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不滅の名作漫画「ワイルド7」~デカの殉職

「ワイルド7」は萩尾望都の「ポーの一族」とともに、愛蔵版を大事に保管してある殿堂入りコミックのひとつです。
ワイルド7の魅力はなんといってもその物語のスケールのでかさにあります。基本的にコミック数冊で完結する中編の連作で成り立っているのですが、ひとつひとつのストーリー展開や演出がハリウッド映画を思わせるし、男性はともかく、女性の作画はどうみても日本人というよりブロンドのグラマラスな欧米人。街中で乱射するのは当たり前、時には重火器や戦車まで登場しますし、日本離れしています。
まあとにかく魅力を語りだすと尽きないのですが、ここではデカというワイルド7のメンバーの殉職について取り上げます。
ワイルドの初期メンバーは、リーダー飛葉、八百、オヤブン、ヘボピー、両国、チャーシュー、世界の7人ですが、チャーシューと世界はわりと早々に殉職します。その後みっそっかすのユキ(ファン層が一番熱いんじゃないかな笑)を初めとして新メンバーが登場しますが、そのひとりが元刑事のデカです。ワイルドのメンバーは皆元札付きの犯罪者なのですが、デカだけは元刑事という変わった肩書。当然地味で真面目な役です。
そのデカは「首にロープ」という物語で殉職するのですが、まず発端として、任務で重症を負います。奥さんの命日だったので本人は「今日はやりたくねえな」とつぶやくし、飛葉は「今日だけはデカはワイルドじゃない、嫌な予感がする」などとと死亡フラグが立ちまくります。で、デカが任務で運転していたトラックに航空機が突っ込みます。敵のド派手な陰謀です。これでお陀仏かと思ったのですが、幸いデカは一命を取り留めます。
ただデカはこれまでワイルドの任務をまっとうしたことがないと自分を責めます。そして重症の身ながら病院を抜け出しなんとか標的を狙いに行きます。

望月三起也「ワイルド7」

しかし、フラフラな状態だったこともあり返り討ちにあいます。

望月三起也「ワイルド7」

このシーンが「ワイルド7」の魅力のすべてを語っている気がします。最初に時間が止まって単発で窓ガラスに穴があき、時間が動き出してガガガとマシンガンの連射。デカの絶叫。この演出はハリウッド映画ですね。サム・ペキンパーあたりの。「俺達に明日はない」なども思い出しますね。

望月三起也「ワイルド7」

ワイルド7には、多くの物語があってそれぞれ設定が異なるし面白いです。確かに「地獄の神話」が最高傑作だという大半の意見にはわたしも納得ですが、シーンだけをとりあげてみれば、デカの殉職シーンは、飛葉とシカゴ五本指との植物園での死闘と同様かそれ以上に優れた演出だと思います。

ワイルド7はドラマ化されたし割と最近映画化されましたが全然お話にならない。日本の漫画だけど日本映画では無理かも。ハリウッド映画化されないものでしょうか。原作に忠実なアニメ化でもいいですけどね。

以上、ワイルド7の話でした。

追記:ドラマ版「ワイルド7」は期待外れでしたが、オープニングは結構好きですので、貼っておきます。


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