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身体の中を流れる涙~もはや涙すら出ないのか?

 今朝は内分泌系の検査で朝食抜きの朝一番からの採血だったが、例によって採血者を困らせた。わたしは血管に針は刺さるのだが血液が返ってこないことがよくあり、今日もそれだった。採血管三本とるのに本来数分で済むはずが、三十分もかかってしまった。決して看護師が下手なわけではない。血管に刺さっても血が出てこないのだから仕方ない。出るには出ても出る時間が遅いため凝固してしまい検査に使えないという。結果的にポイントがみつかり何とかなったが、何度も針を差し直したため看護師がしきりに謝るので毎度のことで気にしないように言っておいた。わたしは痛みには強い。
 さて表題は、「身体の中を流れる涙」という中島みゆきの歌がある。わたしはこの歌が好きだ。また実際、人間の身体には血ではなく涙が流れている気がする。採血室に置いてある多数の採血管には血液が貯まっているのではなく人の涙が貯まっているのではないか。
 涙と言っても必ずしも悲しい涙というわけではない。人間は何かに感動したときや嬉しいときにも涙を流す。事実、人間の身体の六十%は水分でできているのだから涙でできているといっても過言ではない。例えば吸血鬼は人の血を吸って生きているのだが、わたしに言わせれば人の涙を吸って生きているのだ。
 そんな思いのせいか採血の時、自分の涙が大量に吸い取られていくのを見るたびに、同時に多数に人間から採取した涙が部屋中の採血管に保管されているのを見るたびに、妙な寂しさを覚える。
 ただとにかく採血の際、血液いや涙の返りが悪い。どんどん悪くなっている。もはや涙すら出なくなってきたのかもしれない。そんな気持ちにさせる今朝の検査だった。
 まあそうは言っても無事終わってここでこうやって記事を書いているのだから身体の中を流れる涙はまだ枯れていないのだろう。


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