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詩「仮面をかぶる」~詩集「悪魔に乾杯」より

「仮面をかぶる」

真っ白な気持ちで 躊躇なく
幼い心は 小鳥のように震えて
広く澄み切った青空よりも
深く暗い深淵を選んだ
洞窟の奥 曲がり角の壁には
白い仮面が掛かっている
すり抜けることはできない
通らざるを得ない
見ずにはいられない
気がつくと 片手に仮面を握りしめ
凍り付く石の上に立ちつくす

さあ 仮面をかぶろう
ここは曲がり角
仮面はそこにある
黒い眼孔 ひきつった唇
優しき瞳 語りかける言葉
蒼い涙 赤い口腔
仮面は自分の名を語らない
ここは瀬戸際
幼い心は衝動に鳴く
さあ 仮面をかぶろう
一度かぶれば 二度とはずすことのできない仮面を

真っ白な気持ちで 躊躇なく
わたしは仮面をつけた
永久にはずれない仮面
灰になるまでとれない仮面
青白き仮面
小さな
こわれもの



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