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創作小説・随筆・詩

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自作の小説や随筆、詩を紹介します。拙いですがすべての作品の著作権はかたりすと@脇七郎に属します。 ひとつの記事で完結しない小説は別のマガジンに移しました 。
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2024年8月の記事一覧

「焼き餅」~青ブラ文学部お題作品

 目の前の大皿に焼いた餅が山のように盛られている。  ある夏の朝食時のことである。 「ハニ…

短編「遺失物預かり所~一編の詩」

「あら、落としたんだわ」  帰宅して、花柄のブラウスの上に羽織った紺色のカーディガンを脱…

詩「流れ星」 #シロクマ文芸部参加作品

流れ星は滅びの証 美しい死の象徴 一瞬の儚さは花火のよう 流れ星が放つ光は末期の炎 星屑の断…

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モノクロ写真2

短編「一個小隊」

 カードリーダーに通行証を読ませて灰色のスライド式ドアを開き、中に一歩踏み入れると空気も…

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モノクロ写真

ひと夏の経験~毎週ショートショートnoteお題「ひと夏の人間離れ」

 お母様から許しが出た。 「お盆までだよ。たらふくお食べ」  うれしい!この街に来て初めての解禁。  窓から夜空を見たら満月。まるであたいを祝うみたい。  鴉になって飛んでたら祭りの音が聞こえた。盆踊り?  電柱から観察したら公園に餌が大勢集まってる。  全部食ってやる!  男は蹴飛ばす。不味いもん。食べるのは若い女か子供だけ。  うあー、久しぶりの生き血の味!この子美味しい!  おっさんいらんねん。吹き飛べ。  あー、この女も美味しい!ぎゃあぎゃあ泣かない。すぐ終わるから。

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「足跡」~青ブラ文学部「#はじめて切なさを覚えた日 」

 晩夏の夕暮れ、「足跡」は赤褐色に染まった隅田川を左に見て遊歩道を歩いていた。散歩する老…

触媒雑記帳~かたりすとの日常(その8)

一一 血  わたしの血は濃い。  父と母は従兄弟であり、姓は同じだった。二人とも伊勢に生ま…

短歌 #シロクマ文芸部「今朝の月」

今朝の月 光芒墜ちて 沈みゆく 祭の散り際 惜しむ者なき いつも企画ありがとうございます。参…

お絵描きタイム

「黒幕甲子園」~毎週ショートショートnoteお題

 黒幕甲子園が開催された。  各界の黒幕がスピーチで競い合い、優勝者には「日本の黒幕」と…

短編「家」~青ブラ文学部参加作品

 瑠璃子が郊外の古びた終末期医療病院に転院して一ヶ月になる。小高い山に建つその病院は苔むした赤煉瓦と蔦に覆われた外壁から見るからに陰気な雰囲気を纏っていたが、往来する車も面会に来る人も少なく、静かで空気が澄んでいたから瑠璃子は結構気に入っていた。  五階の瑠璃子の病室は相部屋だが、他のベッドは空いていて実質個室のようなものだった。瑠璃子はほぼベッドに寝たきりだったが、横になったままでも小さな窓から外が見えるので、昼夜問わず窓のカーテンを閉めないように看護師に頼んでいた。午後七