朝から良い記事を見ました

　朝一からフォロワーさんの記事を見てうれしくなったので引用させていただきます。

　空蝉さん、引用に問題があったら言ってくださいませ。　
　ここには極めて重要なことが書いてあるのに青空にはありません。岩波全集の何巻だっけ？と探して四巻に見つけました。

文芸家たらんとする中学生は、須く数学を学ぶ事勤勉なるべし。然らずんばその頭脳常に理路を辿る事迂にして、到底一人前の文芸家ならざるものと覚悟せよ。
　文芸家たらんとする中学生は、須く体操を学ぶ事勤勉なるべし。然らずんばその体格常に薄弱にして、到底生涯の大業を成就せざるものと覚悟せよ。
　文芸家たらんとする中学生は、須く国語作文を学ぶに冷淡なるべし。これらの課目に冷淡にして、しかもこれらの課目に通暁し得る人物にあらずんば、到底半人前の文芸家にさへならざるものと覚悟せよ。
　数学の出来ず、体操の嫌ひなるを以て、反って己の文芸的天分豊かなるかの如く己惚るるものは元より、国語の点数多く作文の甲ばかりを以て、一かどの天才の如く考ふるものは、自家の愚を天下に広告すると共に、併せて文芸の大道を冒涜するものと云はざる可からず。こは予自身の経験に基づく言にして、予亦然く中学時代を友好に経過せざりしを悲しみうつあるものなり。一言文芸家たらんとする諸君に告ぐる事斯くの如し。

岩波書店 芥川龍之介全集四巻「文芸家たらんとする諸君に与ふ」

　これは大正八年三月　芥川の母校である東京府立第三中学校学友会「学友会雑誌」三十三号の付録として掲載されたものです。同学校ゆかりの文壇人として依頼されて書きました。
　最後に自分はそうできなかったみたいなことが書かれていますが、数学は芥川も決して苦手科目ではありません。苦手だったら一高や帝大英文科二位卒は無理でしょう。
　ただ体操は、晩年の衰弱を考えると苦手だったのかもしれませんね。

　わたしはといえば、自慢じゃ無いけれど、中高生のときだけは、体育以外オール5だったんですよ。大学に入ってから勉強しなくなりましたが（よくある駄目パターン笑）。

　朝から良い記事を見つけたので紹介しました。