違えてしまうと取り返しのつかないことになる。
最後の最後になって、これまで支えてくれてきた人たちをがっかりさせたり、「あの時間は何だったんだろう」と思わせてしまうことは絶対にあってはならないと考えています(人間関係、特に師弟関係や恋愛に置き換えてみるとわかりやすいでしょう)。

皆さんが始められるおうちフリースクールの取組みが、30年後50年後、卒業生たちが大人になった後にも望ましい記憶として残されるように(決してがっかりさせることのないように)、一人の大人として恥ずかしくない終いかたができる準備を整えておきましょう。
終いかたをある程度イメージしておくと、支援者自身の不安も払拭され、自分の安心にもつながりますよ。

▼終いかたのルールを決めておく

おうちフリースクールのお終いを明るく迎えるためにまず必要なことは、自分なりの「終いかたのルール」を決めておくことです。
絶対の正解はありませんが、一つの例として、私自身のおうちフリースクールの歩みと、終いかたのルールについて振り返っていきます。

例えば、私がおうちフリースクールを始めた当初の状況を振り返ると

✔大病は患っていないけど
✔原因不明の高熱等体調不良で退職したばかり
✔夫と2人暮らし子供なし
✔60代の母は元気だけど、何かあった時には私が何とかする
✔賃貸住まい持ち家ナシ、その他ローンなし

こんな感じです。
先生方の現在のご状況はそれぞれだと思いますから、今後起こりうる生活の変化を何となく想像しつつ、ご自身の現状に置き換えながら読み進めてみてください。

▼終いかたの鉄則①絶対の”柱ルール”を決める

まず最初に、「絶対こういう状況ではスクールを終わない」「こういう状況になったらスクールを終ってもいい」という一番大きな柱を決めます。

実際、私のおうちフリースクールは「閉業」はまだ経験していませんが、「休業」の措置をとった経験があります。
私の場合、スクールオープンから3年目の2022年に妊娠したタイミングで休業の準備作業の必要が生じました。
この時も、予め「終いかたのルール」をきちんと決めていたため、生徒さんや保護者の皆さんから大きな協力を頂きながらではありますが、ほぼ無事に(トラブルや事故なく)休業に入ることができました。

私の決めていた「終いかたの柱ルール」はいたってシンプル。

✔生徒が0になったら終っていい
✔生徒が0になるまでは絶対に終わない

柱を2つ掲げているように見えますけど、表裏セットの実質1つですね。
簡単な話、「生徒だけ残して自分勝手に畳むなよ」ってことです。

私が、私の意思で、私の責任において始めたナリワイです。

そこに賛同し、あるいは信じて集まって来てくれた生徒さんや保護者の方を残して、私の勝手でスクールを終うということだけは絶対にしないぞと決めていました。
休業閉業は、全員の生徒さんが自分の意思でスクールを去るか、卒業した後と決めていました。

人にはそれぞれ事情があるものですが、
「自分が始めたことは、当然に最後まで自分が責任をもつ」

という姿勢を、大人自身がきちんと示すことが大切だと思います。
子ども達は、本当に大人の背中をよく見ていますから。

ちなみに私の休業準備が完了したのは、当時見ていた生徒さんが全員卒業した3月末です。


▼終いかたの鉄則②細かなルールを決める


前章では、まるで仕事の鬼のごとくフリースクールの終いかたのルールについて書き連ねましたが、決して「倒れても死んでも働けよ」ということを申し上げているのではありません。
一切の例外を認めないということでもありません。
人生には予測不能のことや、どうしても避けられないハプニングだってあります。
ただ、出来て当たり前の準備を怠って人様に迷惑をかけながら終うのと、「準備はしていたんだけど、本当に仕方なかったんです」というケースで終うのとでは、周りの方々の気持ちも大きく変わってくると思うのです。
リスクに備えて、自分の責任でできる最大限の準備はしようね」ということです。

信頼してくれている皆さんを悲しませない終いかたをするために、「終いかたの柱ルール」を決めたら、その柱ルールを支えるための細かな約束事(終いかたの掟)を決めましょう。

ここから先は

3,788字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?